イギリスと日本の美術館を比べてみました。
左がロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵、右が損保ジャパン日本興亜美術館所蔵のゴッホのひまわり。共に島国の両国。
似ている所もあれば、違う所も当然あります。
美術館においてもそう。
…と哲学的な始め方をしてみたところで、本題!
イギリスと日本の美術館を比べてみました!
観光でロンドンの美術館を巡ろうと思っているアナタも知っておいて損はありません!
※今回は文字ばかりで皆さんが飽きてしまうと思うので、合間にイギリスの綺麗な写真を挟んでいます。
イギリスの勝ち!
常設展が無料
イギリスの美術館や博物館は寄付システムで成り立っています。常設展は無料で見ることができ、お金が無くてもレベルの高いコレクションを見ることができます。
子供たちの教育にも良いですし、大人にも大きなメリットがあります。
なんと、毎日来ても無料なのです!
お金がかかってしまうと、元を取るぞ!という気持ちになって1つの作品をゆっくり見られなくなってしまうことがありますからね。
近くに住んでいた場合、何回でも行って少しずつ見られます。
これは助かります。
※弊職は寄付しなくて良いと言っているわけではありません。
感動の分だけチャリンと寄付ボックスに入れるのが大人の責任です。
作品の解説パネルが全作品についている
これは凄いと思いました。どこの美術館に行っても、作者名と作品名だけでなく、
作者がどんな人で、なぜこのような作品を作ったのか、
という所まで解説パネルに書いてあるんです。
しかも全作品!
日本の美術館でも作品の隣に解説パネルをつけていますが、さすがに全作品ではないですもんね。
気に入った作品に解説パネルが無いとがっかりしますが、イギリスではそういった事態にはなりません。
年間パスポートシステムが充実
実はこれが一番素晴らしいと思っています。年間メンバーになると企画展が無料になったり、カフェやミュージアムショップで割引が使えたりと、随分お得なのです。
例えば、テートのメンバーになるととってもお得です。
£70(約1万円)で上記の特典が受けられるのですが、テート・ギャラリー4館全てで有効なのです!
ロンドンにはテート・モダンとテート・ギャラリーがあるので、ロンドンに住んでいたら絶対元を取れます。
旅行で行く方も、巡り方によっては年間メンバーになった方がお得な場合があります。
日本国籍の人が作れるのか?などは謎ですが、チケットカウンターで聞いてみても良いかもしれません。
日本の勝ち!
企画展が安い
イギリスの美術館は常設展こそ無料ですが、企画展は有料です。それも結構な金額です。3000円とか平気で設定してきます。
それを思うと日本の企画展は1600円くらいですし、高くても2000円ですよね。
しかも常設展もそのチケットで見られることが多いです。
イギリスの美術館では常設展は無料ですが、企画展が異常に高いことを差し引くと、
トータルでは日本の美術館の方がリーズナブルに楽しめるのではないかと思います。
作品リストが貰える
イギリスではどこの美術館でも貰えなかったです。大きい文字で作品の解説が書かれた冊子はあるのですが、共用のもので持ち帰りはできません。
こういった細かい工夫は日本の勝ちですよね。
また、作品リストと一緒に鉛筆も貸し出してくれる気遣いは日本人にしかできないと思います。
リストを貰っておけば、気に入った作品に丸印をつけておいて、後でネットで調べて待受にする…なんてこともできます。
ブロガーとしても館内でメモを取りやすいですし、出品リストが有ると無いとでは記事の書きやすさが大違いなのです。
トイレが綺麗
美術館に限らずですが、トイレの清潔さは日本が世界一です。トイレが壊れていて困った話といえばヴィクトリア・アンド・アルバート博物館ですが、
まあ日本を基準にするとイギリスのトイレは汚いですね。
特に美術館のような公共の施設は特に。
デパートなんかは綺麗な方だと思います。
素敵な美術品を見て、歴史ある美術館の豪華な内装を見て、夢見心地でトイレに入ったらアレですもん。
日本のサービスの完全勝利です。
引き分け!
常設展は写真OKのことが多い
意外と知られていない事実ですが、日本の美術館でも写真撮影を許可している所は多いのです。ただし、常設展に限り、かつフラッシュ撮影禁止などのマナーを守る前提での許可です。
これは海外でも概ね同じなんですね。
企画展は写真NGだけど、常設展はOK、と。
「海外の美術館では写真OKだったのに、日本はなんでダメなの?」
という質問を見かけることがありますが、そもそも前提が違います。
日本では企画展でなければ見られないレベルの絵が、海外では常設展で見られるという前提は押さえておきましょう。
弊職はイギリスでダ・ヴィンチの岩窟の聖母やピカソの泣く女を撮影しましたが、
全て常設展だからOKだったのです。
日本で常設展が充実しており、なおかつ写真OKの美術館といえば国立西洋美術館ですね!
モネの睡蓮やロダンの彫刻を見て、写真まで撮ることができます。
(繰り返しますが、企画展は写真ダメですよ!)
どちらも混む時は混む
「海外の美術館は日本と違っておしくらまんじゅうじゃないのに!」という声を聞くことがありますが、イギリスも人気の展覧会は混雑します。
テート・ブリテンで開催していたデイヴィッド・ホックニー展は混雑しすぎて行けませんでしたし。
ただし、イギリスは整理券システムが普及していて良いなと思いました。
当日券を買うと入場できる時刻がプリントされているんです。
更に、ネットで前もってチケットを買っておくと最強です。
好きな時間帯を選ぶことができます。
(チケットが配達されるので英国内に住所が無いと無理なパターンが多いかも)
このように、イギリスでは美術館側が来場者数をコントロールできる仕組みがあるんですね。
混んではいるけど、安全に人が流れるレベルにコントロールしていた大英博物館のオペレーションは素晴らしかったです。
しかし、整理券は基本的には早い者勝ちなので、夕方に行くとチケットそのものを買えない可能性があります。
日本ではそういうことは無いですもんね。
おしくらまんじゅうにはなるけれども、並べば入れます。
考えようによっては、日本のシステムもメリットだと思います。
整理券ってちょっとズルい感じもありますもんね。
来た順に入場するのが一番分かりやすく、平等ではあると感じます。
まとめ
日本もイギリスも、どっちも良いところがある!
という当たり前の現実を学びました。
しかし、実際に両国の美術館を体験することによって日本の良さを再発見できたのが個人的には収穫です。
特に、企画展が安いということに感動しました。
イギリスでは2000円以下で企画展を見ることなんてできないですよ!
反対に、イギリス流を取り入れても良いかな、という部分も見つかりました。
年間パスポートのシステムなんて良いですよね。
国内の有名どころでは森美術館くらいでしょうか。
あまり普及していない制度です。
美術館のシステムからも文化の違いを実感した今回のアート紀行。
みなさんも、海外旅行で行った美術館で、日本とは違う体験をしたことがありますか?
関連情報
今回のイギリス紀行で巡った美術館の感想はこちら。
大英博物館「北斎展」
ナショナル・ギャラリー
テート・モダン
テート・ブリテン
ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館
シャーロック・ホームズ博物館
雑誌BRUTASでは定期的に美術館特集が組まれています。
2017年6月15日号でもナショナル・ギャラリーやテート・モダンで見られる絵が選ばれていて、テンションが上がります。
(弊職のBRUTASの感想)
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