いろんな仏像の作り方

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銅でできている仏像や、木でできている仏像があるのは、ご存知ですね。 それぞれ、作り方が違うのもご存知ですね! …ん? あれっ、作り方なんて全然気にしたこと無かったぞ…? でも、仏像の作り方って美術検定のテキストに載ってる…。 やばい! 出題されるぞっ!

今日は、仏像の作られ方について。

「作り方」よりむしろ「作られ方」かもしれない。 「造仏方法」といいまして、代表的なのが6種類あるんですね。 美術検定の教科書にサラッと載っているものの、分かりにくい箇所なので、さっそく解説していきます。 今回は笑いどころが無いので、和みイラストを挟んでいきます。

①塑像仏(飛鳥〜奈良時代)

粘土で作った仏像のことです。
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木の芯などで棒人間みたいな形を作ります。 荒縄をぐるぐる巻いたら、骨組みになります。 骨組みに、粘土をべたべたつけていきます。 顔や衣装の形を粘土で作るんですね。 で、色をつけたら完成。
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東大寺戒壇堂 四天王立像のうち持国天

②金銅仏(飛鳥〜奈良時代)

これは金属で作るので、型を作ります。
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まず、鉄芯の周りに粘土をテキトーにつけます。 粘土は大雑把でも、その上にロウを塗って仏像の形を作るので、ここできちんとやるのです。 これをまるっと粘土で覆います。 この状態で窯に入れて焼きます。 すると…なんということでしょう! ロウが溶けて出て行ってしまいます! これが狙いで、ロウがいなくなることで粘土の型ができるんですよ。 古代人、頭いいですねー。 空洞に青銅を流し込んで固め、中と外の粘土を取り除きます。 で、綺麗にメッキして完成。
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法隆寺金堂 釈迦三尊像

③脱活乾漆仏(奈良時代)

乾漆像とは、漆を固めて作る像のことです。
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木の芯で骨組みを作り、粘土で原型を作るところはスタンダード。 面白いのは、漆を含ませた麻布をペタペタ貼り付けること。 よく乾かしたら、中の粘土をかき出してしまいます。 木屑を含ませた漆(木屎漆)で仕上げ、金箔を貼ったり色を塗ったりしたら完成です。 中の粘土を取り出し、麻布と漆だけの状態になるので、とても軽いのが特徴。
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興福寺国宝館 阿修羅像

④木心乾漆仏(奈良時代)

脱活乾漆仏が粘土だったのに対し、こちらはで原型を作ります。
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漆を含んだ麻布を重ねて、漆を塗って細部を作り込みます。 脱活乾漆仏の中身を木にしたバージョンです。 木の内側をくり抜く「内ぐり」が施されている像もありますが、脱活乾漆仏よりは重たいです。 でも、麻布は薄くて済むんだって。
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聖林寺 十一面観音立像

⑤一木造(飛鳥〜鎌倉時代)

疲れたのでここから絵なし。 単純に、1本の木から像を掘り出します。 木が乾燥したパキッと割れるのを防ぐため、中をくり抜いている場合もあるのだそうです。
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室生寺 釈迦如来立像

⑥寄木造(飛鳥〜鎌倉時代)

これも木像ですが、複数の木を組み合わせて作ります。 パーツごとに作ることができるので、大きな木材も必要ないし、作業も分担できるようになりました。
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平等院鳳凰堂 阿弥陀如来坐像

まとめる。

以上、6種類の造仏方法でした。 木か金属かってイメージだったから、漆を接着剤にする方法なんて知らなかったです。 すごく興味があって調べた…というよりは、美術検定に必要だから勉強した、って感覚。 ただ、方法によって大きさの限界は自ずと決まってしまいます。 また、表現の幅もある程度決まってきます。 だから、もっと仏像に詳しくなったら活きてくる知識なんだろうなぁ。 「この仏像はなるべくしてこうなった!」的な見方ができたら、面白いと思うのよね。 まだ仏像鑑賞歴が浅いので、知識が先行している状態です。 ちょびっと身につけては本物を見て、またちょびっと身につけては本物を見て… の繰り返しが良いのです、きっと。 あともう1つ良いかな? 美術が好きだからといって絵が上手いとは限らないからね!! Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

関連情報

美術検定 公式HP 参考にしたのはこの本。 漫画で仏像の基礎知識を整理できます。 如来とは?あたりの基礎の基礎から載ってて、おすすめ。 「印相」についても記事を書いていました。 仏像の手の形に込められたメッセージについて。 美検を受けたいけど、何級から受けたら良いか分からない! そんなあなたに捧げる記事。 その他、美術検定関係の最新記事はこちらです。 知識系を教科書より分かりやすく解説しようとして滑り散らかしています。 美術検定2級カテゴリ 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは更新情報や、展覧会情報をつぶやいています。 インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
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