アルチンボルド展、行きましたか?
絵画界のサーカス!団長はアルチンボルド!ふざけているようにしか見えないアルチンボルドの絵画たち。
しかし本人はいたって真剣だったようなのです!
一目見て笑うも良し、深読みして味わうも良し。
アルチンボルドの掌の上で踊ろうじゃないか!
〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
①地球の恵みとしての植物と野菜<
②ピエロすぎる人物画
③動物の絵からの動物園
④突出したプロデュース能力
3. 逆に惜しかったところ
①正面の人物画も見たかった
4. まとめ
5. 関連情報
展覧会の基本情報
展覧会名:アルチンボルド展場所:国立西洋美術館
最寄駅:上野駅
会期:2017/6/20〜9/24
作品数:約100点
所要時間:1時間
観覧料:一般は1600円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)
例えばこんな作品がありました
以下ではPublic Domainと明記されている作品画像を掲載しています。アルチンボルドは同じ絵をいくつものバージョンで製作しているので、展示されているものとは若干違うものがあるかもしれないのですが、
ほぼ同じで違いが分からない程度かと思いますので、掲載しちゃいます。
一応、注釈で断らせて頂きますね。
①地球の恵みとしての植物と野菜
ジュゼッペ・アルチンボルド「秋」(1572年)
※展示品と若干違う可能性あり
※展示品と若干違う可能性あり
ぶどうが美味しそう…!
耳がキノコで、ちょんまげみたいな部分がカボチャです。
あなたは全ての野菜、分かりますか?
ところで、一目見て野菜や果物で人間を形作っていることに笑ってしまうのですが、
よく見ると物凄く絵が上手くないですか?
特にブドウなんて瑞々しくてとても美味しそうです。
一つ一つの野菜は写真のようにリアルです。
ジュゼッペ・アルチンボルド「春」(1563年)
こちらも。
様々なお花が鮮やかで、かつそれぞれの大きさや花びらの形などの特徴がよく分かります。
80種類ものお花が登場するのですが、全てきちんと描き分けています。
やっぱり絵が上手いですよね。
「奇想の画家」と呼ばれることが多いアルチンボルドですが、それだけではないのです。
とても絵が上手いという基礎があり、その上に奇抜な発想があるのです。
そう、この人はとんでもなく絵が上手い人!
実はこんな絵だって描けるんです!
ジュゼッペ・アルチンボルドに帰属「マクシミリアン2世の娘、皇女アンナ」(1563年頃)
ね、凄く上手いですよね!
野菜の顔のような奇抜な発想って、実力ある人がやるから絶賛されるんですよね。
そうでなければただの一発屋に終わってしまいます。
どんな業界だってそう。今も昔も同じ…。
アルチンボルド展で社会の現実に思考を巡らせることになるとは思ってもみませんでした。
②ピエロすぎる人物画
ジュゼッペ・アルチンボルド「夏」(1572年)
※展示品と若干違う可能性あり
※展示品と若干違う可能性あり
悪意なのでは?
と思ってしまうほど、野菜野菜した人間です。
誰が見ても野菜!という感じです(滝沢カレン風)。
ややニヤついている所も怪しいですね。
ところで、アルチンボルドは上手いのになぜ変な絵ばかり描くようになったのでしょうか?
それは、注文が相次いだからだ!
という身も蓋もない理由です。
しかし、これら一連の不思議な人物画。
ただ奇をてらった作品というわけでもないのです。
ジュゼッペ・アルチンボルド「冬」(1563年)
ここまでで連作「四季」の4作品が全て掲載できましたね。
最後のは枯れ木ですが、ここまで花や野菜や果物といった様々な植物が登場しました。
しかも、その種類が本当に豊富。
このバリエーションは、図鑑としての面白さを含んでいるのです。
当時は大航海時代で、他国の珍しい植物がヨーロッパに輸入され始めた時代です。
しかしそう簡単に現物は手に入らないし、長期に保存できるものでもない。
というわけで、絵画の登場です。
現代人が図鑑のイラストを見て楽しむのと同様です。
そんな訳で、リアルな静物画の需要は広まります。
「こんな野菜、誰も見たことがないでしょう!」
と皆が胸を張って静物画に挑みました。(多分)
アルチンボルドも例に漏れず、です。
しかし彼の想像力は一般の画家の遥か上を行っていました。
それが、アルチンボルドの個性的な画風となり、愛される理由となったのです。
③動物の絵からの動物園
ジュゼッペ・アルチンボルド「大地」(1566年)
※展示品と若干違う可能性あり
※展示品と若干違う可能性あり
アルチンボルドが描いたのは、植物だけではありません。
なんと動物にも手を出しています!
生き物がひしめき合っています。
しかも絵が上手すぎてリアルだから動き始めそうです…!
ジュゼッペ・アルチンボルド「大気」
※展示品と若干違う可能性あり
※展示品と若干違う可能性あり
おおー!鳥がぎゅうぎゅう詰めなのも気持ち悪い…!
みんな横顔なのに、フクロウだけ正面なのが可愛らしいですね。
ジュゼッペ・アルチンボルド「水」(1566年)
見ているだけで生臭い…!
パイレーツ・オブ・カリビアンに出てきそうな怪物です。
おや、魚類ばかりかと思ったらアザラシがいる…。
どの絵でも動物が本物そっくりですし、絵の上手さがビシビシ伝わってきます。
しかも、ちゃんと毛皮、羽毛、ウロコを描き分けているのです。
アルチンボルドだって全ての動物を見たことがあるわけがないのですが…。
こういった絵を眺めていると、本物の動物が恋しくなってきますよね!
そんなあなたは上野動物園にも行ってみましょう!
徒歩3分くらいの距離です。
ゾウもアザラシもいます。
アルチンボルドの時代は、珍しい動物を見られないから絵にしたのです。
今は絵を見て、モデルの動物たちもその日のうちに見られる…なんて進歩したのでしょうか。
↑上野動物園のゼニガタアザラシ
④突出したプロデュース能力
ジュゼッペ・アルチンボルド「火」
※展示品と若干違う可能性あり
※展示品と若干違う可能性あり
ここまでで連作「四大元素」も全て掲載できました。
作品一つ一つを見ても面白いのですが、彼の本当の凄さは全ての作品を並べたときに初めて分かるのです。
8つの作品を並べると、向かい合って対になってる!!
しかも、
夏→暑い→火
冬→寒い→水
のように、何となくイメージが揃っていますね。
本物を生で見るとよく分かるのですが、全て細かく緻密に描かれています。
しかも、植物が80種類も入っているなど、調査も入念に行われていたことが分かります。
そんな凄い作品が8つも!
ちゃんとストーリーとして構成されている!
なんという周到な計画と根気!
このことに恐ろしさを感じました。
アルチンボルドはただの画家ではなく、ストーリーのプロデュース能力もあったのか、と…。
そんな才能溢れる天才画家アルチンボルドはこんな人。
普通!
真面目か!
逆に惜しかったところ
①正面の人物画も見たかった
ジュゼッペ・アルチンボルド「ウェルトゥムヌスに扮したルドルフ二世」(1591年)
※本展では展示されておりません
※本展では展示されておりません
いや、正面の絵も展示されていることはされているのですが、
上下絵だったり職業絵だったり、求めている感じとは若干ズレた絵なんですよね。
アルチンボルドは人物を正面から描いた絵でも野菜を活用しています。
ルドルフ二世のような、正面からの変な絵も見たかったです。
まとめ
一目見て楽しい!深読みしても楽しい!二度美味しいサーカス展覧会!
真面目に描いた結果、現代人にはふざけているように見えるというカルマを背負った画家、アルチンボルド。
しかし彼が生きた時代、最も求められたのはこの上手くて奇抜な図鑑描写なのでした!
とにかく、絵画史を知らなかったとしても「おふざけ絵画」として楽しめること間違いなし。
初デートで行ったとしても、会話が途切れることなく楽しめますよ。
アルチンボルド展、ぜひ行ってみてくださいね!
関連情報
展覧会の公式カタログも良いのですが、個人的にはこちらの本がおすすめです。展示品以外にもアルチンボルドの面白い作品が沢山載っています。
解説も平易で分かりやすいので、鑑賞の敷居を下げてくれます。
奇想の宮廷画家 アルチンボルドの世界 (TJMOOK) 大友 義博 宝島社 2017-06-17
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電子書籍で見られる画集ならこれがおすすめです。
本展の展示作品を全て網羅し、プラスアルファで変な作品や真面目な作品が沢山掲載されています。
Kindleの画集って安くて良いですよね。
アルチンボルド展 公式HP
展覧会の応援企画の記事も書きました!
みんな大好きSNOWで遊んでみました。
アルチンボルドの野菜人間はSNOWで顔認識されるのか!?
他の美術館のおすすめはジャコメッティ展です。
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