アンリ・ルソーの真作が新たに見つかったかもしれない事件!

こんなニュースを見ました。
Museum of Naïve Art and Unique Arts, Laval receives painting attributed to Douanier Rousseau
BY BLOUIN ARTINFO | AUGUST 31, 2017


NHKのおはよう日本でも同じニュースをやっていたのですが、なぜか記事が見当たりません。
英文ニュースで失礼します。

どんなニュースかというと、

アンリ・ルソーという画家の真作らしき作品が、フランスはニースの国際素朴派芸術美術館に寄贈されました。
贈り主は匿名で、「ルソーの地元にある美術館なのに、ルソーの作品が少なかったから」という理由で寄贈したそうです。
作品には真作証明書がついており、真作っぽいと思われるものの、念のため調査を行います。

とのこと。
寄贈する理由が資産家っぽすぎて妬ける!!

それでは、その寄贈されたルソー作品を見てみましょう。

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「漁師のいる風景」とそれを嬉しそうに持つ女性
出典:http://www.blouinartinfo.com/news/story/2484788/museum-of-naive-art-and-unique-arts-laval-receives-painting

うおぉぉぉお!!!
これはルソーの真作だっっっ!!!
凄すぎるぅーー!!!


…とはならないでしょう。
テレビで見たときは中々鮮やかな色彩で、確かにルソーっぽい!と思ったものですけれども。

そもそも、ルソーの知名度が結構心配でした。
そこで今回は、真贋の鑑定結果を楽しみに待ちつつ、ルソーの凄さを語ります!


元祖ヘタウマ…というか、下手?

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「私自身:肖像=風景」(1890年)

…ざわざわ。
上手いような、下手なような。やっぱり上手いのか?
褒めるのも貶すのも難しい絵です。

風景に対して人間が大きすぎるんですよね。
でも、背景は結構ちゃんと描けてる。
雲なんか色のグラデーションが綺麗です。形も雲っぽい。

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「人形を持つ少女」(1904-1905年)

ヤバい!ヤバすぎる!
人間を描くのが下手なのかな…?
少女じゃないな…おじさんかな。
草むらの上で空気イスしてるみたいな変な体勢だし…。

と、こんな感じで元祖ヘタウマとして知られるルソーさん。
でも、彼の芸術の奥深さはこの2枚じゃ伝わらないんです。

弊職は結構好きなんですね、ルソーの作品。
ここからは、筆舌の限りを尽くしてルソーの絵を褒めていきます!


ルソーは絵が上手かった!

そんなルソーですが、下手だったのか?というと、それは違うと思うんです。
色んな意味で実は上手かったのです。

本物そっくりに描ける絵の上手さとはちょっと違うんですけど、なんていうのかな、絵以外の所が天才的に上手い。
あれ?この表現しっくりくる。

そう、絵以外が物凄く上手いんです。
何を言っているのか分からなくなってきました。


色使いの鮮やかさとセンス

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「熱帯風景、オレンジの森の猿たち」(1910年)

植物のグラデーションが滑らかで綺麗じゃないですか?
葉っぱらしさ・果物らしさとは違う立体感があるんですよね。
つるんと滑らかな感じ。

それに、色使いの加減!
ほとんど一面緑のジャングルの中に、時々鮮やかな色が咲いています。
緑とオレンジが調和していて、すっと受け入れられる絵です。


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「蔦の枝のあるブーケ」(1909年)

花は結構上手いですね!
全体的に花も葉っぱも正面を向きすぎなんですが、そこがルソーっぽいです。

赤と緑の反対色を上手く使っていて、瞼に焼きつく色彩です。
赤と黄色の花びらが交互に重なるチューリップのような花が可愛いです。


こうして見ると、鮮やかで綺麗な色彩なのですが、ちゃんとまとまっています。
赤系と緑の組み合わせが得意だったのでしょう。

派手すぎず、地味すぎず、色彩に関しては凄く良い線行ってると思いません?


創造力に支えられた構図

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「夢」(1910年)

これはもう傑作だと思うんですよね。
一見、女性がジャングルで横になってるだけの絵なんですが。

よーく見ると、色んな動物が見えてきます。
鳥、トラ、ゾウ、ヘビ…

植物をバランス良く配置して、尚且つ動物を茂みに隠すというトリック。
見つめれば見つめるほど、絵の意味が変わってくるのです。
よく考えたなー!


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「眠るジプシー女」(1897年)

こちらの絵も素敵。
空のグラデーションが凄く綺麗で、ロマンチックな夜ですよね。
その下で、眠る女性を見つけてしまったライオン
これは、次の瞬間を想像せざるを得ません。
ガブッと行っちゃうのかな…?

凄いなぁ。なんでこんな構図を思いつくんだろう?
でも絵が上手すぎないから、あまりリアルじゃないんですよね。
そこが逆に良いです。
痛みというより、官能を想像してしまいます。
空がロマンチックだからかな?


ずっと変わらない作風

初期の頃の作品はこんな感じ。
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「熱帯嵐のなかのトラ」(1891年)

晩年はこんな感じ。
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「馬を襲うジャガー」(1910年)

この安定感…!
30年隔たった作品とは思えないほど、作風が完全に一致しています。
これ以上、上手くもならなければ下手にもならないのです。

しかし常に同じクオリティで絵を描くというのは大変なことです。
下手な人だったら、まぐれで上手く描ける絵があっても、大体下手ですからね。
同じレベルの「ヘタウマ」を保つことこそ、本当に難しいことなんじゃないかと思います。

その意味で、ルソーはプロフェッショナルです。
作風のブレなさがずば抜けてます。


意外にも良い所が沢山あった!

ルソーは凄く上手い画家なのですが、絵が下手だったんですね。
でも、それが返って味になってるから凄いんです。

ルソーはその下手さ故に、当時の批評家たちに笑い者にされていました。
それが今や、人気画家の一人ですよ。
時代を先取りしすぎていたのです。


関連情報

そういえば、原田マハさんの「楽園のカンヴァス」はルソーの話でしたね。
表紙は「夢」。
楽園のカンヴァス (新潮文庫)

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西洋美術史の代表的な画家について、マンガで分かりやすく解説してくれている本。
これの表紙もルソーです。
西洋美術史の顏になるとは、誰も想像してなかったことでしょう。
マンガでわかる「西洋絵画」の見かた: 美術展がもっと愉しくなる!

まつおか たかこ 誠文堂新光社 2016-10-06
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