「泣く女」と予期せず出会ったとき。

image
パブロ・ピカソ「泣く女」(1937年)
テート・モダン

体が固まりました。

この美術館に「泣く女」があるとは知らずにロンドンのテート・モダンに行き、
偶然見つけたときの衝撃ね。
ハッと息を飲んだ、ってよく言うけど、本当にハッて音がしました。
フハーッッだったかもしれないけど。

本物だよね?
私の記憶にある、あの泣く女だよね?

信じられないほどサラッと壁に飾ってあったので、レプリカかと疑いましたよ。

その時感じた衝撃を再現すると、こんな感じ。


女性を黄色と緑で表現するなんて狂ってる!
それに、こんなに激しく泣きじゃくる女を冷静に観察できるなんて頭おかしい!


手がたくさん、指がたくさんあって訳分からない。
ハンカチを持っているように見えるけど、拭いているようには見えない。
手でゴッシャゴッシャ目を擦ってたんじゃないか。

自分の泣き顔を見て絵を描く男、私だったら許せるだろうか。
許せてしまうほど、ピカソの才能が圧倒的なのかなぁ。

涙は一筋しか見えないから、泣いていると言うより叫んでいるみたい。
喚いている。
声を出さなければ心が壊れてしまう。
そんな感情が伝わってくる。

八方塞がりで、行き場がなくて。
誰にもぶつけられない、どうにもできない感情。
追い詰められた状況。
声に出したところで解決はしないけど、それ以外に何もできない。

重い絵だ。
調和しない色彩がぶつかり合ってる。
殴り合ってると言った方が適切かも。


普通の解説を少し。

「泣く女」は、あのゲルニカと同じ頃に書かれました。
ゲルニカの方はググって画像を見て頂きますよう、お願いします。

ゲルニカの左端に、苦しい表情で天を仰ぐ人がいます。
この人は死んだ子供を抱きかかえて、物凄く歪んだ表情で仰け反っているんですね。
「泣く女」はこの人物がモチーフになっている、と言われています。

激動のスペイン内戦時代を取り巻く不安と緊張。
ピカソ自身もそういう時代の抑圧を感じていて、絵画で表現したのだと。
そんな解釈をされることが多いと思います。

ただまあ、そんな知識なんて本物を見たらぶっ飛んじゃうのです。

変な顔だから良い。
美女だったら同情しちゃうから。

泣くことによって顔のパーツを破壊して、また再構成するんだ。


ピカソの冷酷さでまとめる。

しっかし、ピカソは冷静な人だなぁ。
震え上がるほど冷静。

だってこれ、モデルが恋人なんですよ。
恋人が泣いているところを見て、絵を描くことができますか?

うぎぃやぁぁぁぁぁ!!!
って泣きまくる恋人に対して
いますぐ絵に描くから、そのまま泣いといて!あれ、筆どこやったっけ?
とか言ったら絶縁確定ですよ。

ピカソが天才と呼ばれる所以…それは冷酷さなのではないでしょうか。
鋭い観察力で対象をズケズケと暴き、絵にしてしまう冷酷さ。
彼が普通の人間の理解を超えるのは、絵の才能だけでなく、容赦なさなんじゃないかなぁ。


関連情報

「泣く女」はピカソ入門本の表紙にもなっています。
ピカソピカソしてる。
もっと知りたいピカソ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

松田 健児 東京美術 2006-02-01
売り上げランキング : 105921
by ヨメレバ



東京ステーションギャラリーはピカソ作品を数点持っています。
所蔵品展で見られるなんて贅沢ですよね。



弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。
最新の展覧会情報はこちら。
今月の展覧会
今までに行った展覧会一覧


ツイッターでは更新情報をつぶやいています。



最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました!
良かったら応援クリックお願いします!
にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
にほんブログ村