ゾゾタウンの前澤社長が123億円の絵を買ったらしい!

ジャン=ミシェル・バスキアという画家をご存知ですか? ほとんどの方がご存知ないと思うのですが、ご安心ください。 私もつい最近まで知りませんでした。 例えば、こんな絵。
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ジャン=ミシェル・バスキア「Untitled」(1982年) ©︎Jean-Michel Basquiat 出典: https://www.wikiart.org/en/jean-michel-basquiat/untitled-0 この絵、どう思いますか? 色遣いが綺麗でエネルギッシュ? なんだか落書きっぽいような印象? 実はこの絵、ゾゾタウンを運営する会社の社長である前澤さん123億円で落札した絵なのです。 やすーい!なんてお得なんでしょう! と言える人はいないと思いますが、価格を知った今、あなたは作品に対してどんな感想を持ちますか?

バスキアってどんな画家?

アートとお金の話の前に、バスキアの人生をさらっと要約しましょう。 バスキアは1960年、ハイチ系移民の父親とプエルトリコ系移民の母親の間に生まれたアメリカ人です。 小さい頃から絵を描くのが好きだったそうです。 10代の頃にスラム街の壁にスプレーペイント(要するに落書き)をするようになりましたが、 一方でオリジナルのTシャツやポストカードを売って何とか生計を立てます。 そんなバスキアの地道な努力は少しずつ実り、徐々にスプレーペインティングが評価されます。 同じくストリート・アートから成り上がったキース・ヘリングの支えにより、 個展を開催するなど、名声を手に入れました。 キース・ヘリングはウィットに富んだ人型のデザインでおなじみのアーティストです。 さらにアンディ・ウォーホルと知り合ってからは共同で作品を制作するなど、芸術の方はもう絶好調なのですが。 同時にヘロインに依存するようになるんですね。 妄想癖など酷かったようです。 ウォーホルが亡くなってからは心の支えを失ったかのように、更にヘロインにのめり込んでしまいます。 1988年、ヘロインのオーバードーズにより、27歳という若さでバスキアは亡くなってしまいました。 おお、なんという壮絶な…怒涛の…特急の人生です。 ここまでわずか27年とは信じられません。

バスキアの絵、あなたはどう見る?

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ジャン=ミシェル・バスキア「Baptism」(1982年) ©︎Jean-Michel Basquiat 出典: https://www.wikiart.org/en/jean-michel-basquiat/baptism ここでもう一度絵を見てみましょう。 天国地獄を行き来するように激しい線と色が画面を埋め尽くしています。 タイトルのBaptismとは洗礼の意味で、確かに天使の輪っかがあるのですが、 どう見ても骸骨だし「悪魔との契約」と呼んだ方がしっくりくる画面。 目の見開き方が恐ろしいほど生々しく、世界中をと見なしているような目つき。 怖い絵だな、と感じます。 他のバスキア作品も怖いです。 鑑賞者を飲み込むエネルギーを持った作品です。 明らかに27年のキャパシティを超えています。 もしかすると、生でバスキアの絵を見たら怖いもの見たさ的な中毒になるかもしれないですね。 実物はもっと大きいだろうし、五感を全部持って行かれそうな気がします。 逆に、そのエネルギーに元気づけられる人や、勇気づけられる人も沢山いるはず。 バスキアはストリートから成り上がって名声を獲得した画家です。 彼のエネルギーに共感したり、共鳴したりする人もきっと沢山いると思うのです。 その内の1人がゾゾタウンの前澤さんであり、ディカプリオなのでしょう。 特に前澤さんは、アートを投資ではなくライフスタイルの中にあるものと考えています。 彼は純粋な気持ちで「この作品と暮らしたい!」と思ったから、作品を購入したのでしょうね。

結局、アートの価値はどう判断するべきか?

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ジャン=ミシェル・バスキア「Philistines」(1982年) ©︎Jean-Michel Basquiat 出典: https://www.wikiart.org/en/jean-michel-basquiat/philistines 私は前澤さんのような考え方が好きです。 生活の中に自然にアートがあって、一緒に暮らすという考え方。 投資目的で10年後は何倍の値段になるとか、そういう文脈で取引されることも多いのですが、一緒に暮らす絵を選ぶ感覚の方が理解できるなぁ。 だから、バスキアの絵に123億円の価値があるか? という問いがあるとしたら、それは愚問なわけです。 なぜなら、前澤さんにとって「欲しいと思った絵が手の届く価格で買えた」というだけのことだからです。 …しかし凄いなぁ。 弊職の貯金は○百万円ですが、いつかは気に入ったアート作品を買って、一緒に暮らしてみたいものです。 物凄く小さい作品で良いから。 気に入ったものと出会えると良いな。 そういえば、前澤さんが過去に62億円でバスキアの絵を落札した時、世界中に新たなアートコレクターとして前澤さんの名前が轟いたのですが、 なんと噂を聞きつけたディカプリオが自宅に前澤さんを招待したそうです。 凄い世界だ…。

関連情報

バスキアの画集です。 ギンザシックスでも売っていた気がします。 記事を書くためにバスキアについて調べていたら欲しくなってきた…。 もっと沢山バスキアの画像が見たい方はこちらのリンクへ。 https://www.wikiart.org/en/jean-michel-basquiat 弊ブログのおすすめ記事は展覧会の感想です。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは更新情報をつぶやいています。 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
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