ジャコメッティ展、行きましたか?

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悪魔に愛された天才彫刻家の悲しい作品たち!
アンガールズのように縦長の人物彫刻が代名詞のジャコメッティ。
何度実験を繰り返しても鑑賞者を不安にさせる造形から逃れられなかったジャコメッティの、
初めから終わりまで人生の全てをなぞる大展覧会でした!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 気になる混雑状況は?
3. もっと気になる割引!
4. 例えばこんな作品がありました
 ①マッチ棒サイズから縦長の巨大彫刻へ
 ②手の跡が残る荒々しい表面
 ③親しい人から名もなき人へ
 ④強烈なメッセージ性
5. 逆に惜しかったところ
 ①足元からの冷房がしんどい
6. まとめ
7. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:ジャコメッティ展
場所:国立新美術館
最寄駅:乃木坂駅
会期:2017/6/14〜9/4
作品数:約120点
所要時間:1.5時間
観覧料:一般は1600円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



気になる混雑状況は?

まあまあ空いています!

国立新美術館の企画展でこんなに空いていることがあるんですね…!
草間彌生展ミュシャ展で大混雑していたあの頃が夢のようです。
そんなに知名度無いのかぁ…。
でもメッセージ性が物凄く強いので、事前知識が無くても心を動かされること間違いないのに!

個人的には、音声ガイドをアンガールズのお二人にやって貰ったら良かったんじゃないか?と思います。
だって見た目そっくりじゃないですか!話題になりますよねぇ!
ワイドショーなんかで、ねぇ!

(速水もこみちさんは素敵だけど、激細彫刻のイメージとは逆で逞しい人ですから)



もっと気になる割引!

割引もあります!
あとろ割で100円引きになります。
サントリー美術館や森美術館のチケットの半券をお持ちの方、
この2つの美術館をはしごする方は、リンク先の詳細説明を読んでみてくださいね。



例えばこんな作品がありました

ジャコメッティは没後70年ルールでは著作権が有効ので、ネットにある画像の転載はグレーです。
従って、展覧会で弊職が撮影した数枚の画像のみを用いています。
展覧会の作品はもっともっと充実していますので、ご安心を!


①マッチ棒サイズから縦長の巨大彫刻へ

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アルベルト・ジャコメッティ「女性立像」(1959年)
マーグ・コレクション

ジャコメッティの彫刻といえば著しく細い人間です。
弊職がアンガールズ彫刻と親しみを込めて呼んでいるのはこの細さ故です。

ただし、このバランスに行き着くまで、ジャコメッティは非常に苦労しています。

例えば、遠くにいる人は小さく見えるじゃないですか。
彼はその小ささのまま、彫刻にしてしまう変わった人なのです。

彼の初期の作品は非常に小さく、マッチ箱に入ってしまうほどでした。
その手足はもはやマッチ棒
(この頃の作品もいくつか展示されています)

しかし、小さい彫刻を作りたいと思ったわけではないようなので不思議です。
モデルをそのまま粘土に写し取ろうとすると小さくなってしまうという。
ある意味、呪われた彫刻家とも言えるでしょう。

それがジャコメッティらしさでもありますが、本人は克服しようと悩みます。
ある時、彼は名案を思いつきました。

「そうだ、縦の長さを1mに固定しよう!」

そうしたら全体的なバランスはそのままに、まずまず見応えのある彫刻を作れるだろうと。
それでできたのがこれです。

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細っ!薄っ!

写真は巨大な作品ですが、はじめは縦50cm程度の作品から入ったようです。
しかし、横と厚みが恐ろしく削られてしまうんですね。

本人の明確な意思によっても取り除けない、ジャコメッティらしさ。
これはもう、悪魔の仕業と呼んで差し支えないでしょう。



②手の跡が残る荒々しい表面

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アルベルト・ジャコメッティ「頭部」(1959年)
マーグ・コレクション

ジャコメッティの作品は表面の処理が大雑把です。
粘土で原型を作り、その型を取ってブロンズを流し込む方法で作るので、元々の粘土がボコボコしていたということですね。

この造形、綺麗に完成させるというより、実験を繰り返していたという方がしっくり来ます。
ジャコメッティなりの考え方に基づいて、表現の研究をしていたように見えるのです。

ほら、仕事ノートで皆さんも汚いでしょう?(失礼)
それと同じです。人に見せるために作るのではなく、自分のために作るという意味で。

初期の作品は表面が滑らかなのですけれどもね。
徐々に芸術への見方が変わっていったことが分かります。
弊職は後期のボコボコした作品の方がリアリティ鬼気迫る怖さがあって好きですが、
皆さんはどうでしょうか?


③親しい人から名もなき人へ

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アルベルト・ジャコメッティ「歩く男」(1959年)
マーグ・コレクション

ジャコメッティは妻や弟、それに日本人で哲学者の矢内原伊作をモデルに彫刻を製作しました。
特に人名がタイトルについている作品は、なんとなくその人の特徴を表す感じがするんですよね。

しかし、彼の作品は親しい人を彫刻にするには留まらず、通行人などの見知らぬ人をも即興的に作品にしていきます。
展覧会では「群像」という章があるので、そこをよくご覧になって欲しいです。

さて、では上の写真の歩く男は一体なのでしょうか?

個人が持つ個性をほとんど排除したギリギリの姿です。
顔の凹凸も最低限ですね。

もしかしたら、この人はあなた自身なのかもしれません。
ジャコメッティが街角であなたを見かけ、製作したのかもしれませんね。

弊職はこの彫刻を自分事と捉えました。
(歩く男なので性別が違いますが、それは置いておいて)
この極限まで細く、表面のボコボコした痛々しい人は、自分なのかもしれない、と。

そう思うと、自分の体の関節が痛み始めるから不思議です。
作品を見る側の視点だけでなく彫刻が見ている世界を感じさせてくれる、面白すぎる作品です。



④強烈なメッセージ性

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そんな、自分っぽくも感じられるジャコメッティの彫刻。
この歩く姿を見て、皆さんは何を感じますか?

弊職には、重すぎる荷物を背負っていて体力が限界を迎えつつあるのに、どうしてもまだ歩かなければならない人に見えます。
前傾姿勢と痩せ細った体型がそう思わせるのでしょうね。

もしかすると、この「歩く男」はジャコメッティ自身だったのかもしれません。
彼は理想の表現のために日々実験を繰り返していました。
高すぎる理想だと分かっていても前進せずにはいられない
そういう罪な人間の彫刻です。



逆に惜しかったところ

①足元からの冷房がしんどい

話は変わりまして、急にロマンの無い話をば。
もうね、冷房が物凄く寒かったんです。

国立新美術館の冷房って、なぜか床から冷気が吹き出すタイプなのです。
これをやられると、足元から冷えていきます。
古より頭寒足熱と言いますが、まるっきりです。

ブランケットを貸してもらうことはできるのですが、借り物のブランケットでどうやって下半身を温めようか、です。
ここは自己防衛として、長ズボンを履いていくしかないですね。
スカートと薄いストッキングで行ったら物凄く寒かったですよ。



まとめ

痛々しい造形が身体に訴える五感フル活用展覧会!

呪いとも呼べるジャコメッティらしさは、目だけでなく身体全体で感じることができるほど、メッセージ性の強いものでした。
見ているうちに彫刻と自分が一体化していくなんて、他の彫刻家ではあり得ない体験です。

こんな面白い展覧会が国立新美術館で開かれているんですよ!
なんでガラガラなの!信じられない!

ジャコメッティ展、ぜひ行ってみてくださいね!ね!



関連情報

2017年7月15日に発売の雑誌penでは、美術館の特集が組まれています。
東京とロンドンのジャコメッティ展の比較まで書かれており、ジャコメッティ愛が凄い…!

Pen(ペン) 2017年 8/1号 [あのアートが見たい。]

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ジャコメッティ展 公式HP

ジャコメッティ展へ行ったら、六本木ヒルズの美術館をはしごしよう!
大エルミタージュ美術館展

上野のアルチンボルド展もおすすめです。
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展覧会情報はこちら。
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