ルネサンスからバロックへ。
一応、この記事の続きです。レンブラント・ファン・レイン「ダナエ」(1636-1637年)
エルミタージュ美術館
エルミタージュ美術館
16世紀のルネサンスから、17世紀のバロックへ。
ヨーロッパの芸術のトレンドは、徐々に移行していきました。
この頃のことを調べてみると、こんな感じです。
16世紀(ルネサンス):
芸術や科学が開花して、人間が色んな知識や技術を獲得。
大きな争いもなく、どんどん暮らしが良くなっていく時代。
(当時のイタリアでは宗教戦争が起こらなかった)
17世紀(バロック):
小氷期という、とても寒い気候に突入し、大飢饉に。
しかも、ペスト(黒死病)が大流行。
ヨーロッパの人口の3割が死亡した時代。
なんということでしょう…!
バロックが流行した17世紀は、苦しみの時代でした。
ちなみに、ピーテル・ブリューゲル(父)が雪の絵をよく描いているのは小氷期のためです。
彼は北方ルネサンスにカテゴライズされていて、バロックではありませんが、同時代ですのでね。
ピーテル・ブリューゲル(父)「雪中の狩人」(1565年)
ウィーン美術史美術館
ウィーン美術史美術館
そんな中、心の拠り所になるもの。
それが、宗教だったのですね。当時ペストの原因なんて分かりませんから、祈るしかないのです。
神さまを信じる以外に、当時の人々にできることは無かったのです。
やっぱり、祈るといえば絵画が無ければ。
イエス・キリストや他の聖書の登場人物を絵に描き、誰にでも分かるように伝えることも、芸術の役目でした。
明菜氏は、バロックをこう見る。
17世紀が死ぬほど困難な時代だったことを踏まえると、バロックの大げさな表現は理解できるなぁ。当時の状況を考えてみましょう。
とても寒くて、食べるものも無い。
家族がペストで死んだ。
自分の足も黒くなってきている。
それでもキリスト教は
「良い行いをすれば天国に行ける」
「隣人を愛せよ」
と言うのです。
大事なのは今なんだよ!
今、なんとかしてよ!!
こんな状況で、この絵を見たとしましょう。
ピーテル・パウル・ルーベンス「キリスト昇架」(1610-1611年)
アントウェルペン大聖堂
アントウェルペン大聖堂
うおー!!
これは…!!
これは自分だっ…!!!
画面の中で苦しむキリストの表情は、禁欲を強いられる自分の心を映しているように見えたのではないでしょうか。
心が叫びたがっているのです。
死にそうなくらい大変な時に感情が爆発した絵を見たら、涙と鼻水としゃっくりが止まらなくなります。
そのまま生き絶えそうです。
こういう絵を見てありがたみを感じ、苦しみを絵に転化して、
また神さまを信じる気持ちを強くしたんじゃないかな。
まとめる。
芝居がかった大げさな絵こそ、当時の人々の本心に寄り添う芸術だったのではないでしょうか。人口の3割が減ってしまうなんて。
人類の歴史に起こったことだけど、信じられないですよね。
同じことが現代にも言えると思うんです。
高度成長期、不動産バブルと、戦後の日本は右肩上がりで国力を強めて行ったじゃないですか。
でもバブルが崩壊して、平成が終わろうとする今、ようやく脱しかけているような、いないような。
平成3年生まれ26歳の弊職としても、感慨深い話なのです。
つらいときに、個人を支えてくれるのはアベノミクスではありません。
アートなのです!
歴史に学び、これからもアートと共に生きていきましょう!
関連情報
2018年はバロックイヤーらしく、この頃の作品が見られる展覧会がたくさん始まります。各公式HPのリンクを貼っておきますね。
プラド美術館展
フェルメール展
ルーベンス展
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