「いちまいの絵」は原田マハのエッセイ!

いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画 (集英社新書)
この世界には2種類の人間しかいない。 アートを愛し、時に忌み嫌う人間と、アートに興味を持たない人間だ。 はい、中田敦彦流 読書感想文の書き出しで始まりました。 それはともかくとして、ゴールデンウィークは本を読んでいます。 同じような読者さんもいるのでは? 今回は原田マハ著「いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画」を読みましたよ。

要約

アート小説といえば、原田マハ! 彼女の人生に強い影響を与えた絵画26点を紹介しています。 26作品がカラーで紹介されているのが、小説との大きな違いです。

読む前のイメージ

原田マハさんはアートのプロです。 ニューヨーク近代美術館で働ける日本人なんて、凄いと思います。 こんな人が「死ぬまでに見るべき!」というのです。 そりゃー、マニアックで珍しく、誰も知らないけど本物の絵が載ってるんだろうなぁ。 というのが、この本に期待した内容。

読後の感想

全然、期待と違うやんっ! ピカソ、レオナルド・ダ・ヴィンチなど、スーパーメジャーな画家の絵がほとんどでした。 ドマイナーを期待した弊職の胸の高鳴りを返してください。(八つ当たり) しかし、原田マハファンにとっては大切な1冊だなぁ。 とも思いました。 理由は、これから言うね。

これは、小説の裏話だ!

「暗幕のゲルニカ」ではピカソの「ゲルニカ」を扱い、 「楽園のカンヴァス」ではルソーの「夢」を扱った原田マハさん。 ストーリーの構成がとても上手いので、小説中のどこまでが事実で、どこからがフィクションなのか。 分からないこともしばしば。 この本には、名画を巡る歴史が書いてあります。 小説とは違い、事実著者の思いだけ。 だから、小説では濁されていた「事実はどこまでか?」がはっきりします。 例えば「ゲルニカ」なら、国連安保理のタピストリーに暗幕がかかっていた事件。 アメリカがイラクの大量破壊兵器保持疑惑に対して攻撃を行ったのは、2003年とかその辺り。 当時、12歳だった弊職は、かろうじてイラク攻撃のことは知っています。 しかし、ゲルニカがどうこうとか、そんなことは全然知らないのです。 だから、「ゲルニカ暗幕かけられ事件」についての簡単な解説はありがたいです。 この事件がフィクションではなく、事実だってことがハッキリ分かって良かった!

つまり、タイトルは煽りすぎ!

内容は一貫して原田マハさんが 「私はここでこの絵に出会って感動した」 「この絵は不思議な魅力を持っている」 といったことを主観的に語っているものですので。 なにも、 「これを見ないと、死んでも死にきれねえぞ!」 と宣っているわけではないのです。 「どんな感動体験が原田マハを作っているのか?」 が分かる、自伝的な本と言えるでしょう。 これから生まれる作品の核になる部分も、隠されているかもしれません。

まとめる。

「いちまいの絵」は、原田マハ小説の副読本! こんな位置付けが相応しいんじゃないかな。 著者の感動体験を明確に語った本ですから。 ここには、フィクションの煙は一切ありません。 小説を読んでから、本書の関連する章を読むと、著者の思いがよりクリアに感じられると思います。

関連情報

原田マハさんの小説「たゆたえども沈まず」のレビュー好評でした。 事実パートとフィクションパートを整理した記事です。 その他、アート関連の本の感想はこちらのカテゴリです。 アート関連本の感想文 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想レポートです。 他の展覧会のはこちら。 今までに行った展覧会一覧 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 ツイッターでは更新情報や、展覧会情報をつぶやいています。 基本、リプは必ず返信してます! インスタグラム始めました! 2枚目でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
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