シャセリオー展に行ってきました。

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ロマンティックで詩的な絵画をゆっくり鑑賞できました!
みなさんも家族、友人、恋人と貴族のように優雅なひと時をお過ごしください。


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 気になる混雑状況は?
3. 例えばこんな作品がありました
 ①絵画の詩人シャセリオー
 ②親しみやすい肖像画の美女たち
 ③天才特有とも言える振り切った感情
 ④よく見えない…だから知りたくなる
4. 逆に惜しかったところ
 ①ドラクロワと比べたら可哀想
5. まとめ


展覧会の基本情報

展覧会名:シャセリオー展―19世紀フランス・ロマン主義の異才
場所:国立西洋美術館
最寄駅:上野駅
会期:2017/2/28〜5/28
作品数:約200点
所要時間:1時間30分
観覧料:一般は1600円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)


気になる混雑状況は?

あまり混んでいないです。
土曜日の昼間、一番混みそうな時間帯に行きましたが、全然ゆっくり見られます。

東京都美術館で開催中のティツィアーノ展の方に人が流れているのだと思います。
画家の知名度的にそうなるのも頷けますが、シャセリオー展にもぜひ行って欲しい!

むしろ空いてたらチャンスなティツィアーノ展のレポートはこちら
ティツィアーノとヴェネチア派展の感想と楽しみ方



例えばこんな作品がありました

①絵画の詩人シャセリオー

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「アポロンとダフネ」(1845年)
ルーブル美術館


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「泉のほとりで眠るニンフ」(1850年)
カルヴェ美術館に寄託



脇毛!!

じゃなくて、この物語性!

野外で裸なんですよ。とても野生的ですが、一方でなぜか美しくもあります。
官能美とはこのことなのでしょうか。

彼女たちは元々森に住んでいるのでしょうか。
まるで洋服という概念を知らず、森のくまさんたちと平和な暮らしを営んでいそうです。
それほどまでに恥じらいがないですね。

ところで1枚目のダフネの方は悲劇的な雰囲気が伝わってきます。
男性がすがりついているし、ダフネの足元の不穏な感じも…
ただならぬ緊迫した場面なのだと分かります。

一方、2枚目のニンフの方はかなりリラックスした様子ですね。
平日の昼間から眠っていられるなんて羨ましい(主観)。
幸せな夢を見ているのかな?と想像が膨らみます。

どちらも官能美と人間の情緒を組み合わせ、見る人を虜にする絵画です。
生で見てみて!絶対に恋に落ちるから!

音楽家でたとえるならショパンです。
繊細でロマンティックなメロディで今も世界中を魅了するピアノの詩人とシャセリオー。
共通していると思いませんか?


②親しみやすい肖像画の美女たち

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「カバリュス嬢の肖像」(1848年)
カンペール美術館


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「狩に出発するランクシール伯爵夫人の肖像」(1854)
モントリオール美術館



ロマン主義の真骨頂!というのに相応しい作品です。
何が凄いかというと、日常の自然な一コマを切り取ったような肖像画ということですね。

肖像画といえば多くの人はこんな感じのを思い浮かべると思います。

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「ルイ14世の肖像」(1638-1715年)
ルーブル美術館


キメすぎ!!
脚クロスしてる!!


これぞルイ!って感じの絵ですね。
(美術が好きだからといって高尚な表現力があるわけではない)

肖像画はモデルの権威を表すものでもありますから、名一杯のおしゃれをした格好で描いて貰うのが一般的でした。

それから150年経ち、シャセリオーの作品のなんと自然なこと!

姿勢も表情も自然です。モデルに親しみが湧きますよね。
モデルとなった人の性格まで良さそうに思えてくるから不思議です。

このように、人の外見だけでなく、内面も豊かに表現しよう!というのがロマン主義なわけです。
まるで「絵画は堅苦しいものじゃないよ!」とシャセリオー自身が教えてくれるかのようです。

ちなみに、2枚目の女性は旦那さんの肖像画と対になっています。
果たして彼女はどんな男と結婚したのか?
この記事ではあえて掲載しないので…現地で確かめてみてくださいね!!



③天才特有とも言える振り切った感情

物静かな雰囲気を出す作品を紹介してきましたが、恣意的に搾取を選んだのではなく、本当に静かな作品が多いのです。
しかし、展覧会ではシャセリオーの仰天短気エピソードを知ることができます!

なんと、嫌なことがあると折角完成させた作品を破壊してしまうのです!

とんでもない危険人物ですが、天才とはこういうものなのでしょうか。
感情の高ぶりが尋常でないのでしょうね。

今回は破壊された(されかけた)作品も展示されています。
ですが、本人が修復した等の理由のため、切り裂いた跡は特に見つけられませんでした。
(その修復技術も凄い)
皆さんも気になるでしょう?
会場でじっくり眺めてみてくださいね!

問題はどの作品が破壊されたものなのか…
それは絵画横の解説にしっかりと書いてありますよ!

西洋美術館はマニアックな展示が多いですが、その分解説が丁寧で分かりやすいです。
解説を読まないで絵画だけを眺める鑑賞方法も良いですが、企画者たちが魂を込めた解説文にも目を向けてみてくださいね。



④よく見えない…だから知りたくなる

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「オリーブ山で祈る天使」(1839〜40年)
プリンストン大学美術館


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「海から上がるウェヌス」(1842年)
国立西洋美術館


特に1枚目の天使は見た瞬間にゾクッとしました。
顔がになっていて表情がよく見えないのにも関わらず、です。

シャセリオーの魅力は柔和な表情と親しみやすさだとお伝えしました。
表現の表現力が凄い画家なんですね。
しかし、こちらの2枚はどちらも顔が暗くなってしまっています。

よく見えないからこそ、もっと見たいという気持ちになりませんか?
特にこの2人は絶対に美女ですからね。
是非ともお顔の造形を拝みたいものです。

現実でもね、よくあると思うんです。
学校で好きな人と席が近くなった!
でも私から見えるのは彼の斜め後ろ姿だけ…
少しで良いから彼の瞳を見つめてみたい…

みなさんにもそんな経験があったのではないでしょうか?
見たい!という欲が叶いそうで叶わない…
というギリギリのラインが鑑賞者の心を揺さぶります。



逆に惜しかったところ

①ドラクロワと比べたら可哀想

シャセリオーの師匠であるアングルや、影響を受けたドラクロワの作品も小品ですが展示されていました。
個人的にはドラクロワ作品のシャセリオー模写があり、胸が熱くなりましたね。

関連作品の展示によって時代背景をより深く学べるというメリットがある一方、
同時代の二大画家アングルとドラクロワを集結させることにより、シャセリオーの良さが薄れてしまった感が否めません。

記念写真タイムでぼんやりしていたら、いつのまにか社長の隣に立たされていた新入社員のように決まり悪い感覚でした。



まとめ

絵画の詩人シャセリオーの作品を眺めて貴族気分!
贅沢な時間が流れる展覧会に、ぜひ行ってみてくださいね!


公式HPはこちら
シャセリオー展公式HP



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