ベルギー奇想の系譜展、行きましたか?
ありえない世界を目の当たりにしました!「奇想」なんて綺麗な言葉で括っちゃダメです。
見えたらヤバイものという共通点で作品が集まった展覧会でした。
〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
①ボスとブリューゲルのモンスター
②ロップスの心霊絵画
③ルーベンスの悪魔的表現力
④現代アートの不気味な立体作品
3. 逆に惜しかったところ
①寓意の解説をもっと知りたい
4. まとめ
5. 関連情報
展覧会の基本情報
展覧会名:ベルギー奇想の系譜展場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
最寄駅:渋谷駅
会期:2017/7/15〜9/24
作品数:約130点
所要時間:2時間
観覧料:1500円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)
例えばこんな作品がありました
版画作品は同じ作品がいくつも刷られているので、展示作品とは色味等が若干異なりますが、お許しください。①ボスとブリューゲルのモンスター
ヒエロニムス・ボス工房「トゥヌグダルスの幻視」(1490-1500年頃)ラサロ・ガルディアーノ財団
変だ…。
鼻の穴からコインがボロボロ落ちてきたり、
口がトランペットみたいに長い生き物がいたり…。
どう受け止めたら良いんでしょうか?
こういったヘンテコな世界観の原点は、やっぱりヒエロニムス・ボスなんですよね。
本作もボスの工房の作品ということで、ちゃんとした地獄絵図です。
ピーテル・ブリューゲル(父)「怠惰」(1558年)
ブリューゲルも数点ありました。
七つの大罪シリーズですね。
怠惰のタイトル通り、全体的にグータラしています。
ロバが怠惰の象徴となっており、中央で人にのしかかられています。
ロバだって働くときは働くと思うので、ちょっと可哀想な気もします。
しかし…変な生き物多すぎませんか?
人面トカゲ?
なんかよく分からないけど気持ち悪い…
おや、右の人は働いているようです。
ちなみに、「七つの大罪」と対になる「七つの徳目」からも4点展示されています。
例えばこちら。
ピーテル・ブリューゲル(父)「希望」(1559-1560年)
うーん、ヘンテコさ度合いでは七つの大罪の方に軍配が上がるかな。
②ロップスの心霊絵画
フェリシアン・ロップス「聖アントニウスの誘惑」(1878年)ベルギー王立図書館
どうしましょう!怖いよー!!
凄い絵ですよね。
「聖アントニウスの誘惑」という主題は色んな誘惑に負けずに修行をする聖人の話なので、
裸の女性は彼への誘惑なのですが…
誘惑というより驚かせてるだけですよね!
肝試しみたいになっちゃってます。
さらに、女性の左側には磔にされた姿のままのキリストと、骸骨になったキューピッドがいます。
なんと恐ろしい絵なのでしょうか…。
キリストを崇めたり、天使の救いを求めたりすることを否定しているかのようです。
それでも女性の美しさに惹かれますし、「キモ綺麗な絵」です。
かなり長時間、見つめてしまいました。
しかし、女性の右側…
誰!?怖っ!
同じ画家からもう1枚。
フェリシアン・ロップス「踊る死神」(1860-1865年頃)
フェリシアン・ロップス美術館
骸骨が何か羽織って踊っています!
足のバランスや上半身の捻りから、かなり軽快にダンスしていることが分かります。
しかし顔が…!
苦しそうに口が開いています。
見ていて痛々しいです。
関節が痛くなってきますよね。
ところで、骸骨の左側…
何か見えるのは気のせいかしら…?
③ルーベンスの悪魔的表現力
ペーテル・パウル・ルーベンス「反逆天使と戦う大天使聖ミカエル」(1621年)ベルギー王立図書館
筋肉が入り乱れている…!
ルーベンスの絵は複雑な構図になりがちなので、モノクロだと更に訳わからないですね…。
しかし眺めていると、ライオンの頭のや鳥の頭が見えてきます。
これらの体を辿ると…おや、体は人間なのかな?
ルーベンスは反逆天使を体は人間!頭は猛獣!として表現したのですね。(某名探偵風)
しかも、「可愛いー!」じゃなくて「気持ち悪ーい!怖ーい!」の猛獣です。
絵の上手い人が本気で魔物を描くと、こんなに気持ち悪くなるんですね。
しかしその描き分けのお陰で、善と悪の対比が非常に分かりやすくなっています。
ストーリーが明快で良いですね。
ルーベンスをもう1枚。
ペーテル・パウル・ルーベンス「ライオン狩り」
※本展ではモノクロ版が展示されています。
こちらもルーベンスらしく訳のわからない構図です。
じっくり見ていると…恐ろしいですね。
あちらこちらで人間vsライオンの殺し合いが起こっています。
こんな場面をルーベンスが本当に見て描いていたとは思えないんですよね…。
でも想像で描いたとも思えないほどダイナミックだし、見ているだけで喉元が痛くなってきます。
ルーベンスの画力、凄すぎます。
モノクロ版だと誰の脚がどれだか分からないほど人物と動物が絡み合っているので、
場面の構造を読み解くのも面白かったです。
本展で一番ダイナミックなのはルーベンスの絵でした。
彼の絵はハリウッド映画にたとえられることが多いのですが、その理由が分かった気がします。
④現代アートの不気味な立体作品
昔の巨匠の絵ばかりでなく、現役のアーティストの作品も充実していました。著作権的に載せられないのが残念ですが、面白いものばかりなので、ぜひ生で見てみてくださいね!
進撃の巨人に出てきそうな頭の大きい人間の銅像とか面白かったです。
吐瀉物が流れているのですが、これがまたリアルで気持ち悪くてねぇ…。
トマス・ルルイの「生き残るには脳が足らない」という作品です。
無知性巨人のことでしょうか。
あと、人の頭からトナカイの角みたいなのが生えた金ピカの像も気に入りました。
せんとくんを老けさせて、金ピカにしたみたいな感じです。
顔面自体はクールなのに、なぜか角が生えてて、なぜ金ピカというギャップが良かったです。
ヤン・ファーブルの「第14章」「第16章」という作品です。
他の章の作品も見たくなりました。
あ、あと、みんな大好きマグリットの作品も多数展示されていました。
シュールレアリズムのあの人です。
(重要なことをサラッと言ってみた)
逆に惜しかったところ
①寓意の解説をもっと知りたい
ボスやブリューゲルのモチーフは、弊職のような素人が見ても「ヘンテコだなー」
「面白いなー」
という所までしか理解できないんですよね。
このモチーフにはどんな意味があって、奇妙な姿だけどこんなメッセージがあって…
といった部分について解説パネルで説明があったら、もっと深く展覧会を楽しめたと思います。
まとめ
キモカワ?キモコワ?地獄の釜から出てきたような作品が集結!ボス、ブリューゲル、ルーベンス、マグリット、と錚々たる画家が名を連ねる本展。
「奇想」というと綺麗ですが、もっと生々しく、もっと怖い!
背筋が凍る体験をし、こんなに芸術が心と頭をかき乱すなんて!
と、アートの力に改めて虜になりました。
ベルギー奇想の系譜展、ぜひ行ってみてくださいね!
関連情報
ベルギー奇想の系譜展 公式HP面白い本を見つけました。
ボスの絵画に登場するモンスターを図鑑形式で紹介しています。
モンスターの名前や性格は著者の妄想ですが、こういう本って楽しいですよね。
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同じく「奇想」なら上野の国立西洋美術館のアルチンボルド展がおすすめです。
奇抜な西洋絵画ですがよく見ると野菜や植物、動物すべて、ため息が出るほどリアルに描かれています。
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