見たことのない生き物たち。

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ワシリー・カンディンスキー「30」(1937年)
ポンピドゥ・センター
地味!

今回の作品は凄く地味なやつですが、不思議な生き物たち…
なんだか、動いているように見えませんか?

こちらは抽象画の父、ワシリー・カンディンスキーの作品です。

全てが違うリズムで振動していたり、回っていたり。
ぺちゃくちゃ喋るような甲高い声も聞こえてきます。
ビデオを早回ししたときのような声。

ゆるりとした曲線と、シャキッとした直線が人工的なんですけれども。
絵というか、図形とも言いたくなるんですけれども。
自然が生んだ形か分からないけど、それでも命があるように見えますよね。


30との出会い

弊職がこの絵を初めて見たのは、東京都美術館のポンピドゥ・センター展。
カンディンスキーだけでなく、ピカソやシャガール作品も来ていました。

その時の解説パネルでは、1つ1つを「微生物」と説明していました。
弊職は、微生物…よりは大きいんじゃないかな?
と思いました。
今もそう思ってますけど。

ただ、珍しい!
そうも思いました。
なぜかというと、カンディンスキーの絵の特徴って、色の鮮やかさなんです。
色彩理論なるものを研究していたほどですからね。


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ワシリー・カンディンスキー「即興 渓谷」(1914年)
ミュンヘン・レンバッハハウス美術館
派手!
こういうの、カンディンスキーっぽいです。

なのに、30は地味めな白黒。
一体どういうことなのでしょうか?


ナチスに嫌われた画家

カンディンスキーはね、悲しい人なの。
ナチスに嫌われたばかりに。

教師をしていたデザイン学校は潰されるし。
フランスに逃げたけど、展覧会を開けなかったし。

そんな世界中の不幸が集中したような人なのです。
普通、こんな状況で創作できないですよ。
ある程度のゆとりがないと。

しかし彼の作品を若い頃から晩年まで並べると、かなり作風が変わっていることに気づきます。
これは、不遇に流されず絵を描き続けたからなのでしょう。
具体的な対象のある絵から、図形が絡み合う抽象画まで、色々な描き方を経験しているのです。

本作が描かれたのは1937年。
カンディンスキーが亡くなったのは、1944年。
もし、彼にもっと時間があったなら、どんどん新しい抽象画を生み出していたでしょう。
(亡くなったのは78歳の時なので、若くして亡くなったと言いたいわけではないんだけどね)

新しい抽象画。
それが、白黒の絵なんじゃないかなー。
と思っているのです。
色彩理論を研究したカンディンスキーが、あえて色を抑える。
そんな絵が見てみたいし、カンディンスキー自身も興味があったのではないでしょうか。


もう一度、作品を見てみよう

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にゅるにゅる、にょろにょろ。
箱から出られない微生物は実験を待っているかのようです。

白黒だと、色んな想像をしてしまいます。
実験ノートに描かれたスケッチなのかな、とか。
よその宇宙の生き物を捕まえて観察してるのかな、とか。
理科的・科学的な側面が見えてきます。

また、1つ1つの微生物が甲高い声で音楽を奏でているようにも見えます。
楽譜って白黒なんですけど、そういうのとリンクするからかなー。
そういえば、ト音記号に似ているやつがいますね。


まとめ

次のカンディンスキー作品が見られたなら、音楽と科学を白黒の絵画で表現していくんじゃないかな。

しかしこの絵、上下が分からないなぁ。
ポストカードを買ったからノートに貼りたいのだけど、どの向きで貼ったら良いのか分かりません。
縦にしてもまぁまぁ見られるし、本当、どの向きが正解なの?


関連情報

安定の「もっと知りたい」シリーズ。
カンディンスキーの絵の変遷が分かりやすく書かれています。
もっと知りたいカンディンスキー―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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