バベルの塔展、行きましたか?

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パラレルワールドのSF絵画!
ボス、ブリューゲルといえば奇想の絵画。
彼らの創造力は天井を知らず、バベルの塔さながらに世界観を高く高く築き上げます。
世にも奇妙な怪物たちに誘われ、別世界へ飛び込むアミューズメント展覧会でした!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 気になる混雑状況は?
3. 例えばこんな作品がありました
 ①バベルの塔は2枚存在する!
 ②変な生き物のパレード
 ③ボスのSF世界観
 ④脇役だけど隠れた名品たち
4. 逆に惜しかったところ
 ①作品との物理的な距離
5. まとめ
6. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:ボイマンス美術館所蔵 ブリューゲル「バベルの塔」展 16世紀ネーデルラントの至宝 ― ボスを超えて ―
場所:東京都美術館
最寄駅:上野駅
会期:2017/4/18〜7/2
作品数:約90点
所要時間:2時間
観覧料:一般は1600円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



気になる混雑状況は?

非常に混んでいます!

特に目玉のバベルの塔の前は人だかりで、落ち着いて見られる状況ではないでしょう。
ボスの真作2枚も人気ですし、ブリューゲルの版画は小さいから遠くからでは見えないし…
人気展覧会の宿命です。

金曜の仕事終わりでも結構混雑していましたので、いわんや土日をや、ですね。
平日であっても混雑は避けられないでしょう。
混雑を前提に、たっぷり時間をかけて展覧会を楽しみましょう。



例えばこんな作品がありました

①バベルの塔は2枚存在する!

ご存じでしたか?
弊職はウィーン版のジグソーパズルをやったことがあります。

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ピーテル・ブリューゲル1世「バベルの塔」(1568年頃)
ボイマンス・ファン・ブーニンゲン美術館
(ロッテルダム版)


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ピーテル・ブリューゲル1世「バベルの塔」(1563年)
ウィーン美術史美術館
(ウィーン版)
※本展覧会では展示されません


なんと24年ぶりにロッテルダム版が来日となりました。
24年前、皆さんは何をしていましたか?
弊職は離乳食を召し上がっていました。

これら2枚を比較すると、印象がかなり違いますよね。
ロッテルダム版の方がカッコいいし、塔が大きく見えます。
田園風景の中に急に塔が現れる、というギャップも最高です。

ちなみに、芸術新潮5月号では2枚を比較した詳細記事が書かれています。
展覧会前に予習したいバベルの塔特集です。

展覧会では縦横3倍のレプリカや、CGによる再現映像などで、ロッテルダム版を拡大して解説してくれます。
それだけ拡大してもまだ足りないくらい、本物は細かく緻密に描かれていました!

すごーく小さい人がね、よく見ると働いているんですよ!
レンガを運んでいたり、上の方の建設現場で指揮を取っていたり。
ここでレンガを作って、こうやって上に運んで、レンガを積み上げているんだっていう、ストーリーがあるんです。

バベルの塔をまじまじ見たのは初めてなんですけど、こんなに沢山の人がいたんですね!
調べたところ、なんと約1400人が登場しているとのこと。
塔のカッコよさに注目してしまいがちですが、一大建築を作り上げる人間たちのドラマの絵だったのです。
映画のような壮大な物語が1枚で表現されています。

展覧会では超超超目玉作品なので人だかり必須ですが、粘って最前列まで行って見てくださいね!
本当に細かい所まで描きこまれているし、最前列でも足りないくらいですよ。
遠くからでも見える単眼鏡ギャラリースコープをお持ちの方は、絶対持って行きましょう!!

おすすめの単眼鏡↓




②変な生き物のパレード

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ピーテル・ブリューゲル1世(下絵) / ピーテル・ファン・デル・ヘイデン(版刻)、
「聖アントニウスの誘惑」(1556年)
ボイマンス・ファン・ブーニンゲン美術館


ぎゃー!!気持ち悪い!!
人の顔が浮いています!耳や口から変な人が出てきてる!
魚の形の家も気持ちわるっ!爬虫類顔の生き物が入っています。

壺に手足が生えていたり、顔に足が生えていたり…
地獄絵図ですね…


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ピーテル・ブリューゲル1世(下絵) / ピーテル・ファン・デル・ヘイデン(版刻)
「使徒大ヤコブと魔法使いヘルモゲネス」(1565年)
ボイマンス・ファン・ブーニンゲン美術館


ぎゃー!!こっちも気持ち悪い生き物がいっぱい!!
異形の生き物が更に沢山います。
爬虫類顔の生き物や、手足がひっくり返った人も…
猫や猿もいますが、全然可愛くありません…
地獄のならず者パーティーですよ、もう。

このようなブリューゲルの気持ち悪い版画作品が、本展覧会では所狭しと並んでいます。
(農民の暮らしを描いた普通の絵もあるので、ご安心を)

創造力の毒気に中てられ、クラクラします。
これ考えたブリューゲルってどういう脳みそしてるの!?
と考えてしまいます。

ぜひ、お友達や恋人、家族と一緒に行くと楽しいです。
あれなに?これなに?変なのー!ってゲラゲラ笑える展覧会です。
美術史に残る傑作が来日しているのに、ここまで笑える展覧会になるのも不思議です。

ちなみに弊職はいつも通り1人で行きました。
ゲラゲラ笑うのは控えましたが、ブフッと吹き出してしまったことがあり、周りの人を驚かせてしまいました。
その節は申し訳ございませんでした。



③ボスのSF世界観

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ヒエロニムス・ボス「聖クリストフォロス」(1500年頃)
ボイマンス・ファン・ブーニンゲン美術館


ブリューゲルの地獄版画を紹介しましたが、奇想といえばヒエロニムス・ボスですよね。
本展覧会にはボスの真作の油彩が2点、展示されています。
現存するボスの油彩は世界にたった25点ですので、そのうちの2点を一度に見られる凄い機会なのです!
(もう1点はあえて載せません!)

巨人が歩いていて、水差し型の家が木に引っかかっていたり、遠くの方で熊が吊るされていたり…
ちゃんと意味があるのですが、遠回しすぎて伝わらないから「奇想の画家」と呼ばれるのですね。
展覧会ではそれぞれの寓意をパネルで解説してくれます。

弊職は遠くの方に見えるスカイツリーのような塔が気になっており、展覧会ではその解説を探しました。
皆さんも気になりますよね?

ですが、残念ながらこの塔だけ解説が無かった…
あの塔は一体何だったんだろう…
真相は闇に葬られました…

しかしボスが作り上げた世界観には、未だに何の意味があるのか解明されていないモチーフもあるんですよね。
パネルの解説を参考にしつつ、自分だけのオリジナル解釈をするのも楽しいです。



④脇役だけど隠れた名品たち

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ヨアヒム・パティニール「ソドムとゴモラの滅亡がある風景」
オランダ文化遺産庁より、ボイマンス・ファン・ブーニンゲン美術館に寄託


「バベルの塔展」ということで、もはやボスですら脇役扱いの展覧会。
当然というか残念ながらというか、関連作品は脇役の脇役扱いになってしまいます。

でも、かなり素晴らしい作品があるので全ての作品をじっくり見てみて欲しいです!
弊職はパティニールの絵が気に入りました。

遠景でぐおぉぉぉっと燃える炎が美しすぎません?
生で見ると、炎の熱が伝わってきます。
街全体が燃える恐ろしい絵なんですけれども、恐怖が昇華して美術ですね。


他には、木彫りの作品が特に衝撃的でした。
誰が作ったのか分からない1480年頃の古い作品なのですが、
聖アウグスティヌスなどをモチーフにした人物像です。

きちんとメンテナンスされているからだと思いますが、木特有のツヤが出ていて美しいんですよ。
服のシワも柔らかそうにできていますし、手に持った本もページが捲れそうなほどリアルです。
木彫りだなんて信じられない写実性ですよ!

入って一番最初にあるので、じっくり見てみてくださいね!



逆に惜しかったところ

①作品との物理的な距離

作品の前に柵があって、鑑賞者はその柵の外から見るじゃないですか。
その柵と作品の距離がかなり多く取られている印象でした。
要するに、鑑賞する際に作品との距離が遠く感じられます。

作品保護の観点から仕方ないことなのは承知しています。
混雑もしていますから、もしも人が押されて作品にぶつかってしまったら、人にも作品にも甚大なダメージとなります。

だけど、折角ボスやブリューゲルの作品が来ているのに、筆運びまできちんと見られなかったのは残念でした。
単眼鏡をお待ちの方は絶対に持って行ってくださいね!

単眼鏡ってこういうのです。
よく美術館で持っている人いますよね。
ちなみに弊職が本展覧会での反省を踏まえて購入したのがこちら。
超おすすめなので再掲します。




まとめ

21世紀でも色褪せないSF大作!

本当に500年も前の作品ですか?
変な所から足が生えている生き物など、現代のSFよりも創造力で優っているかもしれません。
本当に凄い。
一体どんな脳みそしてるの!?ってため息の連続です。

狂気とも呼べる創造力のアンダーワールドです。
ボスとブリューゲルの世界観に骨抜きにされてしまいました。
東京都美術館、本気出してます。

バベルの塔展、ぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

バベルの塔展 公式HP

公式ガイドブックも出ています。
バベルの塔とボスの2つの作品について詳細に解説されています。
展覧会の予習にいかがでしょうか?


電子書籍で今読める画集ならこちらがおすすめです。
バベルの塔2バージョンの比較や、ブリューゲル作品の寓意の解釈など、探偵のごとく絵画を詳しく見ています。
Kindle安いのにこのクオリティは凄いですよね。




六本木の盛りアーツセンターギャラリーで開催中の大エルミタージュ美術館展もおすすめです。
ヨーロッパ各国の絵画の特徴が分かる展覧会です。



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