巨匠だって二十歳だった。

気づいたら成人の日を過ぎていました…!
新成人の皆さま、おめでとうございます。

アートの定理では特別企画として、歴史に残る画家たちが二十歳のときの作品を集めました。
今回は次の5人です。
・ラファエロ・サンティ
・レンブラント・ファン・レイン
・ウィリアム・ターナー
・ジョン・エヴァット・ミレイ
・エゴン・シーレ


二十歳の作品と代表作を比較する。

ラファエロ

まず、二十歳の作品。
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ラファエロ・サンティ「Diotalevi Madonna」(1503年)
Staatliche Museen zu Berlin

ラファエロにしては、厳格な様式に則ったような感じ。
ちょっとマリアの首の角度がおかしいかなー。
キリストの頭と体の大小のバランスも、若干変な気がします。

こちらは23歳のときの代表作。
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ラファエロ・サンティ「ベルヴェデーレの聖母(牧場の聖母)」(1506年頃)
ウィーン美術史美術館

たった3年でこれだもんなぁ。
レオナルド・ダ・ヴィンチの構図と人体の表現をマネしたような…もとい吸収したことが分かります。
赤ちゃんの姿勢の自然さと、お肉のぽよぽよ感ね。
幸せオーラ漂うところ、ラファエロっぽいです。


レンブラント

まず、二十歳の作品。
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レンブラント・ファン・レイン「Musical Allegory」(1626年)
アムステルダム国立美術館

既に上手い…!
さすがレンブラントです。
レンブラントといえば「群像絵画」「光と闇」というイメージなので、そういう部分はまだ出てないですけど。
でも、情報を1枚のキャンバスにぎゅうぎゅうに詰め込むところは、若い頃から変わってないんですねー。

こちらは36歳のときの代表作。
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レンブラント・ファン・レイン「夜警」(1642年)
アムステルダム国立美術館

そう、これこれ!
これだわー!

「夜警」は人々の表情が全部違うところも面白いのですが、対角線状に旗や槍が走っているのも良いです。
棒が視線を誘導するので、真ん中で人が固まっているところがクッキリ見えるんですね。

やっぱり「夜警」に比べると、二十歳の作品は意思が弱い感じがします。
構図も…なんていうのかな、楽譜持ってる女性の後ろにいる人は必要だったのでしょうか?


ターナー

まず、二十歳の作品。
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ウィリアム・ターナー「St David's Head from Porthsallie Bay」(1795年)
テート・ブリテン

細かいところまでしっかりと描きこんでいます。
白波や岩肌まで、質感が細かく表現されています。
斜めに雨が降っているように見えますね。

こちらは63歳のときの代表作。
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ウィリアム・ターナー「解体されるために最後の停泊地に曳かれてゆく戦艦テメレール号」(1838年)
ロンドン・ナショナル・ギャラリー


光ってる…光ってるよ…ありがたや…。
これ実際に見たことがあるのですが、眼福度が高いですね。

青とオレンジの調和が本当に美しいです。
この2色は補色の関係にあるので、お互いを目立たせるんですね。
当時、色彩理論がどれくらい確立していたかは知らないのですが、
ターナーも63歳ということですし、経験的に分かっていたのかもしれません。

また、印象派的に絵の対象をぼんやりさせるのも、晩年のターナーの特徴です。
二十歳の頃はあんなに細かく描きこんでいたのにねぇ。


ミレイ

まず、二十歳の作品。
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ジョン・エヴァット・ミレイ「James Wyatt and His Grandaughter Mary」(1849年)
個人蔵

ちょっと棒っぽいものの、女の子は可愛いかな。
ですが、このおじさんは一体何者なのでしょうか?
画面のサイズに収めたいがために、身長を短縮されているような…。
いや、単純に顔が大きいだけかな??

しかし、窓の外の植物は色々と描き分けていますね。
ミレイはお花が大好きだったんじゃないかと思います。

こちらは23歳のときの代表作。
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ジョン・エヴァット・ミレイ「オフィーリア」(1852年)
テート・ブリテン

こちらも、沢山の種類のお花をちゃんと描き分けています。
二十歳の作品からあまり年月は経っていないものの、陰影の表現が上手くなったように感じます。
リアリティが増したといいますか。

ただ、二十歳の頃の少し平面的な色遣いも、それはそれで味があるのです。


シーレ︎

まず、二十歳の作品。
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エゴン・シーレ「Portrait of the Art Critic, Arthur Roessler」(1910年)
ウィーン美術史美術館

「習作」とも見られる感じかな。
色の塗り方や、人物の切り取り方を練習しているように見えます。

ところでこの作品、タイトルが面白いです。
直訳すると「芸術評論家Arthur Roesslerの肖像」です。
(名前は発音が分からないので訳せませんでした)
画家が芸術評論家を描く…シーレのツンツンに尖ったところが出ちゃってます。

こちらは25歳のときの代表作。
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エゴン・シーレ「死と乙女」(1915年)
オーストリア絵画館

たった5年でこんなに変わるとはねぇ…。
色遣いが全く変わってしまいました。
肌色にあえて汚い色を載せているので、腐ったようにも見えます。

これは凄い。
美しさと汚さが、ちょうど良く釣り合っています。

5年でこんなになっちゃうんだもん。
シーレは28歳という信じられない若さで亡くなるのですが、
生き急いだからこそ若くして傑作が描けたのかもしれない…。
いじわるな見方ですけどね。


まとめる。

本当は、もっと有名どころの画家を持って来たかったのです。
探したのですが、二十歳の作品って全然見つからない…

レオナルド・ダ・ヴィンチですら、最初の作品は30歳のとき。
しかも、師匠ヴェロッキオの絵の一部分を手伝っただけです。

モネやゴッホも探しましたが、二十歳の作品は見つけられませんでした。
20代後半や30代に花開く画家が多いようです。
しかも、才能が開花した後も、どんどん作風がアップデートされていきます。

つまり、人生って長い。
天才ですら花開くまでに20年以上かかるのです。
新成人の皆さんも、大人の皆さんも、10代のみなさんも。
何かを始めるのに早いなんてこともなく、遅いなんてこともないのです。
のんびりやっていきましょうね。


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