森美術館のサンシャワー展、行きましたか?

image


ASEANの今が昇華したリアルガチ展覧会!
正統派の絵画を期待する人は行っちゃダメです。
各国それぞれ強烈な主張を持っていて、色んな形でぶつけてきます。
なのに、見た目が綺麗で癒されるという不思議な展覧会でした!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
 ①カラフルな風鈴、音とモチーフにも注目!
 ②ユーモア&コメディの明るい真剣メッセージ
 ③耳でアートを受け取る
 ④芸が細かすぎるコラージュ作品
3. 逆に惜しかったところ
 ①音が多すぎて干渉する
4. まとめ
5. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:サンシャワー 東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
場所:森美術館・国立新美術館
最寄駅:六本木駅(森美術館)、乃木坂駅(国立新美術館)
会期:2017/7/5〜10/23
作品数:約100点(体感)
所要時間:単館で1.5時間
観覧料:一般は2館共通で1800円、単館で1000円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



例えばこんな作品がありました

①カラフルな風鈴、音とモチーフにも注目!

image
フェリックス・バコロール「荒れそうな空模様」(2009/2017年) CC BY 2.1 JP

綺麗すぎ!
もう、誰もが驚くインスタ映えの写真を、入場料という料金を払うだけで、それ以上は何の手間もなく撮ることができます。(滝沢カレン風)

公式のSNSでもカラフルな風鈴の写真が流れてきますよね。
サンシャワー展は、この風鈴がお目当ての方も多いはず!

しかし、この風鈴たち!
1200個もあると流石に…耳が壊れそう…
風鈴の中に金属の棒みたいなのが入っていて、棒同士が触れ合ってチャカチャカチャカチャカ〜♪という感じの音が出ます。
(美術が好きだからといって表現力が高いとは限らない)

1個だったら風流なんだけど、1200個ですよ!
耳が割れる!

(しかも絶え間なく鳴るように扇風機が仕掛けられている)

高音のチャカチャカに囲まれていると、「警報」のように聞こえてくるので不思議です。
こんなに綺麗なのに。
サンシャワー=天気雨になぞらえるなら、大雨警報でしょうか。

さて、ここでそれぞれの風鈴に近づいてみましょう。

image
フェリックス・バコロール「荒れそうな空模様」(2009/2017年) CC BY 2.1 JP

1つ1つの風鈴に違うモチーフが下がっているの、画像からご覧頂けますでしょうか?
ハイビスカスイルカ蝶々など、モチーフまでも可愛らしいですね。

image
フェリックス・バコロール「荒れそうな空模様」(2009/2017年) CC BY 2.1 JP

更に、お気づきでしょうか!?
金の羽根と銀の羽根の天使もいるんです!
可愛い!

全体の綺麗さに圧倒された後も、細かく見ていくと素敵なモチーフが沢山あることに気付かされます。
可愛い彼らが発しているのが「警報」だとしたら?

自然が人間に対して何かを警告していると考えると、かなり見方も変わってきます。
イルカがのひのび暮らす海や、ハイビスカスが華麗に咲き誇る大地に対して、ハッとする作品でした。
第一印象の美しさとメッセージのギャップが素晴らしいです。



②ユーモア&コメディの明るい真剣メッセージ

image
アディティア・ノヴァリ「NGACOプロジェクト-国家への提案」(2014年) CC BY 2.1 JP

2人の女性がホームセンターで売っていそうなレンガやペンキについてコメディアスな会話をする映像が流れています。
ホームセンターの店員とお客さんといった感じ。
かなり笑えるので、最初から最後まで見て欲しいです!

image
アディティア・ノヴァリ「NGACOプロジェクト-国家への提案」(2014年) CC BY 2.1 JP

2人の会話の内容を少しネタバレすると、このレンガについてはこんな話をしています。

店員「大きいレンガは普通の値段なの。つまり0%オフ。でも、少し小さい方は25%オフ!」
客「小さいからね」
店員「もっと小さいのは、50%オフ。さらに小さいのは75%オフ!細かいクズみたいなのは90%オフ!」

って感じです。
本当にこんなホームセンターがあるのでしょうか?

しかし、お金が無くて90%オフのレンガ数個しか買えなかったら?
それで何を作るのがベストなのか?

ホームセンターを茶化す作品には、途上国の発展の課題が隠れているとも受け取れるのです。


もう1つ別の作品も紹介させてください。

image
トゥアン・アンドリュー・グエン「崇拝のアイロニー」(2017年) CC BY 2.1 JP

ネオン輝く異色の作品です。
上段にセイザンコウ、中段にサイがいます。
セイザンコウは両手を合わせ、数珠のようなものを持っています。
祈るポーズみたいで愛らしいですね。

セイザンコウというのは東南アジアの動物で、大量に密猟・密売されて絶滅危惧種になってしまいました。
サイは南アフリカのイメージですが、こちらも密猟が問題視される動物です。

さらに、同じアーティストの作品のも展示されています。
敢えて画像は載せないので、あなたもカッコいい龍に会いに行こう!

そして、セイザンコウ、サイ、龍の会話が電光掲示版に映し出されます。

image
トゥアン・アンドリュー・グエン「警告」(2017年) CC BY 2.1 JP

中国語分からなーい!
日本語訳は壁に貼ってありますのでご心配なく。
あと、英語も流れていたので各国の言語があるのかもしれません。

龍という架空の生き物と、絶滅していなくなりそうな生き物。
彼らの会話がユーモラスで愛おしいのですが、それ以上に、架空と絶滅の境界が曖昧になっていく所が面白いです。

会話自体はとても短いんですけどね。
シンプルなだけに、色々と考えさせられます。



③耳でアートを受け取る

image
アグス・スワゲ「社会の鏡」(2013年) CC BY 2.1 JP

そんな所に立っていて、うるさくないの!?

トランペットからトランペットの音と、何か別の音が若干聞こえてきます。
礼拝時間を告げる呼びかけなのだそうです。

パネルの解説とは少々違うことを感じまして、この作品、自分の主張をきちんとすることの大切さを表現しているのではないでしょうか?

トランペットの音って大きいので、他の声は届きにくいものですが。
声を上げれば、トランペットの前に立つ人のように、誰かが耳を傾けてくれて、誰かには必ず届く、ということのメタファーだと感じました。


もう1つ別のアーティストの作品をば。
image
ズル・モハメド「振動を、振動する」(2017年) CC BY 2.1 JP

ステンレスのジャングルジムみたいになってます。
ジャングルジムにはスピーカーが沢山つけられていて、道路を車が通るときの「ゴォォォォォ」という音が流れています。
スピーカーごとに違う場所で集音しているらしく、ニュアンスの異なる「ゴォォォォォ」を聞くことができます。

なので、物凄くうるさいです!!
お子様だったら怖くて泣いちゃうと思います。
大人ですらよく見ないでサーっと行ってしまいます。
しかも、ステンレスが振動して床に伝わるので、足がビリビリなんですよ!

しかし、スピーカー1つ1つに近づいてみると、日常的によく聞いている音なんですよね。
何も怖いことはないのです。
それに車の音だけでなく、楽しげな音楽っぼいのもあったような気がします。

…だから何だって話なんですけどね。
正直言って、この作品はどう解釈したら良いか分からないです。

でも、怖い楽しい親しみがある、という多様な感情を抱くことができるのは、作品の得体の知れなさ故
その意味で、音を非常に効果的に使っていると感じました。

本展は上に挙げた作品以外にも、音を使ったものがとても多いです。
日本だと「アート=絵」になりがちなので、既成概念を壊してくれる意味でも、音響効果は重要だと思いました。



④芸が細かすぎるコラージュ作品

image
リュウ・クンユウ「私の国への提案」(2009年) CC BY 2.1 JP

毒々しいほどカラフルな絵ですが、よく見ると写真のコラージュになっています。
しかも、紙を3層ほど重ねているようで、立体感もあります。
モチーフの飛び出してる感に驚きました。

image
リュウ・クンユウ「私の国への提案」(2009年) CC BY 2.1 JP

キリンの模様にうまく人が収まっています。
こういう画家、いたよね。ブリューゲルとか。

元が写真だからか、妙なリアルさを伴う本作品。
まるで未来都市を描いたよう。
あなたはこの都市に住みたい?住みたくない?



逆に惜しかったところ

①音が多すぎて干渉する

本展は音を効果的に使った作品がとても多いです。
しかし、美術館の壁は防音仕様ではありません。
すると、隣の部屋の作品の音が聞こえてしまうのです。

目の前にシリアスな作品があって、シリアスな音が聞こえているとしても、
隣の部屋から陽気な音楽が聞こえてきたら集中できないですよね…。

音を使うな!とは全く思いませんが、それぞれの作品の間隔をどう取るのか?
というのは、新たに問題になると思いました。



まとめ

遠いようで近い異文化のアート化されたメッセージ!

東南アジア諸国は、日本とはまた違った政治的な問題や環境の問題を抱えています。
他民族という背景もあり、我々には理解できないことが沢山あります。
そういう問題を綺麗な作品として昇華することができるなんて、やっぱりアートの力は偉大ですよ。
あなたも、新しい世界のはじまりの目撃者になれるかもしれません。

サンシャワー展、ぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

サンシャワー展 公式HP

図録の販売が遅れておりましたが、アマゾン・楽天ブックスでも予約&購入できるようになりました!
発売日は2017/8/23です。
サンシャワー: 東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで

国立新美術館 平凡社 2017-08-23
売り上げランキング : 621189
by ヨメレバ



サンシャワー展は国立新美術館でも同時に開催しています。
2館合わせて行くことで、最大限に楽しめるのです!
サンシャワー展@国立新美術館〜ASEANの革命の炎が本気すぎる展覧会の感想と解釈〜


六本木だったら国立新美術館のジャコメッティ展がおすすめです。
苦悩に悩まされた、芸術家らしい芸術家の展覧会です。
image



最新の展覧会情報はこちら。
今月の展覧会
今までに行った展覧会一覧


ツイッターでは更新情報をつぶやいています。



最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました!
良かったら応援クリックお願いします!
にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
にほんブログ村