驚異の超絶技巧展に行ってきました。

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日本美術史を変えるトリックスター! 血と汗と涙の神業作品ばかりで、感性がうにゃっとなりました。 美術に詳しい人は、知らなかった作品に出会えます。 美術館は敷居が高くてちょっと…な人は、本展で美術館にどハマりするでしょう。 そして、今回は初めてのブロガー向けイベントだったのです。 企画者の皆さん、ありがとうございました。 感謝の気持ちを爆発させながら記事を書きました。 〜目次〜 1. 展覧会の基本情報 2. 例えばこんな作品がありました  ①とにかく分かりやすい!時間を忘れる!  ②神経をすり減らす完璧・完全芸術  ③神の領域を侵したリアリティー  ④触ってみたい、動かしてみたい 3. 逆に惜しかったところ  ①単眼鏡を持って行かないと損 4. まとめ 5. 割引情報 6. 関連情報

展覧会の基本情報

展覧会名:驚異の超絶技巧!-明治工芸から現代アートへ- 場所:三井記念美術館 最寄駅:東京メトロ銀座線 三越前駅(A7出口から徒歩1分) 会期:2017/9/16〜12/3 作品数:約140点 所要時間:1.5時間 観覧料:一般は1300円(割引あり)

例えばこんな作品がありました

ブロガーナイトで撮影した写真を掲載しています。 普段は撮影不可の作品がほとんどですので、ご了承ください。

①とにかく分かりやすい!時間を忘れる!

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【現代】高橋賢悟「origin as a human」
こちらは現代の作品です。 綺麗…お花と骸骨なんて禁断の組み合わせ死者が冠を被っているかのような、退廃的メルヘンな世界観です。 この作品のお花、物凄くリアルですよね。 なんと、本物のお花を型取りして、アルミを型に流し込んで作っているのです! というか、「本物のお花を型取り」ってどういうことなの? お花って型取りできるの? しなしなっとならないの? 意味がわからないですよね。 技術力が高すぎて、常人には理解できません。
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【現代】高橋賢悟「flower funeral: cattle」(部分)
こちらは同じ作家の別の作品なのですが、どんなに近づいてもリアルなお花。 型取りしているからこその美しさ。 しかも、大きなお花だけでなく、全体的に敷き詰められている小さいお花も型取りなのです! 益々、意味がわからない…凄すぎます。 美しすぎて溜め息しか出てこない…。 好き…。
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【明治】三代 正直「釣瓶に蝦蟇」
こちらは明治時代の作品です。 人が居なくなった隙に、瓶からワラワラ出てくる蛙たち。 蛙がちょっと笑っているように見えて、愉快です。 これ、1つの木から彫り出したらしいですよ!! パーツを作って組み合わせるのではなく、1つの木なのです。 つまり、瓶本体も、蛙たちも、ニュルニュルかたつむりも、全部くっついた状態で彫り出されているのです用意周到すぎる!
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【明治】三代 正直「釣瓶に蝦蟇」(部分)
にゅるん。 蛙が顔を出してます。 木特有のツヤに色気を感じます。素敵。 このように、本展は芸の細かい作品ばかりです。 何時間見てても飽きないです。 見れば見るほど、感動の波が大きくなります。 一見して「凄い!」と分かる作品もあれば、「何が凄いのかな?」と迷う作品もありますね。 迷う作品については、作品横の解説を読んでみてくださいね!
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【現代】青山悟「Light and Patterns 2」
見てて飽きない作品といえば、これかな。 真っ白でうっすら植物の模様が描いてある刺繍。 ところでこの作品の展示室、30秒ごとに照明が点いたり消えたりするんですね。 消えた状態がこちら。
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【現代】青山悟「Light and Patterns 2」
えぇーーーっ!!! 光ってる!!! 明るい間に光を溜め込み、暗くすると黄緑色に光る、蓄光素材ってあるじゃないですか。 あれを糸に練り込んで刺繍作品にしたのです。 その発想は無かった…!! 暗い状態は30秒なので、明るくなると次の30秒が楽しみなんですよ。 この作品は1日中見ても飽きないだろうなぁ。

②神経をすり減らす完璧・完全芸術

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【現代】稲崎栄利子「Arcadia」
あらやだ、素敵な異世界に来ちゃった。 海の底のどこかに、こんなお城がありそうです。 これも作り方がよく分からないのですが、細かいパーツを作っては繋げ、作っては繋げ、で大変時間がかかっているとのこと。 なんと、制作期間1年半!! 1年半もの間、情熱と集中力を燃やして作られた作品なのです。 神業
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【現代】稲崎栄利子「Arcadia」(部分)
特に気に入った部分をアップにしてみました。 この隙間から、親指姫サイズの人魚が出てきそうじゃないですか? 具体的なモチーフでないからこそ、想像力が掻き立てられます。
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【現代】橋本雅也「ソメイヨシノ」
これも、おったまげですよ! 素材は鹿の角なのです! 信じられないでしょ!! 鹿の角を彫って、ソメイヨシノにしちゃったんですね。 白く儚い佇まいが、春の始まりに咲き誇るソメイヨシノにそっくりです。 切ない気分になってしまいます。
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【現代】橋本雅也「ソメイヨシノ」(部分)
恐ろしいのが、花びらのディティール! こんなに薄く、鹿の角を彫ることができるものでしょうか? 花びらの微妙なシワや折れも、完全に再現されています。 一体、どんな手をお持ちなのでしょうか? 人間の業とは思えません。 神の手ホルダーに認定したいと思います。

③神の領域を侵したリアリティー

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【明治】安藤緑山「胡瓜」
ポスターにもなっている胡瓜。 これが象牙だなんて、誰が信じることでしょうか。 食品サンプルと言われても納得できません。 胡瓜もトゲトゲで新鮮ですし、お花や葉っぱも可愛いです。 さらに、ツルみたいな部分の細さ…! 少しでも触ってしまったら、ポキッと行ってしまうことでしょう…。
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【明治】安藤緑山「松竹梅」清水三年坂美術館
同じく安藤緑山の象牙作品。 象牙から彫ったということにも驚きますが、着色の上手さにもビックリです。 これは神の領域を侵したね…。 凄すぎて褒め言葉の方が先に尽きます。
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【現代】橋本雅也「キク」高橋コレクション
上に載せたソメイヨシノの橋本さんの作品です。 キクのお花部分が光ってしまって残念な写真なのですが、花びらの開きかけの様子が本当に美しくて…。 こちらも鹿の角なのです。 信じられます?このリアリティー。 しかも真っ白で本当に綺麗なんです。 まるで神が宿ってるような感じ。
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【現代】前原冬樹「一刻:皿に秋刀魚」
あちゃー、秋刀魚の食べ残し置きっ放しにしたの誰? 肝は食べて身は残すなんて、通な舌をお持ちのようですな。 と、思うなかれ。 これ、1本の木から彫り出された作品なのです! 秋刀魚の細い骨、一体どうやって彫ったのでしょうか。 存在が奇跡ですよ。 しかも、芸大で油彩を勉強していた方なので、色付けも物凄く上手いです。 美味しそうに焼かれています。 そして驚くのは、お皿も含めて1本の木から彫られていること! 秋刀魚をお皿に載せたんじゃないですよ! 秋刀魚もお皿も同時に彫ったのです! いやー、凄いな。 前原さん、若かりし頃はプロボクサーだったと聞いております。 理解を超えています。 アートの定理は頭のネジが外れた人を応援しています。

④触ってみたい、動かしてみたい

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【明治】高瀬好山「飛鶴吊香炉」
これもリアルな鶴ですね。 中々大きい作品で、見ごたえもあります。 この作品、なんと動かせるようにできているのです! くちばしの部分が開いたり閉じたりできるのだそうです。 それに連動して、翼が伸びたり縮んだりするそう。 こういう「からくり」的な仕掛け、大好きです。 動いているところ、見たいなー。 一部の作品は、動かしている映像が流れております。 こちらも一日中見ていられますね。
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【現代】大竹亮峯「自在 眼鏡饅頭蟹」
このも動くんですって! 木からできているからか、温かみがあって愛嬌のある蟹ですね。 トコトコ歩いてるところを想像してしまいます。 この蟹も横にしか動かないのかな?
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【明治】石川光明「兎」清水三年坂美術館
こちらのうさぎは動きませんが、とにかく愛らしい! 撫でたい!モフモフしたい! 木彫りなのに、ふわふわ感があって堪りません。 仲良しうさぎ可愛いです。 触りたい…。

逆に惜しかったところ

①単眼鏡を持って行かないと損

先に言っておくれ…と思いました。 技が細かすぎて、この展覧会、200%楽しむためには肉眼では足りません。 メガネの度が合ってない人は合わせてから行きましょう。 とにかく、単眼鏡を持って行くと隅々まで楽しめます! 弊職のおすすめは、いつも載せてるビクセンのやつです。 美術品鑑賞に最適な倍率・小ささ・シンプルさなのです。

まとめ

もう褒め言葉がありません! どうやって作ったのか全然理解できない、神の領域の作品たち。 明治時代の神業が残っていることも凄いし、今のアーティストによって神の作品が作られていることにも感動しました。 手作業はどこまでミクロを突き詰められるのか? 凄く凄い展覧会です。 驚異の超絶技巧展、ぜひ行ってみてくださいね!

割引情報

和服・ゆかたで展覧会に行くか、またはアートアクアリウムの半券で割引になります。 一般:1300円→1000円 大学生・高校生:800円→600円 大人は300円引きですよ! これは大きい! アートアクアリウムは9月24日までなので、はしごするなら9月中になります。 詳しくは
驚異の超絶技巧展の公式HPの下の方を参照してくださいね。

関連情報

驚異の超絶技巧展 公式HP 解説してくれた山下裕二先生の本。 現代の超絶技巧アーティストを特集しています。 この記事で載せられなかった作品の写真がまだまだ沢山あります! ツイッターの方で紹介していきますね。 現代アートといえば、東南アジアの作品が六本木に集結してますね。 大人気の展覧会。 スタンダードに日本画の展示が千葉市美術館で開催されています。 とってもおすすめです。 他にも沢山書いてきたなぁ…。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
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