樂家の茶碗を見てきました。

茶碗、凄い!
西洋かぶれな現代っ子にこそ見るべきワビサビ展覧会でした!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 気になる混雑状況は?
3. 例えばこんな作品がありました
 ①ワビサビの抽象的な芸術
 ②吉左衛門はアバンギャルド
 ③視覚で触感を楽しめる
 ④高級ジュエリーのような展示
4. 逆に惜しかったところ
 ①360°見ることができない
5. まとめ


展覧会の基本情報

展覧会名:茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術
場所:東京国立近代美術館
最寄駅:竹橋駅(1b出口直結)
会期:2017/3/14〜5/21
作品数:約160点
所要時間:1時間
観覧料:一般は1400円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)

本展覧会のチケットで所蔵品コレクション展とマルセル・ブロイヤーの家具展も見ることができます!
マルセル・ブロイヤー展の感想と楽しみ方



気になる混雑状況は?

普通くらいです。
混んではいないので、ストレスなく見ることができます。
ガラガラというほどでもなく、鑑賞者にとっては程良い具合です。

茶碗ということで興味を持つ人が少ないのでしょうね…
弊職も和の伝統芸術には疎いのですが、とても感動しました。
茶碗の新たな魅力を発見できるので、入門者にこそおすすめです。



例えばこんな作品がありました

今回は著作権の関係上、写真を貼ることができません…。
(大丈夫と思われるギリギリの範囲ですらかなり狭い)
ですので、感想に近いビジュアルのイメージ画像を活用し、周りから攻める形になっております。
ご了承くださいませ。

①ワビサビの抽象的な芸術

15代目の吉左衛門さんが本展の見どころを作品の写真と共に解説してくれています。
外部リンク:作品解説ページ(pdf)
どんな作品が出品されるかはこちらと公式HPを合わせてご覧頂きたく…

関連書籍から作品の雰囲気を感じてみてください。



さて、「侘び寂び」と一言で表現されますが、
・色
・模様
・材質
・形
などを総合的に見て「侘び寂び」と呼びますよね。

お茶の聖人、千利休の時代はなんと16世紀です。
同じ頃、ヨーロッパではルネサンスが開花しますね。

その頃のお皿はこんな感じ。
image
マヨリカ焼きのお皿です。
(1550〜1570年頃、リール美術館所蔵)

「何が描いているか明確に分かる」という特徴があります。
人物など具体的な対象の絵を描いています。

一方、侘びを代表する樂家初代長次郎の作品はというと、抽象的ですよね。
具体的な絵柄はありません。
液だれの模様グラデーションなど、何を表しているかは分かりません。

でも、なんとなく良い柄だなーと思いませんか??
シブいねぇ、って。

これが日本伝統芸術の凄さなんです!
ヨーロッパが写実に拘り具体的な対象物を精緻に描くことに必死になっている間、
日本では既に抽象芸術が開花していたんです!

日本人は、芸術とは目を通して心に訴えるものだということを戦国時代から知っていたんです。
これは現代アートに通じる感性でして、驚くべき事実です!



②吉左衛門はアバンギャルド

あまりにも気に入ったので、ポストカードを買ってしまいました。
image
吉左衛門「焼貫黒樂茶碗 銘 吹馬」(1993)
樂美術館

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吉左衛門「皪釉樂茶碗 銘 梨花」(1998)
樂美術館

展覧会は初代、2代目、3代目、…と流れるように作品が展示される構成です。
現役は15代目の吉左衛門なので、彼の茶碗が沢山展示されています。

展示作品解説にもあるように、吉左衛門の作品はアバンギャルドな見た目です。
器だけどオブジェ的な歪んだ形、トリコロールの鮮やかな発色など、伝統芸術を艶やかなものにしています。
和風な茶碗も良いですが、洋風なのも良いですね!

樂焼の特徴として、ろくろでクルクルやるのではなく、手でこねこねして作っているんです。
ですので、形に手の後がしっかり残ります。
形も発色も一点モノという感じで最高ですよね。

実はこの「茶碗の中の宇宙」という展覧会、ロサンゼルスのカウンティ美術館やサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館などで開催された企画展なのです。
その意味で逆輸入とも言えるでしょう。

大げさな話ではなく、真に世界に認められた芸術なのです。
しかし、ここまで評価されるには「わび」+「アバンギャルド」があったからでしょう。
茶碗文化を世界に知らしめた吉左衛門の作品…見に行くしかないですね!



③視覚で触感を楽しめる

大量の茶碗を眺めていて気づいたんですけれども。

「これ、持ったらザラザラしてそう」
ツルツルしてそうだな」
重さはこれくらいか…」

と、茶碗を持ったときの感覚を想像していまうんですよね。
意識していなくても、です。

なまじ日常生活で使う食器ですので、視覚と触った感覚が連動するんですよ。
縁が丸まっていると飲みにくそうだな…と感じたり。

当たり前ですが、展示作品に触れることはできません。
それはどんな美術館でも同じですよね。

でも、本展覧会は触ってないのに触った感じがするんです!
ザラザラ感、ツルツル感、どっしりした重み…
これに抹茶を入れたら最高だな…と…

これを新たな体験型アートと言わずして、どうしましょうか!
不思議な感覚をぜひ堪能して欲しいです!



④高級ジュエリーのような展示

これも写真が無くて残念なのですが…

展示方法は、基本的には普通の展覧会と同じなんです。
壁に沿ってショーケースがあって、その中に作品が展示されています。

ただし!一部屋だけ全く違うのです。

壁も床も真っ黒で、ショーケースが縦横に均等に並べられている部屋があります。
ケースに1つずつ茶碗が飾られ、まるで高級ジュエリーのようにライトアップされているのです!

image
こういう雰囲気です。
暗い部屋で、一つ一つのショーケースがライトアップされて、規則的に並んでいる…
とても都会的な空間でした。

和の茶碗×洋風の展示方法、という組み合わせの斬新さに度肝を抜かれました。
本当に感動します。
プラネタリウムで綺麗な星を眺める感覚にも近いかもしれません。



逆に惜しかったところ

①360°見ることができない

最後に紹介した暗い部屋以外は、普通の展示方法なんです。
壁にショーウィンドウが埋め込まれているタイプです。
ですので、茶碗の正面からしか見ることができません。
これがとても勿体無い…

茶碗の模様って不規則で抽象的なんです。
だから、正面だけを見ても裏側がどうなっているかは想像つかないんですね。
手に取ってひっくり返して見たくなるんです。
そもそもどこが正面なのかも素人には分からないですし。

展示方法の物理的な限界なので仕方ないとはいえ、もっと見たい!と思ってしまいます!
(それが狙いなのか!?)



まとめ

歴史を超え、未来を切り開く茶碗芸術!

身近な存在であるはずの茶碗に、こんなに深い芸術性を感じ取れるなんて、思ってもみませんでした。
そこには、本当の意味で宇宙が広がっています。

茶碗の中の宇宙展、ぜひ行ってみてくださいね!


茶碗の中の宇宙展 公式HP



その他開催中の展覧会の感想はこちら
N・S・ハルシャ展
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