モネ「印象、日の出」を巡るミステリー

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クロード・モネ「印象、日の出」(1872年)
マルモッタン美術館

後編はこの絵が辿った衝撃の実話ミステリーです。
前編は、制作年への疑惑でしたね。


2つめのミステリー:盗難事件

白昼堂々。

モネの「印象、日の出」は、過去に1度、盗難に遭っています。

1985年10月27日の日曜日、マルモッタン美術館が開館中のことでした。

強盗が警備員に拳銃を突きつけ、5分足らずで「印象、日の出」やルノワール 、ベルト・モリゾの作品を鞄に入れて持ち去ったのだそうです。
警察も駆けつけましたが、間に合いませんでした。

なんと…「印象、日の出」にそんなエピソードがあったとは!
もちろん現在はマルモッタン美術館に戻っています。
傷つけられずに戻ってきて良かった…!


日本も巻き込んだ国際犯罪だった!

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フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」(1889年)
損保ジャパン日本興亜美術館

この大胆な盗難事件が起きたのは1985年です。
当時の日本といえばバブル真っ只中で、海外の美術品を超高額で落札しまくっていましたね。
1987年には安田火災(今の損保ジャパン日本興亜)がゴッホの「ひまわり」を58億円で落札したほどです。

こんな時代が、あったんだねぇー。
弊職、生まれる前の出来事です。

つまり、西洋絵画を一番高く買う国が日本だったのです。
そのため、「印象、日の出」を盗んだ犯人たちも日本で盗品を売りさばこうとしたんですね。

だけど、さすがに「印象、日の出」は日本でも有名すぎました。
さらに、マルモッタン美術館から美術品が盗難されたというニュースは日本でも報道されていました。
そのため、結局、日本では盗品を売ることができませんでした。

しかし、それでは盗難にかかったコストが回収できません。
そこで犯人たちは銀行強盗を企てます。

それで狙われたのが三菱銀行有楽町支店
1986年11月25日、現金輸送車を襲って約3億円を奪い、逃亡しました。

25日といえばお給料日です。
普段より多くのお金が現金輸送車に積んであったとのこと…
これは本当に許せません。
会社員の唯一の楽しみ給料日を台無しにするとは。

で、犯人たちは成田空港から高飛びですよ。
絵画を盗んでおいて、売れなかったから銀行強盗とは。
ゲスの極み!!


「印象、日の出」の行方は?

事件は1990年12月4日に終幕を迎えます。
なぜかコルシカ島(地中海に浮かぶフランス領の島)で作品たちが見つかります。
この辺りはよく知らないのですが、まあ、とにかく「印象、日の出」や一緒に盗まれた他の作品も見つかりました。

無事にマルモッタン美術館に戻ってきました。
めでたしめでたし。


本当にめでたしなのか?

一度盗難されると、歴史がぐっちゃぐっちゃになってしまう可能性があります。
というのも、「印象、日の出」の贋作を作ることができるからですね。

本物をそっくりそのままコピーして贋作を作っても意味は無いのですが、
モネの習作とか、そういう立場の作品ならいくらでも贋作を作れてしまいます。

それくらい、強かな犯人ならやりかねないと思うんだよなぁ…。

だから、気をつけないといけないのです。
今後モネの真作と思われるものが出てきても、それは贋作画家が盗品からアイディアを得て描いたものかもしれないのです。


めでたしな話もある?

この一連の事件には日本が大きく関わっていました。
「印象、日の出」の売人になる予定だったのも日本人でしょうし。

また、同一犯が他の美術館から盗んだコローの絵画を、そうとは知らない日本人コレクターや美術館が買ってしまっていました。
これで犯人たちが味をしめたとも考えられます。

3億円のことを鑑みれば日本も被害者なんですけどね。
だけど、マルモッタン美術館からしたら、日本も悪人の一部であるように見えてしまったのでしょう。

もう日本には作品を貸し出したくない」と言ったのは、マルモッタン美術館の館長です。
こんなこと言われたら寂しいよ…。

でも、戻ってきてからはガンガン貸し出してくれています。

1994年にはブリヂストン美術館。
2008年には名古屋市美術館。
2015年には東京都美術館。

弊職がざっと調べただけでも、こんなに頻繁に来日してくれています。
あれ、貸し出しすぎでは…?
危機意識はあるのか??

はてさて、これは仲直りしたと言うべきか、他の意図があると言うべきか…


捜査の結論:原田マハに小説を書いて欲しい!

というか、書いて貰わなければ気がおさまりません。

一体どこでどんな風に「印象、日の出」が5年間過ごしていたのか?
誰に守られていたのか?
なぜコルシカ島だったのか?
(なんとなくマフィアがいそうなイメージあるけど)

原田マハさん、次回作にどうですか?


まとめる。

前後編の2回に渡り、お届けした「印象、日の出」の妄想ミステリー。
事実部分は事実ですが、疑惑の部分は弊職の妄想です。
そんなに深い意味は無いかもしれませんが、想像だけは自由ですからね。
下世話な妄想が絵画の価値を高める…ことがあるかもしれません。


関連情報

画家の生涯と作品を知りたいなら、もっと知りたいシリーズがおすすめ。
こういう本には、下世話な妄想は載ってないけれども。
もっと知りたいモネ―生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)

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