「水玉の履歴書」を読みました。

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2017年 草間彌生展ポスター@国立新美術館

自分の人生の目標って何だっけ?
何を残すために生きてるんだっけ?
青春時代みたいな問いかけに、もう一度向き合わずにはいられなくなる本でした。


本との出会い

草間彌生展での感動が冷めず、なんとなく関連本読みたいなーと思ったのです。
芸術新潮の4月号でも草間彌生の特集が組まれていますのでね。
インタビューや専門家の考察もためになるのですが、本人が書いた文章を読みたくなりました。
 →草間彌生 わが永遠の魂展の感想

実際に読んでみると、驚くほど草間彌生の精神に踏み込んでいました。
というか、本人が赤裸々に語ってくれる本です。
文体も易しく、とても読みやすいです。


基本情報と概要

題名:水玉の履歴書
著者:草間彌生
出版社:集英社
発売日:2013/5/22

人の影響を受けたことがない草間彌生。
無限に増殖する水玉に自分を消される体験をしながらも、
今日よりも明日、明日よりも明後日と生命の輝きを探求し続けた。
今でこそ超有名な世界的アーティストだが、大人の正論を押し付けられた少女時代、貧乏を極めた売れない画描き時代にも、
未来に対する希望をもって現実と闘ってきた。

あなたの生き方は、それでいいの?
読者に鋭く問いかける、天才芸術家の超読みやすい哲学書です。


感想

良いところ

「生命の輝き」って何なのでしょうか?

草間さんが多用する「生命の輝き」という言葉。
芸術を作り続けることによって生命の輝きに近づくことができるそうです。

さらには、歴史として永遠に残り、肉体が無くなっても輝き続けるもの。
死にものぐるいで一生懸命に追求したいと思えるもの。

弊職は、「肉体よりも自分らしいもの」ではないかと思います。
草間さんにとってそれが絵であることは、とても納得がいきます。

あなたにとって「肉体よりも自分らしいもの」とは何ですか?

弊職はまだ分かりません。
ただし、今の本業ではないことは確かです。
死ぬまで続けたいとは思いませんし、死んだ後も輝くような仕事ではないのです。
でも、それがいわゆる普通なのではないでしょうか?

この本で草間さんは右に倣えの日本社会に警告を発しています。
(社会のことを「虚飾と愚かさに満ちた社会」と形容していて、なかなか手厳しいです)

そんな愚かな社会の一部となって溶け込むことに、生きる理由はあるのでしょうか。

自分は周囲に流されているだけではないか?
自分の生命の輝きって何だろう?
何のために生きるのか?

凄く考えさせてくれる本です。
メッセージが鋭すぎて読後感はどっしり重いですね。
さすがは天才芸術家の著書って感じです。

弊職のような一般人だって、夢が無かったわけではないのです。
残念ながら色々なことに折り合いをつけてきたから、一般人なわけですが。
それはそれで仕方ないように思えます。
普通の人生ってやつです。

しかし、芸術をもって世界に挑戦し、敗れた時も決して諦めず、
死ぬほど飢えているときも制作に没頭していた草間さんから見たら、
一般人の折り合いなんて刹那ですよね。

うん、やっぱり草間彌生は凄い。
こういう一流の人の本を読むと、なんとなくやる気が湧いてきませんか?
命を燃やせるほど頑張れること探そうって思います。


悪いところ

文学的すぎるかな…という表現が多かったですね。
とても情緒的なのですが、感覚でしか伝わらない感じです。
論理的に理解するのは相当難しいと思います。
それで、哲学書と紹介させて頂きました。

ただしそれも草間さんの感性から出た言葉ですのでね。
芸術家が紡いだ抽象的な言葉っていうのは、それはそれで味があって良いものです。
感覚的には十分伝わってきます。

また、作品の写真がカラーやモノクロで収録されていますのでね。
本人による作品解説・背景説明としても非常に面白いです。


まとめ

自分の生命の輝きを探したくなりました。
何のために生きたいのか?
自分の人生はこのままで良いのか?
青春時代の自問自答のようですね。
弊職はアラサーとはいえまだ20代ですし、今この本に出会えて良かったです。


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