絵巻マニア列伝展に行ってきました。

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タイムスリップ気分を味わえる!
絵巻そのものの芸術性はもちろん、自分がこの絵巻を持っていたら?という所まで想像させてくれる展覧会です。
弊職も絵巻が欲しくなりましたもん。
天皇や武将が絵巻マニアとして登場するので、日本史が好きな人に特におすすめの展覧会です。


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 気になる混雑状況は?
3. 例えばこんな作品がありました
 ①迷いの無い筆運び
 ②ハデハデな原色
 ③自然描写のリアルさ
 ④実は身近な巻物文化
4. 逆に惜しかったところ
 ①日本史の知識は最低限必要
5. グッズ情報
6. まとめ
7. 割引情報
8. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:絵巻マニア列伝
場所:サントリー美術館
最寄駅:六本木(地下鉄日比谷線 地下通路直結)
会期:2017/3/29〜5/14
作品数:約50点(展示替えで内容がガラッと変わります)
所要時間:1.5時間
観覧料:一般は1300円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



気になる混雑状況は?

まずまずの混雑です。

日本美術の展覧会ってあまり人が入らないイメージなのですが、
宣伝の効果なのか場所が良いのか、結構人気なようですね。
とはいえ、会場はスペースを広く取っているので、大混雑というほどでもないです。
土日でも程よい混雑具合になるのではないでしょうか。



例えばこんな作品がありました

パブリックドメインの画像が全然見つかりません…
なんとか画像つきで展覧会の楽しさをお伝えしたいのですが、画像の確保に時間がかかりそうです。
一旦、文書主眼で記事をアップしますね。


①迷いの無い筆運び

まず褒めたいのは、迷いの無い流れるような線!

絵巻の絵ってスラスラと気持ちの良い筆運びで描かれているんですよね。
間違い知らずというか。
とにかく失敗の線がありません。
修正してるっぽい箇所が無いんです。
(素人には分からないだけかもしれないけど)

紙と墨しか無いから、間違っても隠しようが無かったのでしょう。
それはつまり失敗が許されないということです。
なのにシンプルに輪郭を捉えていて、現代のマンガみたいな躍動感があります。

これだけの力量を持った絵師が、平安時代の日本にいたということに驚きます。
絵、めちゃくちゃ上手いな!って思いましたよ。
(美術が好きだからといって高尚な感想が言えるわけではない)



②ハデハデな原色

人々の着物がとても鮮やかだと思いませんか?
日本の美学といえば控えめな色彩ですが、こと絵巻に関しては違います。

赤鬼なんか物凄い迫力です。
色のケバケバしさ、表情の残忍さが相乗効果で恐ろしいです。
小さい子どもが「おかーさん、こわいよぉー!」って言ってました。

なんでこんなにケバケバしいんだろう?
って思った方には「誤解だらけの日本美術」(感想)をおすすめしたいです。
要するに、煌々とした蛍光灯の下ではなく、揺らめくろうそくの下で読むからですね。
ろうそくの優しい明かりの下で読むのには原色くらいの鮮やかさが丁度良いんだそうです。

展示の環境では赤や緑がとても鮮やかに見えますが、ろうそくの明かりだったらどんな風に見えるんだろう?
ろうそくとの距離感はどれくらいかな?
あまり離れすぎても読めないし、かといってうとうとしたら絵巻が燃えてしまうのではないか…

ついつい、当時の人になりきって絵巻を見つめてしまいました。
タイムスリップした気分になれましたよ。



③自然描写のリアルさ

人物の絵はマンガチックというか、ちょっと笑ってしまう変な表情だったりしますが、
こと自然の描写に関してはとっても美しいですよね。

緑のグラデーションなんて凄くないですか?
技巧的に素晴らしいと思います。
立体感がありますよね。
(人物は平面的なんだけれども、なぜか自然は上手い)


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「伴大納言絵巻 巻上」(平安時代 12世紀)
出光美術館

木造住宅が多く火事が多かったのでしょう、火事の場面を描いた絵も多かったです。
しかし燃え盛る炎のリアルさ!
そして煙の間からチラチラ見える建物!
ボワッと広がる黒い煙と辺りを燃やし尽くす真っ赤な炎が、絵とは思えないほどリアルで恐ろしいです。

日本の絵師って本当に絵が上手いですよね!
(美術が好きだからといって高尚な感想が言えるわけではない)



④実は身近な巻物文化

最近、絵巻って身近だな、と感じます。
というと変な人だと思われるかもしれませんが、皆さんの身近にも絵巻があるんですよ。

そう、アイフォーンの中にね。(Apple風)

このブログをご覧になっているスマホの方、パソコン方、あるいはガラケーの方。
(いつもありがとうございます!)

記事を読むために、上下にスクロールしますよね。
この動き、絵巻を読む動作に似ていませんか?

というのも、絵巻は左右の軸を回転させながら読みます。
(諸説、というか色々な読み方があるとは思いますが)
左の軸から紙を繰り出し、右の軸に巻き取ります。
こうすると、1人分の幅で連続的に右から左へと物語を進めることができます。

これって、スクロールそのものではないですか!?
案外、スマホ・パソコン世代にウケる絵本は絵巻かもしれないですよ。

展覧会では巻物がびろーんと広げられた状態で、とても横に長いショーケースを人間が眺める形になります。
絵巻のスクロール体験をすることはできませんが、実際に持って鑑賞する想像をしながら絵巻を見てみてくださいね。

薄くて破れそうな紙を慎重に繰り出して、
手汗で墨が滲まないように小まめに手汗を拭いながら巻き取る…

こういう想像をしていると、なんだか絵巻が欲しくなってきませんか?
頷いてしまったそこのアナタ。
絵巻マニアへの扉を開いてしまいましたね!



逆に惜しかったところ

①日本史の知識は最低限必要

こんな教養のないことをブログに書くなんて自分自身にガッカリですが、弊職には日本史の知識が皆無です。
縄文土器、弥生土器は詳しい方だと思いますが、大化の改新以降の歴史が全く分かっていないんですね。

本展覧会は後白河院を始めとする、歴史的絵巻コレクターに焦点を当てた展覧会です。
と言われても、日本史はサッパリな弊職にはピンと来ないんですよね…
ルネサンスで言うところのメディチ家コレクションみたいなことなのでしょうか?

反対に、日本史好きな人は弊職の2倍楽しめるということです!
教養ある日本人の皆さんには是非行って欲しい展覧会です!



グッズ情報

展覧会とは関係無いのですが、ミュージアムショップで素敵な栞を見つけました。

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(背景の美術手帖の主張が激しい…坂本龍一さん特集です)

「京の花しおり」という商品名です。
素材は竹っぽいです。
弊職は鳥が好きなので梅とうぐいす。
他にも素敵なお花の柄が沢山ありました。
10種類くらいあったかな。



まとめ

絵巻を愛でる古き良き時代にいける、タイムスリップ展覧会!

いにしえの絵師たちの技巧はとても素晴らしく、見つめるうちにコレクターの目線になってしまいます。
自分のものであるかのように絵巻をじっくり見てみてくださいね。
あなたも絵巻マニアの仲間入りを果たすでしょう。

絵巻マニア列伝展、ぜひ行ってみてくださいね!


割引情報

サントリー美術館は
あとろ割が使えます。
今は国立新美術館の草間彌生展やミュシャ展、森美術館のN・S・ハルシャ展ですね。
これらの展覧会の半券を持っていくと、絵巻マニア列伝展が100円引きになります。

また、半券が無い人はサントリー美術館公式HPの割引券をお忘れなく。
この画面を受付で見せるだけで、100円引きになります。

※割引は併用不可です。




関連情報


絵巻マニア列伝展 公式HP


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