広げた風呂敷を、包む。

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そしてまた広げる。
新世界の動物や植物を、全て自分のものにしたい!
オタクが皇帝になると「驚異のコレクション」ができるのです。
知識の広がりとともに拡大していくルドルフ2世の収集欲をご覧あれ!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
 ①王様の小宇宙
 ②世界は広がる
 ③芸術家のパトロン
 ④現代アーティストのパロディ
3. 逆に惜しかったところ
 ①客寄せアルチンボルド
4. まとめ
5. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名: 神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展
場所:Bunkamura ザ・ミュージアム
最寄駅:渋谷駅
会期:2018/1/6〜2018/3/11
所要時間:1時間30分
観覧料:一般は1600円
ロッカー:あり(100円使用なし)



例えばこんな作品がありました

①王様の小宇宙

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ヤン・ブリューゲル「陶製の花瓶に生けられた小さな花束」(1607年頃)
ウィーン美術史美術館

どこが小さな花束なんだってくらい大きいです。
季節関係なく、色んなシーズンのお花を集めた有り得ない状況らしいです。
図鑑的な絵画ですね。
展覧会では全てのお花の名前が解説されています。
あと、目立たないようにちょこたょこ描かれてるの名前も分かります。
そんなところに!?」っていうのがあるので、探してみてくださいね。

全てのお花の高さのバランスが取れている。
放射状に綺麗に広がっているし、重なってない。
全部が確実に正面を向いている。

こういう特徴のためか、すごく説明的な絵だなーと思います。
だから図鑑的って感じるのかな。

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ジュゼッペ・アルチンボルド「ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像」(1591年)
スコークロステル城

この作品、ついに来たねぇ…。
弊ブログでは強烈にいじってきましたので、感慨深いです。
↓強烈にいじった記事


野菜人間…というのは現代人の見方ですが、当時は珍しいものを集めた絵画だったのです。
こうやって、何でもたくさん集めること。
未知のものを集めることに、ルドルフ2世は躍起になりました。
正直、今回の展覧会を見ても、彼なりのこだわりが見えて来ないのです。
とにかく雑多。
ただの集めたがりな感じがしました。

つまり、彼はみうらじゅんなのです。
なんだかよく分からないけど、とりあえず集めてみること。
集め続けると、集めるという行為そのものに対してハイになる。

ルドルフ2世、ちょっと強面なんだけど、コレクター気質のオタクだったんじゃないかな。
弊職にはそんな風に見えました。

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ハンス・フォン ・アーヘン「ハプスブルク家、神聖ローマ帝国皇帝ルドルフ2世の肖像」
※本展ではコピーが展示されています。



②世界は広がる

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ヨハネス・ケプラー「『ルドルフ表』付属の世界地図」(初版:1619年刊)
※本展ではコピーが展示されています。

ルドルフ2世が色んなもののコレクションにハマったのは、次から次に新しい発見があった時代だからでしょう。
それは、植物動物も然り、科学も然り。
世界が広がり、ルドルフさんが集め、また世界が広がり、ルドルフさんが集める。
全てを集めたいルドルフ2世の忙しい日々は想像に難くありません。

上の地図の著者であるケプラーさんという天文学者は、地動説を計算によって証明した人です。
というか、天動説だとどう頑張っても上手く計算が合わないことを証明した人かな。

地動説といえば、ガリレオの「それでも地球は回ってる」が有名ですね。
天動説を信じる教会側に圧力をかけられたガリレオの、科学者としての主張です。
本当はそんなこと言ってないらしいですけれども。

まさにこの時代の書物望遠鏡も展示されていました。
…複製だけれども。

宇宙観ってその時代のロマンを象徴するよなぁ。
今ですら分からないことだらけの宇宙を、どういうものだと考えていたのか。
地動説が超絶斬新だった頃の話だから、もう全く想像できないです。

そう考えると、科学が進歩するスピードって凄くないですか?
ケプラーが生きた地動説の16世紀から、ガガーリンが「地球は青かった」というまで、わずか300〜400年しか経っていないのです。

恐ろしいスピードで理解が進んでいく科学に対して、知識や道具をコレクションしようとしたルドルフ2世。
宇宙の膨張と同じスピードで世界を集めようとするなんて、欲深い人だなぁ。



③芸術家のパトロン

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フランス・フローリス「寓意」(1551-1570年)
スコークロステル城

ルドルフ2世はコレクションの表現として絵画を選択しました。
そのため、素晴らしい芸術家を彼の元に集結させます。

だから、世界のまとめ的な絵画だけでなく、人物画も良かったです。
この「寓意」なんてなぜかポロリしちゃってて意味不明なんですが、それを除いたら素晴らしくないですか?

お母様がリュートの練習に集中しているのですが、子供達は何とかしてお母様の気を引きたい!
そうだ、勉強で質問があることにして、聞いてみよう!

そんな子供らしい計略が聞こえてきます。
愛らしいわー。

でも、遠くの方で酔い潰れたり喧嘩したりしてる人がいるからアレなんですけどね。
色々と情報を詰め込んだ絵なので、やっぱりルドルフ2世のコレクション癖が出ちゃってるのでしょうか。


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ヨーゼフ・ハインツ(父)「音楽の寓意」(1600年頃)
個人蔵

これは…!
構図が素晴らしくないですか!?
なんだこのエロい構図は…誰のためですか!?
私のためですか!?

タイトルは「音楽の寓意」なので、手前の天使くんはチェロのあの長い部分(名前が分からない)とか、そういうのを作っているところだと思います。
でも、ナイフの刃が彼自身に向いているので怖いです。
よそ見しないで手元を見て…!

添えた左手も、刃が食い込んで切ってしまうのではないかと心配です。
綺麗な柔肌に傷が付くところを想像してしまう、背徳的な絵

あと、股の奥の少年2人ね!
股の奥!(2度言う)
一番奥の少年の表情がとても良いです。
そんなに嫌がるって、一体何があったのでしょうか?



④現代アーティストのパロディ

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フィリップ・ハース「春(模型、アルチンボルドに基づく)」(2010年)
作家蔵

本展の撮影OKエリアです。
なんだこれ気持ち悪っ!
怖っ!!

特にが怖いです。
黒目も怖いし、涙袋も怖いです。

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フィリップ・ハース「夏(模型、アルチンボルドに基づく)」(2010年)
作家蔵

もちろん、あの有名なアルチンボルドの絵画「四季」シリーズを立体化してみちゃった作品なわけです。
立体になると益々エグいなぁ…。
ハロウィンの飾りと言われても納得できないレベルで気持ち悪いです。
アルチンボルドの仮装、しちゃう?

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フィリップ・ハース「秋(模型、アルチンボルドに基づく)」(2010年)
作家蔵

アルチンボルドは「奇想」というキーワードで愛されていますが、本人は至って真面目だったんだと思います、多分。
世界中の珍しいものを一枚に集めて描き、尚且つ他の人が思いつかない面白いこと。
それが野菜人間だったのでしょう。
オタクなルドルフ2世もアルチンボルドの作品を見て大喜びしてたんだろうなぁ。

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フィリップ・ハース「冬(模型、アルチンボルドに基づく)」(2010年)
作家蔵

ハース氏の作品でここに掲載したのは、全て模型です。
本物はもっととても大きいのです。
巨人の頭くらい。
ニューヨークで公開してたらしいですが、良いなぁ。
現代アートの聖地は、やっぱりニューヨークなのかね。

ところでハース氏は美術作品だけでなく、映画を撮ったりもしているらしいです。
本展でアルチンボルドの継承者的に紹介されるのが彼にとってメリットなのか否かは、また別のお話。



逆に惜しかったところ

①客寄せアルチンボルド

アルチンボルドの作品でお客さんを集めたい意図を感じてしまいました。
もっと言うと、アルチンボルドの野菜人間ね。

でも、国立西洋美術館でアルチンボルド展をやったばっかりですし、同じ作品は借りにくかったのだと思います。
それで、フィリップ・ハース氏のアルチンボルドのパロディ作品を展示しているように見えました。
苦肉の策的な扱いになったしまったハース氏が可哀想でもあります。



まとめ

風呂敷の膨張は止まらない。
特に「植物が好き」「動物が好き」という感情の見えてこない本展。
全てを集めることで所有欲を満たす、気高くも何ともない皇帝のリアルがありました。
もはや暴力とも呼べる財力に任せて珍しいものを手に入れようとする、究極のオタクだったのです。

ルドルフ2世の驚異の世界展、ぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

ルドルフ2世の驚異の世界展 公式HP

アルチンボルドが気になるなら、こちらの画集がおすすめです。
「四季」も「四大元素」も網羅しているし、その他、動物のスケッチなども入っています。
ルドルフ2世の驚異の世界展の延長的な本ですね。
アルチンボルド アートコレクション

リアナ・デ・ジローラミ・チーニー グラフィック社
by ヨメレバ


会期は終わっているけど、西洋美術館のアルチンボルド展。
「四季」「四大元素」を一度に見られる、マニア悶絶の展覧会でした。



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綺麗な写真もあるよ!



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