藤田嗣治展 東京都美術館 主観レビュー。

教科書の画像と本物とのギャップが大きい画家を挙げるなら、間違いなく藤田嗣治。 どんな画家にも画像とのギャップはあるけど、藤田は特に。
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東京都美術館の藤田嗣治展は「見ないと分からんフジタの良さ」を教えてくれました。 ところで藤田は「没後50年」のため、ギリで著作権が切れてません。 ネット上に素材も無いし、プレス内覧会も呼ばれる身分じゃない… と思ったら、偶然、東京国立近代美術館のMOMATコレクション展で撮影した画像があったので、それを掲載します。 2017年5月17日に撮影しました。
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藤田嗣治《自画像》(1929年) 東京国立近代美術館 ※MOMATコレクション展で撮影
藤田嗣治の代名詞「乳白色の肌」系の作品は、彼の他の作品と比べて群を抜いてます。 何かに似てると思ったら、ギリシャ彫刻だわ。 あの白さとまろやかな影を二次元に落とした感じ。 世界史の教科書で「乳白色の肌を描いた画家」と微妙な説明をされる藤田嗣治またはレオナール・フジタ。 たった5文字の「乳白色の肌」と言われる絵は、デジタル化不可能ですね。 ゼロに0.1か0.2を足すように、繊細な陰影付けなのよ。
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藤田嗣治《5人の裸婦》(1923年) 東京国立近代美術館 ※MOMATコレクション展で撮影
肌の美しさは既にみんな知ってるかもしれないんですけれども。 実物からギュンっと来るのは瞳ですね。 特に《5人の裸婦》(1923年)なんて5人の女性が1枚にいて、瞳が全員違うんです。 左から2番目の人の瞳が好き。 肌はみんな乳白色なんですけどね。 色素の薄い人種がモデルだからなのかな。 藤田の描き方と相性が良いみたいで、それぞれ違ったクールビューティーなんですよ。
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藤田嗣治《少女》(1956年) 東京国立近代美術館 ※本展では展示されません。ご参考まで ※MOMATコレクション展で撮影
ただ、人物画はかなりの迷走があった模様。 モディリアーニっぽいのとか、ブラジルで描いたカラフルな絵とか。 藤田の「乳白色の肌」が表現できるのって、どうしても肌の白い人だけなんだよね。 モチーフの枯渇を感じたんじゃないかな…。 数多の戦争にも巻き込まれて、世界の広さや個人の無力さもあったでしょう。 それで、評価の高かった「乳白色の肌」以外の作品も描いていったように見えました。 《アッツ島玉砕》(1943年)など戦争画も含めてね。
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藤田嗣治《動物宴》(1949-60年) 東京国立近代美術館 ※本展では展示されません。ご参考まで ※MOMATコレクション展で撮影
まあ、最終的には「乳白色の肌」系に戻ってくるんだけれども… 売れ線が分かってたのかな? 小動物に囲まれて眠る女性の《夢》(1954年)とか、売れそう。 戦後は絵本の1ページ的な絵画が増えますね。
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藤田嗣治《パリ風景》(1918年) 東京国立近代美術館 ※MOMATコレクション展で撮影
個人的には初期の静物画と風景画が気に入りました! 風景画は《パリ風景》(1918年)が好き。 道のざらつきに触りたくなります。 《バラ》(1922年)なんてめちゃくちゃ良い。 バラの茎って結構固いので、あんなにしなりません。(短い華道経験に基づく) 数本のバラが触手のように動いてるみたいなの。 ぐにゃーんと茎が曲がっているけど、花が萎れてるわけじゃない。 むしろ濃いワインレッドで正気みなぎってます。 影との対比が過剰なところも、ドラマを強調してて。 でも、全体的に静か。 静物画にもクールビューティーな「佇まい」があるんですよ。
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そんなわけで、教科書では分からない良さを「藤田嗣治展」で再確認。 クールビューティー系男子の藤田嗣治が描いた佇まい、麗しかったです。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

展覧会基本情報

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展覧会名:‪没後50年 藤田嗣治展 場所:東京都美術館 最寄駅:上野 会期:2018/7/31〜10/8 所要時間:2時間 観覧料:一般は1600円 公式HP:http://foujita2018.jp

関連情報

でもダントツで《カフェ》は洗練されてるよなぁ。 ポスタービジュアルになるのも分かるし、トートバッグになるのも分かる。 藤田嗣治展の出展作品は本で見てください。 同じく上野では、国立西洋美術館で「ミケランジェロと理想の身体」展やってます。9/24まで。 ギリシャ彫刻っぽい藤田嗣治の絵と合わせて見たい展覧会だなぁ。 そういえば、西美は常設展に藤田ありますよね。 正統派な展覧会つながりで「モネ それからの100年」なんかおすすめ。 モネの絵もたくさん見られるし、モネを幹として枝が伸びるように現代アートが分かります。 横浜美術館で9/24まで。 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ただいま、ツイッターの情報発信を強化中。 ブログ更新情報はもちろん、最新のアートニュースもお届けします。 インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
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