山種美術館「水を描く」レポート
平成30年7月豪雨による被害は、連日の報道で誰もが知るところでしょう。 一方で、関東地方は空梅雨により水不足の不安が。 人間は良くも悪くも水とともに生き、水に翻弄されるのです。 海外在住歴の長い女のように自由奔放な水は、画家をも虜にしてきました。 山種美術館の「水を描く」展、これこそ本当のクールジャパンじゃない? 体感温度が下がるひんやり日本画がたくさん。 四方向どこを見てもひんやりな山種美術館。 明菜さんったら猛暑でおかしくなったのかしら? って思ったでしょ。 山種美術館に行けば、私の言ってる意味が分かります。川端龍子「鳴門」(1929(昭和4)年) 山種美術館洗濯機でかき混ぜられているかのように、景色がぐるぐるしています。 白波を激しく立てて、渦潮はダイソンよろしく何もかもを吸引するのです。 激情を表すような荒々しい渦。 ジャック・スパロウ船長がこんな感じのところで戦ってましたね。 潮の匂いすら感じる白波です。 この波を浴びたい。川端龍子「鳴門」(左隻/部分)(1929(昭和4)年) 山種美術館黒い鳥が、引力に抗うように渦潮から逃げて行きます。 屏風の端の方に描かれているのも、引力圏から脱出したいから、だろうなぁ。 飛んでいても渦潮に巻き込まれるんでしょうか?奥田元宋「奥入瀬(秋)」(1983(昭和58)年) 山種美術館夏が始まったばかりなのに、もう秋? 名所感が凄い絵です。 もみじの微妙にぼんやりした輪郭は、風にざわざわ揺れてる様子を感じさせます。奥田元宋「奥入瀬(秋)」(部分)(1983(昭和58)年) 山種美術館どこを切り取っても紅葉名所のポストカード。 にごる水が流れの激しさを伝えてきます。千住博「ウォーターフォール」(1995(平成7)年) 山種美術館滝のザーザー音が聞こえてきます。 滝壺に水が叩きつけられて蒸気になる湿度感が最高です。 湿った空気が湧き上がる中から、川の主でも出てきそう。千住博「ウォーターフォール」(部分)(1995(平成7)年) 山種美術館ぎゅんと寄って水しぶきも見たい。 このつぶつぶを肌にかけたい。宮廻正明「水花火(螺)」(2012(平成24)年) 山種美術館これはヤバいです。 ヤバさが写真で伝わらないのが残念でなりません。 裏彩色と言って、裏側から色を付けています。 独特のぼんやりした表現や、素材のランダムなうねりを活かし、水のゆらぎを表現しています。宮廻正明「水花火(螺)」(部分)(2012(平成24)年) 山種美術館テーマが最高ですよね。 漁師が網を投げた瞬間にバッ!と丸く広がり、海の中にすんっ…と消えていく。 タイトルの「水花火」の意味を理解した瞬間、この絵はいっそう輝きます。竹内栖鳳「緑池」(1927(昭和2)年頃) 山種美術館頭だけ出して周囲を警戒するカエル。 水草も何もない透明な水に青い空が映る、夏らしい光景です。 絵の余白から感じられる平和な雰囲気のために、半身浴をしているカエルに見えますけれども。横山大観「夏の海」(1952(昭和27)年頃) 山種美術館女性の肖像画を描くときのように、どの作品にも画家の好みが反映されています。 「俺には水がこう見える!こう描きたい!」 という画家の熱情は、美女を前にしたときのよう。 美女を中心に世界が回るように、水もまた世界の中心です。橋本関雪「生々流転」(1944(昭和19)年) 山種美術館納涼目的で山種美術館へ行こう! と言われて、「なるほど!」と納得する人がどれほどいるのか分かりません。 しかし、絵を見ているだけで水音の幻聴がするのは確か。 ザーザー音、ピチョピチョ音など、静かな展示室で色んな音が思い起こされ、体感温度が下がります。 冷やしたサイダーみたいな展覧会でした。 美術品を見て体感温度が下がるなんて、企画者が凄いってことなんだよ。 Share!▶︎Tweet展覧会基本情報
展覧会名:[企画展]水を描く ー広重の雨、玉堂の清流、土牛のうずしおー 場所:山種美術館 最寄駅:恵比寿 会期:2018/7/14〜9/6(会期中、一部展示替えあり、前期:7/14〜8/5、後期:8/7〜9/6) 所要時間:1時間 観覧料:一般1000円、ほか 公式HP:http://www.yamatane-museum.jp/exh/2018/mizu.html関連情報
山種美術館といえばカフェの和菓子! 「水を描く」展のコラボ和菓子も食レポしました。 いま、水と言えば金魚絵師の深堀隆介さん。 個展では透明な水で飼ってる本物の金魚にしか見えない作品が展示されています。 平塚市美術館で9/2まで! 近場では、品川の小瀬村真美さん個展がおすすめ。 明菜さんが押しすぎている展覧会で、これも涼しいです。 スローモーションで水や物体がガッシャンゴッションやられる様、ひんやりします。 原美術館で9/2まで! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ただいま、ツイッターの情報発信を強化中。 ブログ更新情報はもちろん、最新のアートニュースもお届けします。 明菜(アートの定理)をフォローする インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします!
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水を描く〜夏に冷やしたサイダーを目から飲んだ感想〜