ロンドンのテート・ブリテンに行ってきました。

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英国アートの古きと新しきの融合!
テート・ブリテンは英国出身の画家や、英国に深い関わりのあるアーティストの作品のみを展示しています。
ナショナル・ギャラリーや大英博物館が世界中からコレクションを集めているのに対し、一途な美術館ですね。
アフタヌーンティーを頂きたくなる、英国づくしの美術館でした!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 気になる混雑状況は?
3. 例えばこんな作品がありました
 ①英国画家といえばウィリアム・ターナー
 ②ラファエル前派のロマンティック絵画
 ③ヘンリー・ムーアの謎彫刻
 ④新しいアートにも積極的
4. 逆に惜しかったところ
 ①駅から美術館までの行き方が分かりにくい
5. まとめ
6. 関連情報


展覧会の基本情報

場所:テート・ブリテン(イギリス)
最寄駅:ピムリコ駅
作品数:とても多い
所要時間:3時間(企画展も見るなら1日)
観覧料:無料(企画展は一部有料、館内マップは£1の寄付)



気になる混雑状況は?

少々混んでいました。

日曜日の午前中に行きまして、まずまずの賑わいでした。
企画展のデイビッド・ホックニー展は長蛇の列だったので行けなかったのですが、
常設展はそこまででもなく、快適でした。
また、大英博物館などのザ・観光名所に比べれば大変空いていますね。

日本人は割と少なかったです。
旅行代理店のツアーでは組み込まれない場所ですのでね…
しかし美術品が所狭しと並んで素敵なので、とってもおすすめです。



例えばこんな作品がありました

イギリスのギャラリーは写真OKエリアがとても多いです!
今回は全て弊職が撮った写真を掲載しています。


①英国画家といえばウィリアム・ターナー

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ウィリアム・ターナー「難破船」(1805年)

この荒波!!
ターナーといえば海と船の画家ですね。
海の表情の描き分けが非常に上手です。
パイレーツ・オブ・カリビアンのワンシーンのようではありませんか?

近づくとこんな感じ。
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海の色の再現力、凄くないですか!?
単色でなく、水が様々な色で表現されています。
激しく動く波の一瞬を捉えた写真のような精密さです。

かと思えば、意外と白い水しぶきが大雑把という。
でもそれも計算で、大雑把さが大胆さに見えるのだから不思議です。
本当に海が上手な画家です。

激しい海も得意ですが、こんな海も得意です。
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ウィリアム・ターナー「カルタゴ帝国の衰退」(1817年)

傑作であるテメレール号(ナショナル・ギャラリーで紹介)にも言えるのですが、
ターナーが静かな海を描くとアンニュイになってしまいます。
どうしてこんなに黄昏が上手いのでしょう…。
衰退も解体もそうですが、終わりに向かって行く中で見る最後の夕焼けの描写が上手すぎます。

ちなみに、ターナーのフルネームは Joseph Mallord William Turner です。
英国の美術館では J. M. W. Turner と表示されているので、要注意です。



②ラファエル前派のロマンティック絵画

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ジョン・エヴァット・ミレイ「オフィーリア」(1852年)

ハムレットの一場面を描いた作品です。
美少女が川で溺れて死んでしまうという哀しいシーンです。
この少女はもがこうともせず、徐々に水を吸ったドレスが少女を川底に沈めていきます…。

とても哀しい場面ですが、オフィーリアは美しいです。
色とりどりの様々な花に囲まれているからでしょうか。
お花畑のようにも見えるので、不謹慎な感じがしながらも、やっぱり綺麗。

死の場面なのに綺麗だと思わせるミレイのアイディアは危ないけど甘美です。
そういったデンジャラスなテーマがラファエル前派にはよく見られるように思います。
退廃的な感じ。


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ジョン・エヴァット・ミレイ「マリアナ」(1850-1851年)

この人も男性に捨てられて自暴自棄になっている女性です。
女性も綺麗ですが、ステンドグラスの美しさがパッと目を引きますよね。
きっとステンドグラスの方を描きたかったのでしょう。

…と言うとアレですが、女性よりもステンドグラスや壁紙が目立っているのは事実。
マリアナを風景に溶け込ませるように描くことによって、彼女の絶望感虚無感を表しているのではないかと思います。
右側のと一体化してしまいそうですもん。

ミレイはラファエル前派の代表的な画家で、退廃美というものを弊職に教えてくれました。
以来、弊職はラファエル前派が大好きです。
ミレイに声をかけることができるなら、

ミレイ、あなたはどうしてミレイなの?


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ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス「シャロットの女」(1888年)

同じくラファエル前派の画家の絵です。
こちらの女性は一目惚れした男を追いかけるものの、呪いの所為で息絶えようとしている所です。
どうしてこう、悲恋ばかりを愛する時代だったのか…。
この絵も絶望を前面に出して不謹慎な魅力を持っています。

ラファエル前派はイギリスで起こった派閥なので、テート・ギャラリーも沢山所属しています。
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ご紹介した以外にも、ラファエル前派がズラリ。

ところで、ウィキペディアのテート・ブリテンの記事には

テートの所蔵品の中で特に有名な作品は、ジョン・エヴァレット・ミレーによる『オフィーリア』やジョン・ウィリアム・ウォーターハウスによる『シャーロットの女』である。

という記載があります。
この2枚がいかに世界に愛されているかが分かりますね!



③ヘンリー・ムーアの謎彫刻

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ヘンリー・ムーア「Recumbent figure」(1938年)

ヘンリー・ムーアは抽象的な彫刻を沢山作成しています。
モデルは人体であることが多いですね。
上の写真は人間が横に寝そべっている様子です。
空洞を上手く利用していて、空っぽの部分にも何となく胴体があるように見えます。
心の目で補ってしまいます。

彼の彫刻の面白さは、360°様々な角度から見てみると、ここだ!という1箇所が見つかることですね。
ここから見ると、彼のモチーフがバチっと伝わってくるよね、というポイントがあります。

微妙に顔らしき凹凸があるのも可愛らしいです。
はにわってこんな感じではなかったですか?

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ヘンリー・ムーア「Working Model for Three Piece No. 3: Vertebrae」(1968年)

これも何だか分からないですよね!
Vertebrae は脊椎のことなのですが、そんなこと言ったらムーアの彫刻なんて全部じゃん!
(美術が好きだからといって高尚な感想が言えるわけではない)



④新しいアートにも積極的

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デイビッド・ボンバーグ「In the Hold」(1913-1914年)

色遣いが鮮やかで賑やかです。
三角形などの図形の反復に見えますが、見つめていると遠近感が狂いますよね。
目の錯覚を利用しているのか、トリックアート系です。
四次元平面で表現したら、こんな感じになりそうです。
ちょっと目が回りますが、面白い絵ですよね。

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Cerith Wyn Evans「Forms in Space... by Light (in Time)」(2017年)

こんな大掛かりな作品もありました。
Evansさんは電灯みたいなものを使って空間に図形や曲線を浮かび上がらせるアーティストです。
この古めかしい建物で、こんなモダンな電灯の作品が出てきたので、とても面食らいました
驚き。

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こういうのもあって、この写真は吊っているワイヤーが見えてしまっているのでアレですが。
かなり大きな図形が中空に浮いているように見えるので、なぜか未来都市を想像させます。
VRなるものが流行っているようですが、そんな感じかもしれません。
仮想世界に迷い込んでしまう感覚です。



逆に惜しかったところ

①駅から美術館までの行き方が分かりにくい

地下鉄のピムリコ駅が最寄り駅です。
ここから10分程度歩いた所にテート・ブリテンがあるのですが、道が分かりにくい!

地上に出てすぐの所には標識があるのですが、
それ以降全く無いんですね。
弊職はポータブルWiFiを持って行ったので、iPhoneでGoogleマップを見て、何とか行くことができました。
でも、初めての人が地図無しで行くのは無理だと思います…。

ロンドン名物の2階建バスを使うと、美術館の近くのバス停まで行けるそうです。
しかし、バスの経路も乗り慣れないと結構難しいのではないかと思います。

※2階建バスはこれのことです。
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まとめ

英国が生み育てた美学の全て!

ターナーやミレイに代表されるように、イギリスは描写力と物語性を兼ね備えた画家を沢山輩出してきました。
哀しい物語も、優しい物語も、テート・ブリテンの絵画たちは歌うように語りかけてきます。
その心意気は現代にも受け継がれ、不思議な世界観を発信しています。

テート・ブリテン、ロンドンに来たらぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

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美術館の周辺にはパブリックアートがゴロゴロ転がっています。
こちらはヘンリー・ムーアの作品です。
時間があったら、皆さんもお散歩してみてくださいね。

テート・ブリテン 公式HP


今回のイギリス紀行で巡った美術館の感想はこちら。
大英博物館「北斎展」
ナショナル・ギャラリー
テート・モダン
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
シャーロック・ホームズ博物館

イギリスと日本の美術館の違いをまとめた記事はこちら。
旅行前に押さえておくと役に立つでしょう。
優れているのはイギリスと日本の美術館はどっち?実体験で検証しました!


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