国立西洋美術館の外のロダン彫刻たち

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オーギュスト・ロダン「考える人」
国立西洋美術館


日本で最も有名な彫刻ですね。
有名すぎて肩こりのCMなんかに出演していた気がします。

さて、ロダンの彫刻の何点かが上野の西洋美術館にあります。
美術館の中に展示されているものもありますが、有名な考える人地獄の門などは屋外に展示されているのですね。

つまり、天候によって色んな表情を見ることができるのです!

そして、今回お伝えしたいのは、雨の日の彫刻が最高!ってことです。

偶然、美術館に行った日が雨で微妙な気分だったのですが、
雨の日にしか見られない彫刻の姿を見て衝撃を受けました。
この感動、あなたにも味わって欲しいのです!


まずは考える人

乾いた状態は上で掲載したとおりです。
それも素晴らしいのですが、雨の日はもっと端麗。

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オーギュスト・ロダン「考える人」
国立西洋美術館


おぉー!!!水が!水が滴っているのが見えますか!?
雨にも邪魔されないほど深く思索にふけっています。
または、シャワーを浴びながら悩み考えているみたい。

考える人というのは、「神曲」の主人公のダンテのことです。
ダンテは地獄の門の前で考え事をしていて、その姿を描いている作品です。
地獄の門」という重厚なワードには、雨の日の姿の方が合いますね

寄ってみるとこんな感じ。

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オーギュスト・ロダン「考える人」(部分)
国立西洋美術館


セクシーだなぁ。
人間の男性にだってこんな気持ちを抱いたこと無いのに。
その指先から滴る水で私の心を潤してください。
自分でも何を言っているのか分からなくなってきました。

考える人はなぜ服を着ていないのか?
という世界の疑問が解けました。
それは、シャワーを浴びている最中だからなのです。


カレーの市民

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オーギュスト・ロダン「カレーの市民」
国立西洋美術館


これは曇りの日の状態ですね。
彫刻の人物の演劇的なポーズと、人物同士の距離感の絶妙さギュンギュンする作品です。
悩み苦しんで俯いている様子に、見ている方も息苦しくなります。

雨の日は、こうなるんだな。

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オーギュスト・ロダン「カレーの市民」
国立西洋美術館


影が強調された感がありますが、若干分かりにくいかな??
寄ってみるとこう。

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…悲惨っ!

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…悲惨っっ!!

7割増しで悲壮感が漂っています。
涙なのか雨なのか分かりません。

ツイッターにはぐるっと一周をビデオにして掲載しました。



今思うと、動かない銅像を動画で撮影するなんて狂気の沙汰でした。
でも、命があるように見えたんですよね。
いいねしてくださった方々にもソウルは伝わったんじゃないかと思います。

カレーの市民というのは、フランスにあるカレー市の人の像ですね。
美味しそうな都市の名前ですが、食べ物ではないですね。
その昔、カレー市はイギリスに包囲されて絶体絶命の状況の中、降伏することもできず、人々は衰弱していきました。
その様子を見たイギリス国王は、6人の名士を犠牲に差し出して降伏すれば、カレー市を攻撃しないと言いました。

で、市のために命を差し出したのが銅像の6人です。
ある見方では彼らはヒーローですが、ロダンはそう捉えなかったのです。

銅像の悲壮感から感じられますよね。
「いたぶられて殺されるんじゃないだろうか」
「拷問が待っているかもしれない」
「置いてきた家族のことが心配」
などなど、色んな負の感情が伝わってくる像です。

そんな悲しみの場面には、雨が降っていたことでしょう。
勇敢な男たちは誰も泣いていないけれど、代わりに空が泣いているのです。
自分でも何を言っているのか分からなくなってきました。


アダム

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オーギュスト・ロダン
左から「アダム」「地獄の門」「エヴァ」
国立西洋美術館


真ん中の地獄の門に気を取られ、忘れられがちな左右のアダムとエヴァ。
(エヴァよりイヴの方が馴染みがあるけど、ここは西洋美術館の表記を尊重してエヴァで統一します)

地獄の門は免震装置のために一定以上は近づけないのですが、
アダムとエヴァは近くで見られるので、もっと見て欲しい!

まずはアダムから。

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オーギュスト・ロダン「アダム」
国立西洋美術館


旧約聖書の創世記では、禁断の果実であるリンゴを食べた罪によって、アダムとエヴァは楽園を追放されます。
リンゴを食べたら有罪判決なんて怖すぎますよね。
ではミカンなら良かったのでしょうか?

話が逸れてきたので元に戻します。
とにかく、ロダンは人類で最初に罪を犯したアダムとエヴァを地獄の門の左右に配置したのです。

このエピソードだけで既にほんのり悲しいですが、やっぱり彫刻から伝わってくる切なさといったらね。
捻れた身体が生々しいです。
肩幅が広くて男らしい身体なのに、顔を腕で隠そうとしているように見えます。
罪人であることを恥じているかのようです。

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オーギュスト・ロダン「アダム」(部分)
国立西洋美術館


俯いて泣くのを堪える表情をしながらも、雨と誤魔化して泣いているみたい。
人類レベルで背負う罪の重さにギリギリで耐えている感じ。
本当はもう身も心もボロボロで、崩れ落ちてしまいそう。
こんな風に悲しみを訴えられたら、見ている方が堪らないですね。

そして、この指先!

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オーギュスト・ロダン「アダム」(部分)
国立西洋美術館


確実にこれのオマージュ

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ミケランジェロ・ブオナローティ「アダムの創造」(1511年頃)
システィーナ礼拝堂


神に直接与えられた体と魂が、地獄の入り口にいるんだもんなぁ…。
ロダンも罪な人ですな。


エヴァ

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オーギュスト・ロダン「エヴァ」
国立西洋美術館


これまで紹介してきたのは全て男性像でしたが、女性像は丸みがあって、尚更雨に映えます。
腕や脚、胴体の曲面を水滴が滑らかに走ります。
お腹の丸みが凄く好き。

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オーギュスト・ロダン「エヴァ」(部分)
国立西洋美術館


もう完全に泣いてます。
黙って罪悪感に耐えてる表情が堪らんですね。
冷たい雨がエヴァの体温を奪っていきます。

可哀想な気持ちになりますよね。
十分反省しているだろうに、雨の中外に放置するなんて…!
エヴァが気の毒です。

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オーギュスト・ロダン「エヴァ」(部分)
国立西洋美術館


しかし太もも部分が美しすぎて変態な写真を撮ってしまいました!
これは西洋美術館に訴えられるかもしれないです。


まとめ

雨の日の彫刻には命が宿る!

晴れの日とは違って重苦しい主題がビシビシ伝わってきますね。
雨の日に外に出るのにハマりそうです。

雨の中パブリックアートを見に行く計画を立てたいです。
完全に運を天に任せる形ですね。


関連情報

国立西洋美術館 公式HP

西洋美術館の展覧会レポートはこちらから。
展覧会の感想>国立西洋美術館

西洋美術館といえば北斎とジャポニスム展がとても人気ですね。


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文章で読むのはおすすめしませんが、漫画なら30分くらいで読めます。
地獄の絵的なイメージも湧くし、ストーリーもトントン進んで読みやすいです。

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他にも沢山書いてきたなぁ…。
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