上路市剛 個展 Realism of Sculpture 主観レビュー。
ミケランジェロやロダンなど彫刻家に聞きたい質問が、ずっと前からあるんです。 「裸体像の性器の部分を作ってるとき、どんな気持ちなんですか?」って。 あ、今「戻る」をクリックしようとしたでしょう! 呪いますよ!左:上路市剛《Blessing- ルキウス・ウェルス -(Silicon)》(2016-2018年) 右:上路市剛《ルキウス・ウェルス》(2016年)前置きとの関係は明言しませんけど、上路市剛さんの個展「Realism of Sculpture」に行ってきました。 毛穴や黒子まで完全再現した人物彫刻でおなじみの作家さん。 でも、なんか異様よね。 リアルを突き詰めて完成させた作品を、どばっと汚してしまってます。右:上路市剛《Blessing- 世親 -(Silicon)》(2017-2018年) 左:上路市剛《世親》(2017年)上路さんによる人物彫刻のモデルは、古い彫刻作品。 ツルツルの彫刻を人物に戻した作品なので、その辺にいそうな人間のリアルさがあります。 が、ここで鑑賞を終わるのは作家の意図を捉えきれていないらしい。 上路さんが私たちに分かるようにしてくれたのが「ぶっかけシリーズ」です。左:上路市剛《Blessing- ルキウス・ウェルス -(Silicon)》(2016-2018年) 右:上路市剛《ルキウス・ウェルス》(2016年)口への溜まり方、堪らんです。 毛に絡まるところも、だらりと粘るところも。 弊ブログの読者さんはちょうど4分の3が女性なの。 皆さんのセックスリテラシーが如何様なものか分かりませんけど、言いますね。 私はなぜか辛味を感じるあのにおいがフラッシュバックしました。 展覧会の副題「A Reek of Horniness」を直訳した性的興奮のにおいです。上路市剛《Blessing- 世親 -(Silicon)》(2017-2018年)作品を真っ直ぐに犯しているのです。 それも顔面への射精。 顔面は経験ないですね、私も。 彫刻を作ることが美の永遠化ならば、作者のフェチが乗るのは必然。 美しい男性を愛でる1つの方法が、彫刻制作なのかもしれません。 ところが、上路さんの思いが詰まった作品は、意外にも平面でした。上路市剛《The Boy-空也上人-》(2018年)これを見たとき、私はフリーズしてしまい、言葉が出ませんでした。 ドン引きではなく、情報の洪水で何から言葉にすれば良いか分からなくなったから。 彫刻のリアルさと異なるアニメライクな描き方に驚き。 緊縛と槍が混在して、攻めなのか受けなのか分からなくなっちゃって。 水着らしき日焼けの跡、未発達の性器。 シンボルの大洪水です。 ロリコンは大人が女の子を恋愛対象にすることで、ショタコンは大人が男の子を恋愛対象にすること。 上路さんが抱く男の子への欲望全てを、空也少年にぶつけているように感じました。左:上路市剛《ダビデ》(2018年) 右:上路市剛《Blessing- ダビデ -(White Wax)》(2018年)でね、やっと本題。 こんなに自分を晒け出せるって凄くない? 逆に言えば、ここまで出さないと自分の創作の本質は伝えられないってこと。 強いなぁ。 腹の据わった創意だと思う。上路市剛 Blessing-空也上人 の展示風景ちなみに、空也シリーズが6体あるのは「南無阿弥陀仏」の6文字を表現しているのですって。上路市剛《Blessing- 空也上人 -(Red Wax)》(2018年)口から出るのも6体。 「南無阿弥陀仏」と唱える声を、音ではなく彫刻で表現しています。 彼らはロウで汚されています。 バイオレンスな意図ではないので、鼻血ではありません。 平面の空也も、よく見ると南無阿弥陀仏。 昼間の明かりでは気づけない蓄光塗料なので、部屋を暗くすると光ります。上路市剛《The boy- 空也上人》(部分)(2018年)暗がりで唱えられる南無阿弥陀仏。 姿は見えないのに声だけが聞こえるようで、背筋の冷えを覚えました。 Share!▶︎Tweet展覧会基本情報
展覧会名:Realism of sculpture -A reek of horniness- 場所:みんなのギャラリー 最寄駅:上野 会期:2018/9/6〜9/23 所要時間:30分 観覧料:無料 公式HP:https://www.minnanogallery.com関連情報
初めて上路さん作品を見たのは、少し前の銀座シックスArtglorieuxにて。 ダビデの目の色違いが美しかったです。 増田さんの3Dピクセル作品もあったし、レベル高かったんだなー。 上野つながりで、藤田嗣治展をおすすめしておきましょうか。 東京都美術館で10/8まで。 テレビで特集されてからどんどん混んでるみたいね。 個人的にアツイのがバイオアート。 動物好き・メカ好きな私は、バイオアートというかサイエンスアートが合うのかも。 AKI INOMATAさんのヤドカリに、勝手にセバスチャンと命名してしまいました。 ツイッター上では本人公認ってことになってます。 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ただいま、ツイッターの情報発信を強化中。 ブログ更新情報はもちろん、最新のアートニュースもお届けします。 明菜(アートの定理)をフォローする インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします!
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上路市剛 Realism of Sculpture〜情報過多だから何も言いたくない感想〜