横浜トリエンナーレ、横浜美術館に行きましたか?

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横浜美術館がモダンアーティストたちのアトリエに!
3箇所で開催されている横浜トリエンナーレ。
どうしても1箇所しか行けないなら、横浜美術館をおすすめします。
28組ものアーティストが、目玉を打ち抜くできたてホカホカアート空間を演出していました!
今回もハイテンション・レビューです!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
 ①個性出すぎて印象に残りすぎ問題
 ②アートと呼べるのか?意味不明系プロジェクト
 ③ミステリアスな魔法を使った作品
 ④個人的にツボなドマイナー
3. 逆に惜しかったところ
 ①トリエンナーレの意味を説明していない
4. まとめ
5. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」
場所:横浜美術館・横浜赤レンガ倉庫1号館・横浜市開港記念会館
最寄駅:みなとみならい駅(横浜美術館)、日本大通り駅(横浜赤レンガ倉庫・横浜市開港記念会館)
会期:2017/8/4〜11/5
観覧料:一般は3館共通で1800円

【横浜美術館の展示概要】
作品数:約100点(体感)
所要時間:1.5時間
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



例えばこんな作品がありました

①個性出すぎて印象に残りすぎ問題

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パオラ・ピヴィ
濃いピンク「準備ができたら教えて」(2014年)
薄いピンク「私の大好きなジジ」(2014年)
黄緑と紫「I and I (芸術のために立ち上がらなければ)」(2014年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

このSNS映え!
カラフルなクマさんたちがお目当の方、多いですよね!

色の効果って不思議です。
ピンクのクマさんは優しそう
黄緑のクマさんは若々しい感じ。
対峙する紫さんは酸いも甘いも噛み分ける大人クマさんに見えます。

クマは茶色や黒、時には白がスタンダードですが、このカラフルさはクマにも個性があるんだよ!ってことを表しているかのようです。
クマ社会も中々大変そうです。

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各クマに思いっきり近づいてみました。
羽毛でできてる!哺乳類なのに!
フワフワ!
触りたい!

もうね、見た目気持ち良さそうすぎて、ついつい手を伸ばしちゃう人続出
インテリアのお店ではなく美術展なので、触っちゃダメっていうのはみんな知ってるんだけどね。
ついつい伸ばしちゃう人続出。
係のスタッフさんも注意するのに忙しそうでした。

ここで別の作家の作品に移ります。
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風間サチコ「第一次幻惑対戦」(2017年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

こんなクールな作品も。
大きめの絵画です。パキッとしたモノクロ
白黒だけど色んな種類の線があって、不穏な雰囲気が一発で分かります。

これね、凄いの。本当に分かりやすいの。
寄ってみましょう。
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風間サチコ「第一次幻惑対戦」(部分)(2017年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

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風間サチコ「第一次幻惑対戦」(部分)(2017年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

もう、説明をつけることがバカらしくなるくらい、分かりやすいですよね。
誰もが一度は疑問に思ったことがある、我が国の暗黙のルールです。
レールとも呼べるでしょう。

でも、見られる程度にはデフォルメされてる。
絶妙です。現代アートよく分からない派の方にチューニングされてるんです。
つまり、絵が上手いのと、風刺画として分かりやすいと言いたいのです。
正統派のアートだと思いますね。



②アートと呼べるのか?意味不明系プロジェクト

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ロブ・プルイット
CC BY-NC-ND 2.1 JP
(作品のタイトルが分かりません)

世界のお土産コレクションみたいになっちゃってますけど、作家がオークションサイトで販売しているものらしいです。
ちょっと本格的に訳わからないですね!
その訳わからなさが好きだ!

こういうのって、偉い批評家とかに
コレは社会的繋がりの希薄性を痛烈に批判する今迄に無かった作品
とか言われがちなんですが、
え?深い意味はないよ?
と切り捨ててくれそうなところが痛快です。(願望)
解釈に幅がある作品って最高

なかなか社会派な人のようで、オバマ前大統領の絵も一緒に展示されているんですよね。
オバマさんの絵と世界のお土産コレクション…カオス

もう1人紹介します。
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ザオ・ザオ「プロジェクト・タクラマカン」(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

タクラマカン砂漠の真ん中に冷蔵庫を持って行き、キンキンのビールを飲もう!

っていう企画です。
良いなー!実現しちゃう行動力が良い!
意味なんてこの際どうでも良いじゃない!

これについても、
ウイグル地区の孤立が展覧会のテーマであるガラパゴスと共鳴しており、かつてシルクロードとして栄えたはずの地がどのような星座であったか深く考えさせられる
とか、そういう難しい見方しても良いんですけど、
砂漠でビール飲みたい気分になっただけだよ
って景気良く言って欲しいですね、作者の方には。(願望)

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ザオ・ザオ「プロジェクト・タクラマカン」(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

米俵みたいなのは冷蔵庫の電気を引くためのケーブルです。
これ持って砂漠を移動するんですから、本人たちはどんな思いだったのでしょうか。
そんなにビールが飲みたかったのかな
アルコールは人を狂わせるねぇ…。



③ミステリアスな魔法を使った作品

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マーク・フスティニアーニ「トンネル」(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

これは実物じゃないと凄さが全然伝わらないですね!
その名の通り、トンネルです。
開発中のトンネルといった感じ。

これ、トンネルの終わりが見えますか?
見えないですよね。
写真だと分かりづらいのですが、無限に続いています。
やや右にカーブしているように見えるものの、非常に遠くまで続いています。

恐ろしいのが、これ、壁が結構薄いってことなんですよね…
何が言いたいか十分には伝わってない気がするけど…

正面から見ると長ーいトンネルなのですが、横から見ると薄い!
ってことです。

じゃあ正面から見たときの長さは一体どこから来てるの?
え、何だろうこの魔法、怖い…。


もう1個、魔力を持った作品。
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オラファー・エリアソン「Green Light -アーティスティック・ワークショップ」
CC BY-NC-ND 2.1 JP

難民やもともとの地元民、観光客など色んな人がアート作品を作るという過程を通して互いに理解を深めるという作品なんだそうです。
でも、そんな背景を知らずとも綺麗な作品ですよね。
緑の不思議な鉱物が宙に浮いているみたいです。

この人の作品の特徴は、光を上手く使った理系っぽいところです。
気持ちにフィットするんですよね。
驚きもあり、かつ安定感もあるアートなんです。
凄く緻密に計算されてる。

実は、エリアソン氏の作品は群馬のハラミュージアムアークで一度見たことがあるのです。
いやー、あれは感動したなぁ。
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写真だとただの白い光になってますが、が沢山できるんですよ。
詳しくはハラミュージアムアーク(群馬)の感想と楽しみ方の記事で。

なんと、8/21からはワークショップも開催するようです!
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エリアソン本人が来るのでしょうか?
そんなわけないか。



④個人的にツボなドマイナー

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ザ・プロペラ・グループ、トゥアン・アンドリュー・グエン
手前「AK-47 vs. M16」
奥「映画『インセプション』のコブに扮するレーニン」(2013年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

手前の作品はゼラチンの中で銃弾を衝突させ、それを固めたものなんですね。
ベトナム戦争をミニチュア化した作品とも言えるでしょう。
衝突させる瞬間の爆発のような映像も会場では見られます。
かなり驚くと思います。

ちゃんと2つの銃弾が正面衝突するまで、何回やり直したんだろう…とか考えると途方も無いです。
向かい合わせで銃を発砲させるので、危ないんじゃないかって気もします。
銃の変なところに引火したりしないのかな?

そういう危険を顧みず、表現したかったことがあるというわけですね。

しかしこの部屋、肖像画のかけられた部屋に標本が安置されている様子が、成金の悪趣味な部屋っぽくないですか?

別の角度から。
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ザ・プロペラ・グループ、トゥアン・アンドリュー・グエン
手前「AK-47 vs. M16」
奥「映画『J・エドガー』のJ・エドガー・フーパーに扮するレーニン」(2013年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

ね、成金の部屋っぽい

それにしても、「○○に扮するレーニン」の○○の部分は、すべてレオナルド・ディカプリオの役名でした。
まさかここで美術ファンではなく映画ファンを獲得しようとしているとは…!
もう支離滅裂です。
作者はディカプリオとレーニンの顔が似ていると言いたかったのでしょうか?
それともディカプリオの絵を描きたかっただけなのでしょうか?


…とりあえず先に進みます。
次の作品は弊職が最も気に入った作品です。
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リクリット・ティラヴァーニャ「無題 2017 (下水の一滴は海を変えられるか)」(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

カメの甲羅っぽくて、それだけで動物贔屓の弊職は作品が大好きになったんですが、
この作品、「これより中には入らないでね」サインとして床に貼られたテープが凄く良い味出してると思いませんか?

この中にカメがワープされてきたかのよう!
猫転送装置って少し前に流行りましたよね!
なぜ九角形という難しい形になったのかも謎です。
九角形は作るのが八角形や十角形よりも難しいのですが…。

本作は周りのテープによって圧倒的に良くなった、類を見ない作品です。
未だかつて、鑑賞者を牽制するテープを巻き込もうという発想の作品なんて存在しませんでしたからね。
これは偶然なの?意図されていたの?



逆に惜しかったところ

①トリエンナーレの意味を説明していない

弊職は会場で他のお客さん同士の会話を盗み聞きするのも趣味の一環なので、今回はこんな疑問が多かったです。

「トリエンナーレって何?」

普段アートに触れない人からすると、何のことか分からないんですよね。
言葉の意味が分からずモヤモヤしながら作品を鑑賞する人がいるのです。
説明書きがあった方が良かったかもしれないです。

「トリエンナーレの意味を説明してない!」
とご立腹のマダムもいらしたことですし。

ちなみに、トリエンナーレの意味はこちら。
類義語のビエンナーレについても書いています。
今さら聞けないトリエンナーレとビエンナーレの違いと歴史



まとめ

アートは横浜美術館で燃えていた!

今回の横浜トリエンナーレはテーマが難しいものの。
解釈の幅が広い作品や、よく分からないけどツボにはまる作品など、現代アートらしさが全面に出ていました。
綺麗なものを味方に、汚いものと戦う芸術の精神がメラメラと燃えていました!

横浜トリエンナーレ、横浜美術館、ぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

横浜トリエンナーレ 公式HP

10/16、ようやく図録が発売になりました!
島と星座とガラパゴス ヨコハマトリエンナーレ2017 公式図録
横浜トリエンナーレ組織委員会
by ヨメレバ



横浜トリエンナーレの他会場の感想レポートです。





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