ジャン=リュック・モーマン個展@nca

出会ったら死ぬまでメスに吸収されて自我を失うオス。 といえば、みんな知ってるチョウチンアンコウですね! 子孫を残すためにオスが精巣だけを提供して他の機能は死んでいく悲恋の深海魚です。 現代アーティストのジャン=リュック・モーマンの個展がありました。 偉大な画家の人物画にタトゥーをガシガシ書き込む人なんですけれども。
FullSizeRender
ジャン=リュック・モーマン「Tattoo on Ingres」(2015)
気持ち悪っ! って思う人がほとんどだよね。 ドミニク・アングルの「半身像の浴女」にタトゥーを書き込んでいます。 こんなにする勇気、よくあるよね。 先人の絵に上書きするなんて、恐れ多くて普通はできないのに。 寄ると、更にヤバいよ。
FullSizeRender
ジャン=リュック・モーマン「Tattoo on Ingres」(2015)(部分)
タトゥーっていうより、寄生したウィルスが本体を乗っ取ろうとしているように見えません? 美女の体が内側から汚されていくみたいなゾクゾク。 自分の肌にも虫がにょろにょろ這ってるような気がして、何もない体をはたいてしまいました。 ギュスターヴ ・クールベの問題作も刺青。
FullSizeRender
ジャン=リュック・モーマン「Tattoo on Orgine du monde」(2018)
もともとのクールベの絵ですら破壊力抜群なんですけど、モーマンのタトゥーによって生物兵器に昇華しました。 チョウチンアンコウは、子孫を残すプロセスとしてオスが自己を手放すんです。 モーマン作品も似てないですか? 神聖とも思える先人の人物画を土壌にして、怪しいキノコ育ててる感じ。 そのキノコは、こんな風に育つんです。
FullSizeRender
ジャン=リュック・モーマン「Untitled」(2017)
毒持ちエイリアン! 宇宙人がイソギンチャクを改造したみたい。 触手が高速のムチのようにバシバシ暴れてます。 怖い!
FullSizeRender
ジャン=リュック・モーマン「Untitled」(2015)
でも飛び出してくる感じはしなくて不思議。 なんだろう…自分で自分の触手を食べて成長してるように見えるんだよなぁ。
FullSizeRender
ジャン=リュック・モーマン「Untitled」(2017)
歴史を養分にオリジナルを作るモーマン。 オスを吸収して子孫を残すチョウチンアンコウ。 重なるよねー。 ドミニク・アングルは19世紀の画家で、新古典主義っていう当時の保守的な一派の画家でした。 守りの絵画を飲み込んで、タトゥーで侵食して、エイリアンを生み出しちゃったモーマン。 「アート作品」として飾られた瞬間に、褒め言葉以外が許されない空気になるじゃないですか。 でも、モーマンの作品はうわべの言葉を拒絶してると思うんです。 命を脅かすように原始的な本能に響く作品たち。 個展はもう終わってしまったので、今度見られる機会があったら是非! ちなみに、ncaの入り口はこんな感じ。
FullSizeRender
地下。 ちょー入りにくいのよね。 でも、入ってみたら静かなギャラリーだし、10畳くらいの狭さなんです。 ムードがぶち良い。 私が男だったら、好きな女性を連れて来て通ぶりますね。 裏を返せば、こういうところに連れて来てくれる男と付き合いたい。 ncaはもう知っちゃったからダメね。 他のギャラリーでお願いします。 誰も求めてない情報で締めましたけど、とにかく、軽いデートにおすすめ。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

展覧会基本情報

展覧会名:ジャン=リュック・モーマン:JEAN-LUC MOERMAN 場所:nca | nichido contemporary art 最寄駅:八丁堀駅 会期:2018/4/20〜6/2 所要時間:30分 観覧料:無料 公式HP: www.nca-g.com/

関連情報

この展覧会が気になる人は、写真家の内藤正敏さんの展覧会も気に入ると思います。 ジャンルも雰囲気も違うけど、キーワードのアングラは共通してます。 財布を忘れた日に無料のギャラリーを巡り、ncaを知りました。 思ったよりずっと入りやすかった。 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは更新情報や、展覧会情報をつぶやいています。 インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
にほんブログ村