何回愛してると言っても足りない彫刻。

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ミケランジェロ・ブオナローティ「ピエタ」(1498-1500年)
サン・ピエトロ大聖堂


大理石から作られたとは信じられません。

石から!これが!にゅっと!
出てくるところを!
想像してみてほしい!!

石でできているなんて、嘘だー!!!



マリアの顔の滑らかな肌と、祈るように閉じられた目蓋。
ぐしゃぐしゃにシワの寄った服。
横たわるキリストの力の抜けた首。
腕に浮かぶ血管、手の甲に開いた杭の穴。

まるで時間が止まったかのようです。
触れてみたいし、抱きしめてみたいのです。
体温を感じられるような気がします。
現時点で一番好きな作品。


ミケランジェロのピエタは、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂にあります。
レプリカは4点ほどあって、弊職はレプリカでしか見たことがありません。

いつか本物を見たいのは確かです。
しかし、レプリカを数cmの距離で見られたので、その感動を本物が超えられるか微妙ですね。
だって、本物はガラスケースで厳重に守られていて、かつ遠目にしか見られないとの噂。

なぜ警備が厳重なのかと言うと、ピエタの美しさに心を狂わせた人が破壊しようとしたからなんですね…。
バチカン公式のレプリカがあるのも、本物に万が一のことがあっても復元できるように、という考えがあるからだと思います。
あるいは、レプリカなら海外の美術館にも貸し出せるので、お金的な事情があったりするのかな?

まあ、気持ちは分かりますけどね。
美しすぎて、我が物にしたい→からの破壊衝動。
刹那に生きる人間らしくて、共感できる要素もあると思います。
(行動に移すのは絶対ダメですけどね!)


聖女は老けない

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ミケランジェロはダヴィデ像のようなマッチョでエネルギッシュな彫刻作品が多いのですが、ピエタはそんなことないですよね。
マッチョとは対照的な作品です。

静かだし、安らかな感じがします。
ドキドキする心臓の音が聞こえるくらい静か。
筋肉感も無いし。


しかも、「生きているみたい」というよりは、「時間が止まったみたい」。
永遠にこのまま、生きもせず死にもしないように思えます。
現実の時間軸ではないように見えます。
マリアもキリストも柔らかく目を閉じているからかな。


ちょっと不思議なのは、キリストとマリアが同年代っぽいところ。
この2人は親子のはずなのに、両方とも20代っぽいです。

これについては、ミケ本人が「聖女は老けないんじゃ!」と言っておりますが、どうなんでしょうか。
名探偵コナンの毛利蘭ちゃんが永遠に女子高生なのと同じようなことなのでしょうか。

また、女性の膝の上に男性が寝転がっているのに、自然なポーズに見えるのも不思議です。
赤ちゃんを抱く母親のようなポーズなんですよね。

体格差については、マリアを着膨れさせることで克服しているのです。
ただ、この赤ちゃんを抱くような体制にこだわりがあったんじゃないかな?
という風にも見えてきます。


不器用な石職人

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聖女は老けないんじゃ!」と言われた15世紀の人々は、
なるほどー!!聖女って老けないんだー!!
って納得したのでしょうか?

やれやれ。
弊職には、ミケが理想の純潔な女性を作ってしまったようにしか見えませんよ。

「聖女は老けない」なんていうのは建前ですね。
理想の女性像が世間にバレるのが恥ずかしかったのでしょう?

ミケは1475年生まれなので、ピエタを作ったのはちょうど23〜25歳の時です。
マリアも同じくらいの年齢に見えますよね。
同年代の理想の美女を作ったと想像しても、全くおかしいところはありません。
ついでに、膝の上で抱えてほしかったのでしょう。

ミケは同性愛者だったらしいとか、そういう話もあるんですけど、
弊職的には、男性も女性も両方好きだったのではないかと思います。

だって、女性好きじゃないとピエタのマリアのような美女は彫れないでしょ?
男性も好きじゃなかったら、ダヴィデのような細マッチョ彫れないでしょ?

弟子が男ばかりだったから同性愛の噂が立っただけなんじゃないかと思ってます。

結局、ミケは一度も結婚せずに88歳で亡くなるんですが、彼は彫刻と結婚してたのかもしれないですね。
いくらでも自分の好きな造形を作り出せるとなれば、現実の人間が鬱陶しく感じる…そんな石職人だったのではないでしょうか。


関連情報

ピエタについて、
あの像を見て涙を流す奴が五百年経ってもいるってスゲーよな

という名言を生んだミケのギャグ伝記漫画があるのです。
かなり史実に忠実。


神のごときミケランジェロさん
by ヨメレバ



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