深読みしたくなる絵画。
カルロ・ドルチ「悲しみの聖母」(1655年頃) 国立西洋美術館深い海のように鮮やかな青色。 慎み深く、体のほとんどを覆い隠した女性。 伏せられた瞳と下に下がった口角の憂える表情。 こんな絵を見つけてしまったら、その前から動けなくなってしまいます。 絵の中に流れる物語を妄想してしまいますよね。 読者の皆さんは、この絵を描いたカルロ・ドルチをご存知ですか? 知っていたらかなりの西洋美術通だと思います。 カルロ・ドルチは17世紀のフィレンツェの画家です。 時代はバロック全盛期ですね。 ルーベンス、ベラスケス、レンブラント、フェルメールあたりと被る時代です。 彼らの少し後輩かな。「甘美」「憂い」が代名詞
カルロ・ドルチ「聖アポロニア」(1667-1669年頃) 個人蔵聖アポロニアは歯を全部抜かれて処刑された女性なので、歯を持ってるんですけれども… しかし、赤い服も上手いんですね、この画家。 バロックの画家ということもあり、明暗のドラマティックな表現が素晴らしいです。 見る人の感情を高ぶらせる照明効果ですねー。 その上、暗闇から浮き上がるような人物の描き方! 多分、ドルチは不美人でも上手く描けてしまうんだろうなぁ。 それくらい、人物画の説得力が強い。 モデルの見た目の美しさだけでなく、存在の尊さを描けているからでしょうか。 あと、美少年も上手い。カルロ・ドルチ「守護天使」(1635年頃) 個人蔵大エルミタージュ展で来日
カルロ・ドルチ「聖チェチリア」(1640年代後半) エルミタージュ美術館森アーツセンターギャラリーで2017年に開催された大エルミタージュ美術館展で見たこの女性。 訳あり美女の雰囲気にノックアウトされた方も多いのではないでしょうか? 当時からこの絵が最高に美しいと思っていたのですが、カルロ・ドルチだったんだねー。 最近、ようやく画家の名前と作風が一致してきて、なるほどという感じ。 やっぱり綺麗だよなー。 ちなみに、大エルミタージュ美術館展の感想はこちら。 少し古い記事なので、文章に不満足な所もあるけど…。 まあ、それはそれで。西洋美術館でも大人気
カルロ・ドルチ「悲しみの聖母」(1655年頃) 国立西洋美術館こちらは西洋美術館の常設展で撮影しました。 ということは、日本で見られるのです! やったね! (常設展とはいえ展示替えがあるかもしれないので、常に見られるとは限りませんが…) 弊職が訪れたときは、部屋の隅っこにありました。 にもかかわらず、お客さんが吸い寄せられるように聖母の前に行っちゃうんですよね。 目立つ位置に置いておいたら、吸い寄せられるように人が集まって大混乱になるかもしれません。 美術館スタッフにもそんな懸念があって、隅っこに飾ってるのかも?カルロ・ドルチの画集が欲しい!
カルロ・ドルチ「聖マグダラのマリア」(1640-1659年頃) 個人蔵時代を超えて人の心を鷲掴みにするカルロ・ドルチ。 そんな彼の画集が欲しい! だから、アマゾンで「カルロ ドルチ」と検索してみました! 品揃えの豊富なアマゾンのことです。 きっと見つかるはず。 え…! 検索結果、わずか10件! しかも画集なし!! というわけで、カルロ・ドルチの良さを広めていかなければならないのです。まとめる。
今回は、率直に「良い!」と思った画家の作品を紹介してみました。 同時代のバロック画家がビッグネームすぎて、あんまりカルロ・ドルチは有名じゃない… んだけど、もったいないですよね。 西洋美術館の悲しみの聖母は、特に企画展のついでにでも見に行ってほしいです! 生で見た方が、色や奥行きが伝わります! そして素晴らしい絵を残してくれたカルロ・ドルチはどんな人だったかというと…カルロ・ドルチ「自画像」(1674年) ウフィツィ美術館なんか胡散臭い!!!関連情報
西洋美術館の企画展レビューはこちら。 展覧会の感想>国立西洋美術館 西洋美術館を舞台に、肖像画と雑談する私小説も書いています。 そのうち「悲しみの聖母」さんにも登場して頂きましょう。 ミュージアム私小説 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想レポートです。 今までに行った展覧会一覧 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 ツイッターでは更新情報や、展覧会情報をつぶやいています。 いつもリツイートやいいねしてくださる皆さん、ありがとうございます! 明菜(アートの定理)をフォローする 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします!
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カルロ・ドルチの聖女が美しすぎて狂いそうな件。