国立新美術館のサンシャワー展、行きましたか?

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ASEANから燃え上がる革命の炎!
現状をどうにかしたいというアーティストの思いが、作品からビシビシ伝わってきました。
鑑賞者を作品に引きずり込む、彼らの表現力がズルい!悔しい!
そんな展覧会でした!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
 ①ただの植物の標本と思うなかれ!
 ②展覧会に参加した痕跡を残そう!
 ③言葉が違う人々に伝える自信
3. 逆に惜しかったところ
 ①スタンプが1つ足りない
 ②メッセージがダイレクトすぎる
4. まとめ
5. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:サンシャワー 東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
場所:国立新美術館・森美術館
最寄駅:乃木坂駅(国立新美術館)、六本木駅(森美術館)
会期:2017/7/5〜10/23
作品数:約100点(体感)
所要時間:単館で1.5時間
観覧料:一般は2館共通で1800円、単館で1000円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



例えばこんな作品がありました

①ただの植物の標本と思うなかれ!

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ウォン・ホイチョン「移民の皮膚/先住民の皮膚」(1998年) CC BY 2.1 JP

キャプションを記録し忘れ、誰の作品か分かりません…申し訳ないです。
2017年7月31日追記:
親切な方がコメントで教えてくださいました!
ありがとうございます。

しかし、キャプションのことをすっかり忘れるほどの大インパクトでした!

やられた!

と思いましたね。
弊職はアーティストではありませんが、これはやられた!悔しい!と思いました。
この発想は無かった!

だって、木の皮で人の顔の仮面みたいなものを作っているんですよ!?
しかも、木の起源と民族の起源が一致しているという!
それを博物館風に展示してしまうというシュールさがまた悔しい!

木の皮もよく見ると違いがあるのと同様、移民や先住民もそれぞれ違うものですが。
木が木でしかないように、人間はみんな人間なんだよってことを平和的に自覚させてくれますよね。

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「移民の皮膚/先住民の皮膚」(1998年) CC BY 2.1 JP

しかし、よくこんな器用なことができたなぁ。
人の顔っぽい木の皮を探したのか、木の皮を人の顔っぽく変形させたのか…。

本当に悔しい!このアイディア、素晴らしすぎる!



②展覧会に参加した痕跡を残そう!

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プーディイン「夕暮れの虹」(2017年) CC BY 2.1 JP

マシュマロカラーのイラストが描かれたポストカードに、「自分の故郷へのメッセージ」を書くことができます。
みなさん思い思いのメッセージを書かれています。
日本語英語だけでなく、よく見ると色々な国の言葉を見つけることができて面白いです。

こちらのポストカード、持ち帰らないようにだけ注意してくださいね!
素敵なデザインなので、ミュージアムショップで販売して欲しいのが本音です。

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プーディイン「夕暮れの虹」(2017年) CC BY 2.1 JP

ポストカードのスペースはこの幕みたいな作品の一部です。
国立新美術館の大きな窓に面しているので、透け感が上手く生かされていて涼しげです。


体験型といえば、もう1つ。

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スラシー・クソンウォン「黄金の亡霊(どうして私はあなたがいるところにいないのか)」(2017年) CC BY 2.1 JP

この糸くずの中には金のネックレスが1つだけ埋まっています!
さぁみんな!探せー!!


…そしてネックレスを血眼になって探す人を嘲笑う作品なのですが、探してそうな人があまりいませんね。
むしろ寝っ転がってダラダラしている人が多いです。

ネックレスを探すもよし!
ダラダラと人目を気にせず横たわるのもよし!
人それぞれ、どう楽しもうか、どう楽しもうか、と迷ってしまう、とんでもない展示です!
(滝沢カレン風)



③言葉が違う人々に伝える自信

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リー・ウェン「奇妙な果実」(2003年)

展覧会のポスターでは黄色く脚を塗った人がこの赤いのを被って写真を撮っています。
一度見たら忘れられないインパクトですよね。

実際にこの赤いのを被って屋外の色々な場所で撮影したシュールな写真が展示されています。
ポスター写真のようにビーチだと、「海で浮かれちゃった人が浮き輪でふざけてる」とも解釈できるのですが(できない)、
田舎町で若干人通りがある所の写真はとってもシュールです。
通行人が振り返って見てますもん。

どういう意味があるかと聞かれたら困るのですが、言葉を使わずに視覚に訴えようとしてくる所に好感が持てます。
この人の主張、聞いてみたい気持ちになりませんか?
赤い被り物で街を闊歩する人の主張ですよ?


もう1つ別のアーティストをば。

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ワサン・シッティケート「失われた情報」(2011年) CC BY 2.1 JP

とても小さい彫刻の集合です。
床に直置きされています。
小さいけれど一丁前にプラカードを掲げていて、2本脚で立っている所が妙に可愛らしいです。

この作品、「NO GOD NO WAR」など露骨に文字でメッセージを伝えているので少々勿体無い感じもするのですが、
彫刻そのものがとても小さいから「小さい人たちが甲高い声で何か叫んでいる」といった印象です。

しかしそれが面白い所でもあるのです。
なぜなら、鑑賞者が権力者として小さい彼らを見下ろす構図になるから。

必死になって声をあげるデモ隊。
デモ隊を見下ろす悪徳政治家は、鑑賞者なのです。

この構図は、本当に見事です。
日本人はデモの絡む物事に無関心な人が多いと思いますが、そんな我々を抗議する側ではなく、抗議される側として引きずり出す。
とっても衝撃的です。
言葉が違っても文化が違っても、この作品を見て何も感じないとは、言わせません。



逆に惜しかったところ

①スタンプが1つ足りない

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FXハルソノ「声なき声」(1993-1994年) CC BY 2.1 JP

指文字で「DEMOKRACI」(=民主主義)と表現した写真です。
手前の大人たちは何をしているかというと、各指文字に対応したスタンプを押しているんですね。
横長の紙も会場に置いてありますので、スタンプラリーのような感じでD、E、M、…と押していくことができます。

しかし!
弊職が行ったときはMが無かった!
故障中とのことで、Mのスタンプが無かったのです。
DEOCRACIになっちゃったよ!

このスタンプ、特別な感じは特に無く、ただのアルファベットです。
フォントはゴシック体とかそんな感じの。
よくあるデザインなので、複数用意するのに莫大なお金がかかるとは思えません。

なのに、なぜ予備のスタンプを用意しなかったの?
どうして壊れたり紛失したりする可能性を考えなかったの?
と、展覧会の運営に対して疑問を抱かざるを得ません。

(高々スタンプ1つでここまで怒り狂う大人は弊職だけだと思いますが、許して!スタンプ大好きなの!スタンプラリー神!)


②メッセージがダイレクトすぎる

確かに、アートには戦争を批判し、平和の大切さを主張する力があります。
でも、アートの力はそれだけじゃないとも思います。

というのも、国立新美術館の展示には気楽なアートがほとんど無いのです。
多くが反戦などの政治的・社会的メッセージを持っていました。
愛する人の肖像画を描いてみた、とかそういう作品もあって良いはずなのですけれども。

中には、プレゼンテーションやドキュメンタリーによって、事実を直接的に訴える作品もありました。
そのような活動も大切なことだとは分かっていますが、アートの真の力をアーティスト自身が信じきれていないのでは?
と思ってしまいました。

なんだろう、国立の真面目さが裏目に出ちゃった感じかな…?
解釈の余地を鑑賞者に委ねないほど、明確な作品が多かった印象です。



まとめ

多様性の中から湧き上がるアーティストの叫び声!

各国の課題、それに対する雄叫びは受け取りました。
ダイレクトすぎてちょっと疲れる場面もありましたが、それだけ差し迫った問題だということですよね。
アートの力が凝縮すれば世界を変えられるはずだと、再認識した展覧会でした。

サンシャワー展、ぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

サンシャワー展 公式HP

図録の販売が遅れておりましたが、アマゾン・楽天ブックスでも予約&購入できるようになりました!
発売日は2017/8/23です。
サンシャワー: 東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで

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サンシャワー展は森美術館でも同時に開催しています。
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六本木だったら同じ国立新美術館のジャコメッティ展がおすすめです。
苦悩に悩まされた、芸術家らしい芸術家の展覧会です。
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