リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」 主観レビュー 昼編。
隣にいる恋人の寝言のような曖昧さです。 行間が広すぎるけど、距離の近さを感じる言葉たち。リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景香港出身のアーティスト、リー・キット氏の展覧会が始まりました。 安定の原美術館です。 キットさんは10日間ほど原美術館に通い、展示を作り上げたそう。 会期初日の朝、オープンの11時ギリギリまで制作していたそうですよ…リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景プロジェクターによる映像の投影がメイン。 絵画も一部はプロジェクターで照らしてます。 照明設備をほぼ使っていなく、プロジェクターと自然光で作品を見ます。 自然光なので、天気や時間帯によって見え方が変わるのです。 今回は晴れた日の昼間に行きましたが、夜の展示も見てみたいな。リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景美術館全体で1つのインスタレーションになる構成。 原美術館の家っぽい環境で、日常の一部を切り取る映像を見られます。 日常に寄り添う優しい展示なのかな? と思われるかもしれないけど、私はそうは感じなかったなー。リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景感じたのは、厳しい制約。 光や空間の、どうにもできない場所の制約を受け入れる展示。 その場所に対して、好き・嫌いすら無い淡白さです。 郷に入っては郷に従えルールの下で、積極的な負けを選ぶアートじゃないかと。 良い・悪いではなく「それも良いんじゃない?」と、やっぱり寝言のように囁くの。リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景でも、抜け穴を手探りだけはしてみたいアイディアもある。 それが前面に出てる!と思ったのが、これ。リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景私の影! 通常の展示では、スポットライトで上から絵画を照らします。 しかし、キットさんは離れた場所からプロジェクターの光で絵画を照らすのです。 絵を見るために近づくと、見る人は絵画とプロジェクターの間に入らないといけないの。 自分の体でプロジェクターの光を遮るため、絵画に自分の影が落ちる! 全然見られん!リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景近づきたいのに、近づけない。 西野カナ感… ではなく、キットさん本人が制作中に感じる「制約」を、見る人にも味わわせるトリックなのでは? キットさんは、スポットライトの光が嫌いだと言います。 でも、光が無ければ作品を見ることはできない。 言うことを聞いてくれない光との難しい関係を、見る人も強制的に感じる仕掛けなのです。 他にも、大胆な仕掛けはあちこちにあります。リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景1階で見た絵画(先出)が2階にもある。 と思ったら、これ、理解を超えてました。リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景動いた!? 絵が板から動きました! そのあと、セットを直す男性が映り…リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景2階の作品は、1階の作品を撮影した映像を投影していたのです。 スクリーンが絵画の板とそっくりなので、プロジェクターの映像と気づかなかった…リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景この映像も。 窓を映し、字幕をつけた作品ですけれども。 ふと、隣の壁面に目をやると…リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景同じ窓が! しかも、マグカップ置いてある! 字幕の内容を受けた展示になってます。 ちなみに、マグカップはショップで1800円(税別)で販売中です。リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」展示風景突き放したような冷たさも、隣で眠る恋人の親近感もある。 制約の中でFull of joyを噛みしめて、最終的に幸せになる展示です。 Share!▶︎Tweet 展覧会イメージケーキの食レポはこちら!展覧会基本情報
展覧会名:リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」 場所:原美術館 最寄駅:品川 会期:2018/9/16〜12/24 開館時間:11:00〜17:00、水曜のみ20:00まで 休館日:月曜(祝日にあたる9月17日・24日、10月8日、12月24日は開館)、9月18日・25日、10月9日 所要時間:1時間30分 観覧料:一般は1000円 公式HP:http://www.haramuseum.or.jp/jp/hara/?referrer=https%3A%2F%2Fwww.google.co.jp%2F関連情報
前回の小瀬村真美さん個展も良かったです。 原美術館は、美術館全体を使って作品にする豪華な展覧会ができるんだねー。 光といえば、GINZA SIXのTHE CLUBで「堪えがたいほどの光」って名前の展示やってますね。 ジャッキー・サコッチオという画家で、キャンバスでキャンバスに描く絵。 11/10まで! 個人的にアツいバイオアート 。 伝説の生き物ユニコーンを内蔵から作ったり、ヤドカリをスケルトンハウスに住ませたり。 見るほど愛着が湧くキャッチーさと、現代社会の問題を背景に含んだ面白さが魅力。 表参道のGYREで10/17まで! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ただいま、ツイッターの情報発信を強化中。 ブログ更新情報はもちろん、最新のアートニュースもお届けします。 明菜(アートの定理)をフォローする インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします!
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リー・キット「僕らはもっと繊細だった。」〜制約を壊さずに壊す生き方の感想〜