怖い絵展に行ってきました。

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恐怖は鑑賞者にも伝染する!
本展の作品を見ていると、絵の中の人の痛みや悲しみがあなたの体にも伝染します。
こんなに共感した展覧会、初めてです。
首筋とか、急にヒリヒリし始めるから気をつけて!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
 ①女は美しいほど怖い
 ②悲劇のヒロイン中のヒロイン
 ③現実逃避のファンタジー
 ④ネタが切れない怖い絵
3. 逆に惜しかったところ
 ①同じ画家の作品はまとまっていて欲しい
4. まとめ
5. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名:怖い絵展
場所:上野の森美術館
最寄駅:JR上野駅
会期:2017/10/7〜12/17
作品数:約80点
所要時間:2時間
観覧料:一般は1600円



例えばこんな作品がありました

今回はなんと、プレス内覧会にお邪魔する機会を頂くことができました!感極!
額も一緒に写っている写真は内覧会で撮ったもので、主催者の許可を頂いて撮影したものになります。

作品だけの写真はいつも通りパブリックドメイン表示のある画像を貰っています。


①女は美しいほど怖い

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ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス「オデュッセウスに杯を差し出すキルケー」(1891年)
オールダム美術館


絶対、毒入ってるよね。

飲み物の毒は勿論だけど、左手で持ってるし、益々気をつけた方がいいですね。
確実に魔女ですわ。

この作品を解釈するポイントは、キルケー(美女)の後ろの鏡に映っているオデュッセウス(おじさん)なんですよ、きっと。
このおじさんに毒盛ろうとしてるんだろうな、と。

しかし、女性が美しすぎて他の何も目に入って来ません。
顎が上がってかなり上から目線なのも良いですよね。
毒入りって分かってるけど、拒否権ない感じ。
見ちゃうなー、この絵。


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ハーバート・ジェイムズ・ドレイパー「オデュッセウスとセイレーン」(1909年)
リーズ美術館


セイレーンというのは右側から船に乗り移ろうとする3人の美女のことです。
水の中では人魚なので、船に上がっていないセイレーンは下半身が魚みたいな状態ですね。
滑らかでヌルッとした青緑色の鱗が魔物っぽくて最高です。
水から出ると人間と同じ体になるので、他の2人はがあります。

いやー、しっかし美女ですよね、3人とも。
あまり顔はしっかり見えないのですが、存在感が美女なのです。

セイレーンたちは歌声で男を狂わせる魔物なのですが、弊職的には、重要なのは美しさだと思います。
綺麗な女の人が一生懸命歌うから人間が心を乱すわけですよ。
不美人が頑張って歌ったところで、大口開けたらブルドッグですからね(経験談)。

だから、これら2枚の絵から思うのは、女性は美しければ美しいほど怖いということ。
しかも、どちらもラファエル前派の画家で特徴的な甘ったるさです。
ため息出ちゃうね。
罪だわ。美しさって罪。

男性諸君はよく考えてから行動しましょうね。

こんな美女がなぜ俺にワインをくれるの?
こんな美女がどうして俺のために歌ってくれるの?

200%ハニートラップです!
気をつけなはれや!!




②悲劇のヒロイン中のヒロイン

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ポール・ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」(1833年)
ロンドン・ナショナルギャラリー


本展で一番大きい作品です。
これはもう、説明不要の恐ろしい場面

ジェーンは目隠しをされていますが、確実にスーパー美女ですね。
白くてハリのある肌や、ツヤツヤの髪ピシッと通った鼻筋が美女ですもん。
しかも若い
白いドレスが絶対に似合う人。

こんな若くて綺麗な少女が、右端に立っている処刑人に斧でドサっとやられるわけです。
せめて苦しませないであげて…
ひと思いに…
と願わずにはいられません。

恐ろしいのは、画家の想像力ですよね。
こんな場面、画家は見たことないはずですし、そもそも史実とはかなり違うとのことです。
左端の女中はいるはずがないし、処刑も屋外で行われていたはずなのです。

だから、ジェーンの処刑をいかに悲劇的に描くか?
というのが目的だったのでしょうね。

だって、色々考えちゃう
きっと政略結婚だったんだろうし。
楽しかった思い出恋愛の思い出、ちゃんとあるのかなって。
心配になってきちゃう。
胸がぎゅーんですよ、少女を思うと。

ところで、展示風景はこんな感じ。

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中野京子さんはギャラリートークで「額縁も一緒に来てくれて良かった。簡易的な額縁じゃ嫌」的なことを仰っていました。
美術専門家は額縁の違いも分かるのか…専門家凄い。
でも確かに、ジェーンの高貴さに合う重厚な額縁ですよね。


もう1枚、別の絵を紹介しますね。
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フランソワ=グザヴィエ・ファーブル「スザンナと長老たち」(1791年)
ファーブル美術館
※変な角度がついてる写真でごめんなさい


2人の男性に退路を塞がれて涙ぐむ裸の女性。
言うことをきかねば死刑」らしい。

となれば、弱みを握られて無理矢理…みたいなことが想像できるわけです。
見ているだけで下半身が痛いです。
つらい

しかもこの作品、なかなか立派なサイズなんですよね。
作者や注文主は何を思ってこんな可哀想な場面を大画面に描いていたのでしょうか…。
答えによっては許せないですね。


ジェーンにしろスザンナにしろ、どうやら人間は美女×不幸に心をかき乱されるみたいです。
男性の皆さん、女性を大切にしてくださいね…。



③現実逃避のファンタジー

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チャールズ・シムズ「そして妖精は服を持って逃げた」(1918-19年)
リーズ美術館


可愛くないですか!?
まず、お母さんと赤ちゃんが可愛い。
理想の英国親子って感じです。

そして、画面左下で白い布を運ぶ大量の小人たち!
赤ちゃんの洋服だと思います。
小人たちがキャーキャー言う声が聞こえてくるようで可愛いんですよ。

一生懸命走ってるんだけど、全然速くなさそうな所も良いです。
人間の歩くスピードより遅いくらいなのに、追いかけないお母さんも良い

弊職はこういうファンタジーな世界観が大好きです。
妖精など空想上の生き物が身近にいて、良い感じの距離感を保ってる感じ。
漫画で言うと「魔法使いの嫁」。(10/7からアニメがスタート!)


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チャールズ・シムズ「小さな牧神」(1905-06年)
ケンブリッジ大学、フィッツウィリアム美術館


同じ画家の作品で、こちらの絵も可愛くて大好きになりました。
テーブルの上で小さいケンタウロスが躍動してるんですが、誰も迷惑してないんですよね。
飼い猫がちょっとふざけてる程度の感じで受け入れられてます。

2枚とも幸せそうな絵なのですが、なんとなく違和感があるんですよね…。
あえて人間よりも弱い存在を作ろうとしているかのような…。
弱者としてケンタウロスや小人を描いているような気がするのです。

そう、小さい生き物にやたら寛容なのが逆にモヤモヤするんですよね。
あえて「弱者に寛容である人間」を描いているように見えませんか?
逆に、幸せとは正反対の荒れた世の中を描写しているように見えてくるのです、弊職には。
つまり、現実逃避以外に選択肢がない状況。

こう「歪んだ想像」をしてしまうのは、「妖精的なもの」を絵の中の人が完全に受け入れてしまっているからだろうなぁ。
みんな判断力が無くなっちゃってるんです。
ファンタジーな世界は大好きなんですけど、妖精の存在に驚く人がいないと、おかしな感じがするものなのですね。

ところで、ケンタウロスの絵の左上の辺りをよく見てみてください。

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誰!?

人っぽいのいるよね!?
怖っ!




④ネタが切れない怖い絵

よく「怖い」という抽象的なテーマでここまで沢山の作品を集めたな、と驚きます。
というわけで、ここからは弊職が怖っ!って思った作品を巻きで載せていきます。
テンポアップ!

※壁や額縁が入っているのは内覧会で主催者の許可を得て撮影した画像です。

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ジャン=ポール・ローランス「フォルモススの審判」(1870年)
プチ・パレ美術館


やだよー骸骨怖いよー…
審判も何も、もう死んでるから…。


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ウォルター・リチャード・シッカート「切り裂きジャックの寝室」(1906-07年)
マンチェスター美術館


切り裂きジャックで知られる連続殺人犯は未だに正体が分かっていないのですが、シッカートが有力候補になっています。
いやもう自白してるじゃん…
サイコパス…。


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チャールズ・シムズ「クリオと子供たち」(1913 -1915年)
ロイヤル・アカデミー


サウンド・オブ・ミュージック的な平和な絵…と思いきや、右の女性が持ってる布みたいなやつが血まみれ!
結構リアルな染まり方で気持ち悪い…。


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エドヴァルド・ムンク「マドンナ」(1985/1902年)
群馬県立近代美術館


ぶ、不気味…。
可愛い女性なのですが、女性の周りをうにゃうにゃ曲がる曲線と、精子の回遊が…。
そして左下のは何なの?胎児…?
グロテスクね…。


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フレデリック・グッドール「チャールズ1世の幸福だった日々」(1853年)
ベリー美術館


幸せ溢れる明るい絵なのですが、
①本展で怖い絵を見まくった後、最後の方にある
②タイトルの付け方がズルい

という2点のため、一瞬で意味を理解できてしまう…。
悲しい…。



逆に惜しかったところ

①同じ画家の作品はまとまっていて欲しい

基本的には、近いところに同じ画家の作品をまとめています。
チャールズ・シムズの作品など連続して見られて良かったです。

が、ムンクやモッソはそれぞれ離れて展示されていたので、画家の個性が伝わりづらく感じることがありました。

「さっきも似たようなタッチの作品があったような…?」
と思い、順路を戻って作品を探す…ということが多かったです。

いや、弊職の記憶力が皆無なのがいけないんですけどね。
数分前に見た作品くらい覚えていないとダメなんですけどね。



まとめ

恐怖と言う名の美学を発見!

「怖い」って原始的な感情なんですよ、きっと。
「危険!」「痛い!」「逃げろ!」って感じ。
だから、作品に対して「これ危険だな」って本能が反応するんです。
だけど、本展の作品は怖さと美しさを両立してるから、「目が離せない!」って気持ちになるんですよね。
凄いよ、芸術の力。

怖い絵展、ぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

怖い絵展 公式HP


中野京子さんの怖い絵シリーズは全部おすすめですが、展覧会に合わせて刊行された「怖い絵のひみつ」は展覧会の予習にも復習にも良い感じ。

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幸せな作品を見たくなったら…シャガールですね。



他にも沢山書いてきたなぁ…。
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