現代アートは難しくない!

すべてのドアは、入り口である。現代アートに親しむための6つのアクセス
読み終わったー! ツイッターでもちょくちょく言っていた、原田マハさん・高橋瑞木さんの現代アート解説本です。 美術館は好きだけど、現代アートはどうやって見たら良いのか分からない… って人におすすめ!

本の内容

作家の原田マハさんと水戸芸術館現代美術センターの高橋瑞木さんの共著です。 お二人の寄稿と対談で成り立っています。 なぜ現代アートは難しいと言われるのか?から始まり、 おすすめの現代アーティストや、面白いプロジェクトを紹介しています。 読みやすい文章で分かりやすかったですよん。 特に、原田マハさんの小説が好きな人はぐんぐん読めると思います。

ハイパーウルトラスーパー同意。

高橋「何十年か経てば、世の中の何を変えたかがわかってくるでしょう」 原田「このあとどうなるかはお楽しみ、ということですねこれ、弊職がいつも言ってるやつ!! 本にも書かれているとおり、印象派など昔の芸術だって評価されるまでに時間がかかってるんですよね。 ゴッホのように、存命中に評価されなかった偉大な画家なんて累々としているわけです。 死屍累々ですよ、リアルに。 なぜ評価されなかったのか? それは、当時の人々にとってゴッホが現代アートだったから。 時を重ねて、ようやく「いいね!」って思う人がたくさん出てきて、今に至るのです。 「あの人って実は凄かったんだね」ってことは、後になってから分かるのね。 この考え方、完全に同意。 現代アートの評価や見方が現段階で定まっていないことも、納得できますよね。 まだ誰も価値が分かっていないのが現代アート。 だから、どんな見方も正解なんです。 著者のお二人と似たような考え方だったので、自信がつきました。

著者2人も微妙に異なる見方をしている。

原田さんと高橋さんが1つの作品にそれぞれ感想を述べる場面では、 2人が若干違う見方をしていることが浮き彫りになります。 美術を専門に勉強してきた人たちでも、見方が違ってしまうのです。 見方に正解はなく、好きな感じ方で良いんですね。 これって面白くないですか? プライベートでも仲の良い二人とのことで、好みは近そうなんですけどね。 現代アートに対しては、シマウマの両目くらい似ているけど違う角度で見ているのです。 え? 何言ってるか分からない? シマウマの両目って離れてますよね。 同じ顔についている目だけど、左右で全然違う景色が見えますよね。 そういうことです。

爽やかに終わりすぎ!

ただし、現代アートの長所の押し付け… って感じも、するっちゃするんだなぁ。 芸術関係の文章ってどうして優等生な結論になっちゃうんでしょうか。 物事には長所と短所があります。 現代アートも同じ。 本の中で一番感動したのが、「作品のリタイア」の箇所。 ビデオアートなんかだと、 フィルム→ビデオテープ→DVD、ブルーレイ と再生機器が変わってしまうから、古い機材が故障したら再生できない作品が出てくるわけです。 そういう事態に直面してから対策するんじゃなくて、予め対策を… 的な文脈なんだけど、まさにこれ、現代アートならではの短所だと思うんですよね。 そう簡単には永久に残せないぞっていう。 新たな表現が生まれたことによって、新たな短所も生まれるのです。 こんな感じで、現代アートの限界をもっと掘り下げてほしかったです。 ダメな部分も可愛がってほしかったなー。 終始「現代アート、いいよ!」の爽やかなノリでした。 それが好きな人もいるだろうけど、弊職は長所と同時に短所を教えてくれる本の方が好き。

まとめる。

現代アートが難しいのは、評価が決まるほどの時間が経っていないから! 現段階で、玉石混合なのよ。 裏を返せば、歴史的な作品が生まれる瞬間に生きているかもしれないのです。 今まさに、現代のゲルニカが生まれている最中だとしてもおかしくない。 こういうことが、すごーく分かりやすく書いてある本でした。 「西洋美術や日本美術は好きだけど、現代アートは見方が分からない…」 って人におすすめ! Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

関連情報

以前書いたオピニオンで、現代アートについて 「今のアートを評価するのにかかる時間は、我々の寿命より長い」 という名言を残していました。 原田マハのアート小説なら「たゆたえども沈まず」がおすすめ。 フィンセント・ファン・ゴッホを取り巻く人々の物語。 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは更新情報や、展覧会情報をつぶやいています。 インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
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