ティツィアーノ展の感想でも書いたように、「マグダラのマリア」がとても気になりました。

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ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「マグダラのマリア」(1567)
カンポディモンテ美術館(ナポリ)


ブルーなあなたに捧げる絵

この表情!見てください!
目の下まで赤くなって、まさに「泣きはらした」状態。
綺麗な涙というより、子供のように泣きじゃくった後、といった感じです。
鼻の頭もちょっと赤くなっていますね。

この表情を見てどう思いますか?

大切な人が亡くなったのかな…

大好きな男に振られたのかな…

そんな、自力ではどうにもできない不幸を感じさせてくれます。

マグダラのマリアはダヴィンチ・コードでおなじみですが、聖書の登場人物ですね。
ですので、聖書の一場面がこの絵で表現されています。
実はこの場面、「娼婦として生活していた過去の自分を恥じ、心を改めた瞬間」なのです!



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えー!!!


思ったのと全然違いましたね!!
誰かが亡くなったとか、振られたとか、余計な心配をしてしまいましたね!!

絵の右下には本とガイコツがありますね。

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本はもちろん聖書ですが、ガイコツは再生を表します。
(直接的に死だけではなく、死からの生まれ変わりまでを含むようです)

つまり、この絵はマグダラのマリアがキリストの教えによって改心し、生まれ変わったという場面なのです。

にしても、生まれ変わることは泣きじゃくるほど素晴らしいことなのでしょうか。
現代人にはよく分からない感覚です。

ただし、娼婦から聖女になるということですからね。
現代に例えると、

ニート→御曹司と結婚して玉の輿

くらい凄いことなのでしょう。
なんせ階級を一番下から一番上まで一気に登っていますからね。

と、下世話な想像をしてみたものの、どうも「生きてて良かった!」というポジティブな絵画には見えないのです。

むしろ、これまでの自分を捨て、新たな人間になることに対し、恐怖を感じているのではないでしょうか?

娼婦のままでいられたら、それはそれで楽かもしれない。
でも、それでは罪を重ねるだけなの…!!


改めて絵を見るとマリアのそんな葛藤が感じられます。
新たな一歩を踏み出す時、誰だって恐怖を感じるものです。
何百年も前から、人間は内なる恐怖と戦ってきたんだよ、と教えてくれるかのようです。

というわけで、悲しい絵かと思いきや、なんだか元気づけられてしまいました。
スタンダードな解説というものはどんな芸術にもつきものですが、それを踏まえた上でも人それぞれに解釈できるものなのです。

このブログではどんどん展覧会のネタバレをしていきますが、皆さんなりの解釈ができるはずなので、
是非、生で芸術に触れてみてくださいね!!


↓展覧会公式HPはこちら
東京都美術館 ティツィアーノとヴェネチア派展

↓当ブログによる展覧会の感想はこちら
ティツィアーノとヴェネチア@東京都美術館の感想

↓他のティツィアーノ作品の考察記事はこちら
ティツィアーノ「フローラ」蘇る色彩
ティツィアーノ展企画|ダナエ考察


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