横浜トリエンナーレ、赤レンガ倉庫に行きましたか?

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※外観の写真を撮り忘れたので、会場周辺に突如現れた巨大ピカチュウとポケモントレーナーさんたちの写真です。
もはやモザイク祭。


アートの守備範囲はここまで広くなっていたのか!
色んな種類のアートがありましたね。
やっぱりこういう作品が好きだなって再確認したり。
こんな新しい発想があったのか!と悔しくなったり。
今回もハイテンション・レビュー、行きましょう!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
 ①緻密な計算とセンスの鬼
 ②幻覚と見間違う非現実的アート
 ③これはアートなのか!?意味不明系プロジェクトその2
3. 逆に惜しかったところ
 ①順路が分かりにくい
4. まとめ
5. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:ヨコハマトリエンナーレ2017「島と星座とガラパゴス」
場所:横浜美術館・横浜赤レンガ倉庫1号館・横浜市開港記念会館
最寄駅:みなとみならい駅(横浜美術館)、日本大通り駅(横浜赤レンガ倉庫・横浜市開港記念会館)
会期:2017/8/4〜11/5
観覧料:一般は3館共通で1800円

【赤レンガ倉庫の展示概要】
作品数:約50点(体感)
所要時間:1時間
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



例えばこんな作品がありました

①緻密な計算とセンスの鬼

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宇治野宗輝「プライウッド新地」(部分)(2017年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

これは何でしょうか?
木箱と怪しげな機械が組み合わさっていますね。

実はこの装置、音が出るんです!

弊職はこの作品を見る前、隣の部屋にいたのですが、壁を突き破って

ドゥンッ!

という音が聞こえました。
それはもうドゥンッ!と表現するしかない音です。
耳の内圧もドゥンッ!っと上がりましたね。
全身の血液が一瞬で耳に集まりました。

上の写真は作品のごく一部で、色んな装置が点々と置かれているんです。
しかも音が出るだけでなく、機材が動くのです。
この車のワイパーが無意味に取り付けられたギターのシルエットなんて、バイオリンを奏でるかのように優雅でしたよ。
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宇治野宗輝「プライウッド新地」(部分)(2017年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

これのシルエットですね。
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さて、それぞれの機材からそれぞれのタイミングで音が出始めます。
どんな音がするかというと、

ギュイーン!

ブォーッ!

ドゥンドゥンッ!

って感じです。
一応、ドライヤー扇風機ギターなどなど、みんなが知っている機械を組み合わせ、音を出しているんですね。

ただし、宇治野さんの手にかかれば生活音が打楽器の演奏になるんです!
普通に聞いていられるミュージックになるのです。
どんな計算をしているんでしょうか。
物凄くよく練られてます。

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宇治野宗輝「プライウッド新地」(部分)(2017年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

これがプライウッド新地のシティマップです。
それぞれの機材が町を作っている構成のようですね。
まるで人間の住む町の縮図みたいです。
どの建物からも生活音が鳴り、町全体で一つの音楽を作るイメージが伝わってきました。


実際、会場での視聴率も良い感じでしたし、宇治野さんのファンになった方もいるのでは?
そんなあなたにオススメなのが六本木の森美術館です。
2017/7/5〜10/23まで、宇治野さんの作品が展示されています。
サンシャワー展と同じ会場です。

なんか聞き覚えのあるサウンドだなぁーと思ったら、森美術館で聞いていたんですね。
その時もドゥンッ!と耳の内圧が高くなりましたよ。
しかも音が出るとは知らずに近づいていたため、目の前で機材が動き始めて驚きました。
アメリカのアニメみたいに飛び上がってしまいましたね。



②幻覚と見間違う非現実的アート

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照沼敦朗「ミエナイ ノゾミちゃんの視界コンプレックス」(2017年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

随分と細かい絵ですね。
とてもカラフルだし、幻覚を見ているのかと錯覚してしまいます。
登場人物も、少し前に流行ったこびと図鑑みたいな感じです。
アニメアニメしてます。

既にインパクト抜群の作品ですが、驚くのはここから!

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照沼敦朗「ミエナイ ノゾミちゃんの視界コンプレックス」(2017年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

これ、同じ作品です!
プロジェクションマッピングこびと図鑑みたいなキャラクターが動いているかのように見せてくれるんです。
というか、これ本当にプロジェクションマッピングかな?
キャラが動き出したように見えたのは、やっぱり幻覚だった、ってことはない?

結構長い時間この作品の前にいたのですが、それはそれはショックでしたよ。
自分の目が何を見ているのか全く信じられなくなりましたからね。

無理やり解釈するなら、ノゾミちゃんが妄想の中で止まった記憶に命を与えてるのかなって気がしました。
あと、ノゾミちゃんらしき人の声で何か語る音声も流れているのですが、あまりよく聞き取れませんでした。

また、この作品には対になるもう1つの作品があります。

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照沼敦朗「ミエテル ノゾム君の夢製造伝奇」(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

これも描き込みが激しいですね…。
しかし、「見えてる」方が白黒なのは面白いアイディアです。
夢なのに、白黒
逆かも。夢だから白黒なのかな?
この作品も人によってかなり解釈が変わってきそうで素敵です。
解釈に幅がある作品が好き。



③これはアートなのか!?意味不明系プロジェクトその2

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キャシー・プレンダーガスト「アトラス」(部分)(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

あえてこの作品を褒めたいです。
真っ黒に塗りつぶされた本なのですが、よく見ると白い点が沢山あります。

これ、実は地図なんですね。
地図って、都市があるところに白い丸が書いてあるじゃないですか。

東京○

みたいな。
この白丸だけを残し、あとは塗りつぶしたのがこの作品です。
星空みたいにも見えますね。

これだけだと凄そうに感じないのですが、この写真を見てください!

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キャシー・プレンダーガスト「アトラス」(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

なにこの量!!
全部塗りつぶした地図!!

100個くらいあるらしいです。

しかも、1つ1つの本を比べてみると…

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キャシー・プレンダーガスト「アトラス」(部分)(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

開いているページが違う!
さっきの画像と白丸の位置と密度が違うよ!

ということは…

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キャシー・プレンダーガスト「アトラス」(2016年)
CC BY-NC-ND 2.1 JP

絶対、並べ方にもこだわりがあるよ…
多分ですが、地図のページが繋がるように配置してるんのではないでしょうか。

もうね、悔しい
本を塗りつぶすのなんて誰にでもできそうじゃないですが、アイディアさえ思いつけば。
それを、実際にやってしまうところが羨ましいんですよね。
しかも、途方も無い集中力で100個も作ってしまうという。

才能とかセンスではなく、多様性の最先端を行っているところが凄く良いです。
ダイバー・シティですね。(小池百合子)


ところで真面目に解釈すると、英語のAtlasにはざっくり2つの意味があります。
地図帳」と「天空を担ぐ巨人」です。
このダブルミーニングを同時に表現したのがプレンダーガストさんの「アトラス」なのでした。
(重要なことほどサラッと言う)



逆に惜しかったところ

①順路が分かりにくい

時計回りでも良いし、反時計回りでも良い。
自由に回れる展示会場でした。

それも面白いのですが、弊職のような方向音痴は順路が無いと全ての作品を見られたかどうか、不安になってしまうんですよね…。
気づけば同じところをグルグル回っていて、次の部屋に行けなかったりとかします。

個人的な問題のような気がしてきましたが、他に言いたいことが特に無いので、一応言っておきました。



まとめ

赤レンガ倉庫は現代アートの幕の内弁当!

「作品の種類の多様さ」という点は、他の2会場を凌駕していたと思います。
それでいて、分かりやすい作品が多かったです。
たった12組のアーティストの作品で、こんなに幅のある展示ってできるんですね!
お気に入りの作品が絶対に見つかります。

横浜トリエンナーレ、赤レンガ倉庫、ぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

横浜トリエンナーレ 公式HP

10/16、ようやく図録が発売になりました!
島と星座とガラパゴス ヨコハマトリエンナーレ2017 公式図録
横浜トリエンナーレ組織委員会
by ヨメレバ



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