ダークサイドの花園。

image
花がゴミのようだ。
ルドンの絵画が美しいと思ったことは一度もありません。
グロテスクで、心の歪みを閉じ込めたような絵なんです。
違和感のある変な絵が魅力的な画家なのです。
これはディスっているのではなく、愛情表現です!


〜目次〜
1. 展覧会の基本情報
2. 例えばこんな作品がありました
 ①その色彩は宝石かゴミか
 ②オルセーからやってきた食堂
 ③ダークサイドの黒い絵
 ④額縁も見所
3. 逆に惜しかったところ
 ①本物で食堂を再現して欲しかった
4. まとめ
5. 関連情報


展覧会の基本情報

展覧会名: ルドン-秘密の花園
場所:三菱一号館美術館
最寄駅:東京駅
会期:2018/2/8〜2018/5/20
作品数:90点
所要時間:1時間30分
観覧料:一般は1700円
ロッカー:あり(100円、使用後返金)



例えばこんな作品がありました

以下ではパブリックドメインの画像を使用しています。

①その色彩は宝石かゴミか

image
オディロン・ルドン「グラン・ブーケ(大きな花束)」(1901年)
三菱一号館美術館

おぉーっ!
これは凄い!!


かなり大きな作品で、花瓶なのにやたら迫力がありました。
花瓶からお花が溢れちゃって、落ちて来るシーンをスローモーションで見ているようです。
ルドンの絵は、時間がのんびりだらーんと流れているようで気持ち良いです。
だらーん

image
オディロン・ルドン「神秘的な対話」(1896年頃)
岐阜県美術館

花びらが舞っているのか、幻想的な雰囲気です。
が、床がとっ散らかっているように見えるんですよね…。

ルドンの絵って綺麗なんですけど、「非の打ち所がない美しさ」ではなく「なんとなく違和感があるけど、第一印象は綺麗」の意味なんだよなぁ。
「なんとなくの違和感」が、床のとっ散らかりだったり、お花のとっ散らかりだったりするのです。

image
オディロン・ルドン「ステンドグラス」(1907年頃)
ニューヨーク近代美術館

こちらは弊職が思うルドンの特徴の「とっ散らかり」と「スローモーション」の両方を兼ね備えています。
お花か蝶々かもよく分からないものがスローで降ってきます。
宝石にも見えるし、ゴミにも見える。

ここで声を大にして言いたい。

宝石がゴミのようだ!(ムスカ)

声を大にするほどのことはありませんでしたが、「なんとなくの違和感」を割とバシッと言い当てられているような気がしないでもないです。

読者の皆さんもご唱和ください。
せーのっ!

宝石がゴミのようだ!!



②オルセーからやってきた食堂

image
オディロン・ルドン「黄色い背景の樹」(1900-1901年)
オルセー美術館

ドムシー伯爵というオズの魔法使いに出てきそうな名前のお金持ちがいまして。
その人の食堂の装飾をルドンが手がけたんですって。
食堂っていうと学食みたいなのをイメージしますけど、ダイニングルームのことですね。

こういうぼんやりした色彩の絵を壁4面の窓やドア以外に敷き詰めたのです。
絵の主張が控えめなのは、ルドンも食堂はご飯が主役だと分かっていたからでしょうね。

image
オディロン・ルドン「花のフリーズ(赤いひな菊)」(1900-1901年)
オルセー美術館

高い位置は横長の作品で隙間を埋めていました。
ところでこの作品、上下合ってます?
逆さまに掲載されているサイトもあり、どっちが正しいのかよく分からんです。
ここでは展覧会公式HPの向きに合わせました。

image
オディロン・ルドン
右:「人物(黄色い花)」(1900-1901年)
左:「人物」(1900-1901年)
オルセー美術館

ドア横のスペースは縦長の作品で埋めたりして。

あと、上に掲載したグラン・ブーケも壁画の一部だったそうです。
グラン・ブーケだけ色彩の主張が激しくて、やたら目立つようになってるんですよね。
どうして統一感を持たせなかったのか謎です。

ただ、ルドンの絵を見て食欲が湧くか?
と言われれば、個人的にはノーですね。
この人の絵は好きだけど、「なんとなくの違和感」含め、グロテスクだと思います。
食欲が減退する方の絵だと思うんだよなぁ。

あ、もしかして!!

ドムシー伯爵はダイエット中だったのかな!?
それなら納得!!



③ダークサイドの黒い絵

image
オディロン・ルドン「キャリバン」(1881年)
オルセー美術館

こういう絵、ルドンっぽくないですか!?
キャリバン」っていうのはハムレットのテンペストに出てくるキャラクターなんですって。
ハムレットの戯曲は文章で残っていますので、そこからルドンが想像でハリーポッターのドビーみたいなキャラを作ったんでしょうね。

不気味なんだけど少し愛嬌があるキャラクター、というのがルドンの特徴だと思います。
不気味でグロテスクなんだけど、愛すべきところがあるって感じ。

ところで、ハムレットのテンペストには既視感があります。
別の画家の作品についてブログで「ハムレットのテンペストがモチーフなんだって!」
的なことを書いた気がします。

何について書いたときなのか全く思い出せないです。
覚えている読者の方、いらっしゃいますか?

image
オディロン・ルドン「『起源』II. おそらく花の中に最初の視覚が試みられた」(1883年)
※版画のため、画像と展覧会出品作とは細部が異なる可能性があります。

ギャー!!!
これは!!
ルドンのグロ絵代表です!!

ボードレールの悪の華ですわ。

眼球が上にぐるんってなってるところが最高ですね!
目が合ってないところが良いのです。
こっちを見られないように見るのが、怖いものを楽しむ秘訣です。

この目がぐるっと回って目が合った暁には…

ギャーー!!!
ホラー展開!!!


image
オディロン・ルドン「『ゴヤ頌』II. 沼の花、悲しげな人間の顔」(1885年)
※版画のため、画像と展覧会出品作とは細部が異なる可能性があります。

ギャーー!!!
これもヤバい!!
ガチのやつ!!

向こうの世界で捕まって、帰りたくても帰れず、植物に飲み込まれてしまった人に見えます。

植物学者クラヴォーとの出会いがルドンに大きな影響を与えたということは、「人間×植物」の作品から見て取れる通りです。
自分と異なる命のあり方とか、そういうものの神秘に心がざわついていたんじゃないかな。

ルドンはこうでなくちゃと思うのです。



④額縁も見所

本展は、ぜひ額縁にも注目してみてほしい!
普通に西洋画っぽい額縁がほとんどなんですが、一部、お花の額縁があるんです。
ルドンのお花の絵が、お花の額縁に入っているのです。

でね、どの作品の額縁を特に見てほしいか!
ちゃんと記憶してきた!

つもりだったんですが、なんか色んな作品を見ているうちに、すっかり忘れてしまいました。
ごめん!!!

たぶん、たぶんなんですけど、「神秘」の額縁がお花だったと思います。

image
オディロン・ルドン「神秘」(1910年頃)
フィリップ・コレクション

んー…間違ってたらすみません。
けど、とにかく額縁もルドンの世界観っぽくなってるやつがあったんです。

会期中にもう1回行けたら、ちゃんとチェックしてきます!


逆に惜しかったところ

①本物で食堂を再現して欲しかった

ドムシー伯爵の食堂とほぼサイズの部屋があるのですが、レプリカのポスターで食堂が再現されていました。
願わくば本物でやって欲しかったなぁ…。

オルセー美術館所蔵の壁画については広めの部屋に展示されています。
でも、「グラン・ブーケ」だけ別の部屋に展示されてるんですよね。
これがちょっと謎でした。
もともと食堂に飾っていた作品なのだから、再会させてあげれば良かったのに、とも思います。



まとめ

忘れられない花。 (Sexy Zone)
「夢」「幻想」と言えば聞こえは良いんですけど、ルドンの場合は少女趣味ではないですからね。
ルドン自身の心のザワつきが、花となりゴミとなり散らかっているのです。
癒される展覧会ではなく、闇を垣間見る展覧会でした。

ルドン展、ぜひ行ってみてくださいね!



関連情報

ルドン展 公式HP

ルドンの絵画10作品、あいうえお作文でまとめた記事はこちら。


ルドンが自分自身の言葉で芸術を語っている本。
作品の写真もカラーでたくさん見られるし、ルドンによる解説も読めるので、ルドンファンにおすすめ。

ルドン 私自身に
オディロン・ルドン

by ヨメレバ


他の展覧会の感想レポートです。
今までに行った展覧会一覧

最新の展覧会情報はこちら。
今月の展覧会


ツイッターでは更新情報や、展覧会情報をつぶやいています。
毎日呟いてます!



最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました!
良かったら応援クリックお願いします!
にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
にほんブログ村