アート界隈を賑わす「デュシャンしゃん」
謎キャラ「デュシャンしゃん」が誕生しました。 東京国立博物館で10月2日から始まる「マルセル・デュシャンと日本美術」展の公式キャラクターです。デュシャンと上野動物園のパンダ「シャンシャン」を合わせたキャラクター。 ネーミングはあり得ると思うけど、ビジュアルが… シャンシャン人気にあやかるなら、可愛さが必要では? 便器を頭に載せたキャラを、可愛いと思えるのかなぁ。 誰向けのキャラなのかしら。 ※今回の記事はクリエイターに向けたものではなく、展覧会にキャラクターをつけがちなPR戦略についての話です。【D】マルセル・デュシャンは1887年7月28日が誕生日。フランスのノルマンディー地方ブランヴィル・クルヴォンで生まれたんだ。そして、亡くなったのは1968年10月2日。つまり、展覧会はデュシャンの命日にオープンするんだよ んふふふ #デュシャン2018 #トーハク pic.twitter.com/IBQKZge5R7
— デュシャンしゃん&利Qはん (@duchamp_japan) September 19, 2018増え続ける展覧会の公式キャラクター
マスコミが主催する大型展覧会にポップなキャラクターをつけることが急増した感があります。 最近の例で言えば、フェルメール展のミルクさん、ムンク展のさけびクンかな。 どれだけ沢山いるのかしら? ツイッターでリスト作ってみました。 (公開リストなのでフォロー大歓迎!みんなでキャラのツイートを見守りましょう) A Twitter List by Akina_art 名付けて「展覧会のキャラクター」です。 そのまま! キャラがフォローしているキャラをリストに入れて… とやっていたら、たったの10アカウントしか無かったです。 意外と少ないかも? 10個の一覧がこちら。 ○東京国立博物館(上野) ・デュシャンしゃん&利Qはん ・おかめちゃん ○東京都美術館(上野) ・さけびクン ・フジタ画伯とねこ ・おじさん ・タラ夫 ○国立西洋美術館(上野) ・ミケにゃん ・カルロスくん ○上野の森美術館(上野) ・ミルクさん ○国立新美術館(乃木坂) ・ルー・ヴル美 えーっと… 上野、多くない? ヴル美さん以外は上野の美術館・博物館です。 あの辺を牛耳っているPR会社でもいるのか… はたまた「キャラはPRに有効」との伝説が上野限定で蔓延してるのか…【ミルクなトリビア】「牛乳を注ぐ女」の絵の中で私が作っているのは、パン・プディングというお料理でしょ、って言ってる人もいるわよ。パン・プディングは余って固くなったパンを牛乳に浸して焼く、リメイクレシピ。これが美味しいのよ〜、作り方はCMの後で! pic.twitter.com/vAChilch5D
— ミルクさん@フェルメール展 (@VermeerTen) July 29, 2018展覧会にキャラクターは必要か?
成功例で真っ先に思いつくのは、バベルの塔展の「タラ夫」です。 ブリューゲルの《大きな魚は小さな魚を食う》に登場する、二足歩行の魚がモチーフ。 強烈な見た目で、美術のいじって良いギリギリラインを華麗に攻めた良いキャラだと思います。 タラ夫は上手かったなぁ。 何より、SNSでフォローしやすい。 「バベルの塔展」より「タラ夫」の方がフォローしやすいし、フォローして楽しそうですよね。 ぬいぐるみの「タラ夫」の写真もツイッターに投稿され、インパクトあるツイッターになってました。 中の人のセンスが良かったのも、タラ夫が成功したポイントです。 しかしタラ夫が成功したからといって、キャラクターがPRに有効と言い切るのは無謀。 その後、展覧会キャラクターで大成功した例は無いからなぁ…気になる「あれ」とは、そう、皆さんにご覧いただいた《バベルの塔》!オランダへは無事に戻ったようですね。
— タラ夫 (@2017babel) November 2, 2017
それにしても紫色の壁だとなんだか違って見えます。しかもお客さんとの距離が近い!(日本ではこれが出来ず申し訳ありません…)
文化の違いに負けずに頑張ろうね、タラ夫。 pic.twitter.com/xzemr2bWZmそもそもデュシャンのキャラ化は難しい
マルセル・デュシャン《泉》(1917年) アルフレッド・スティーグリッツ撮影デュシャンは没後ちょうど50年目なので、日本ルールでもギリギリ著作権が有効です。 藤田嗣治と同じく、来年切れるやつですね。 (国によって適用ルールが違う) そのため、デュシャン作品からキャラクターを作るのは、そもそも難しいはず。 「パクリ」と見なされたらアウト、著作権侵害なのです。 《泉》は、モノとしては便器。 デュシャンが書いたサイン「R. Mutt」さえ描かなければ著作権に引っかからない…ってことかな? よく分からないけど、ただの「便器」の絵であれば、デュシャンは著作権を主張できないでしょう。 だから、デュシャンの素材で使えるとしたら便器。 「キャラ化」に縛られたため、どうしようもなくなって便器とパンダを合わせちゃったんだろうなぁ… と、お察しします。 まあ、利休の頭に便器を載せるよりは良かったよね。 即炎上ですよ。まとめ:展覧会キャラ図鑑を作らねば!
正直、展覧会キャラクターで確実に成功したと言えるのはタラ夫だけ。 他は、炎上こそしなかったけど、バズりもしなかった…って感じかしら。 もちろん、PR担当者さんも頑張ってることは百も承知ですよ! でも、キャラ縛りが定着する必要は無いと思うのに… 親しみやすさ=キャッチーが公式になりつつあるように感じます。 もしかしたら、今のキャラを記録しておくことは、日本の美術館史にとって重要かもしれません。 キャラクターが普及した未来でも、廃れた未来でも、振り返って「あのときがターニングポイントだったね」と言われる時代が今なのです。 よし、展覧会のキャラクターに注目した記事も作るぞ! 展覧会キャラ図鑑、お楽しみに! Share!▶︎Tweet関連情報
マルセル・デュシャンと日本美術展は2018年10月2日から。 公式HPはこちらです。 東京国立博物館・フィラデルフィア美術館交流企画特別展「マルセル・デュシャンと日本美術」 念のためのお断りですが、賛否両論の現代アート解説漫画は、今回の記事では全く関係ありません。 漫画に対しての賛否と受け止められると困るので、念のためのお断りね! 世界一有名な便器の謎|いわきりなおと|おしえて北斎! 芸術の秋だからか、10月は大型の美術展がボコボコ始まります。 おすすめを4つまとめました! 10月の上野といえば、やっぱりフェルメールでは? 書店でも、各出版社のフェルメール本が平積みされています。 私も関わった「フェルメール会議」は、ほかの本より色んな角度からのフェルメール考察が読めるのでおすすめです! 現代アートなら、原美術館がおすすめ。 開催中のリー・キット展は実力ある若手アーティストの個展です。 原美術館のプライベートな空間を上手く活かした、建物全体を使ったインスタレーションです。 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ただいま、ツイッターの情報発信を強化中。 ブログ更新情報はもちろん、最新のアートニュースもお届けします。 明菜(アートの定理)をフォローする インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします!
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