カタストロフと美術のちから展 主観レビュー。

かっこいいカタカナ総選挙をやったら確実に神7に入るであろう「カタストロフィ」 フランス語読みで「カタストロフ」となります。 名前の印象で「カタストロフと美術のちから」展に行くと、思ったのと違う感に困惑するはず。
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トーマス・ヒルシュホーン《崩落》(2018年) 作家蔵
どんがらガッシャーン。 「カタストロフ」とは、大災害など社会を一瞬で壊滅状態に追い込むような大惨事のこと。 自然災害、テロ、戦争、金融危機のことを言います。
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ミリアム・カーン《原子爆弾》(1988年) 作家蔵
一瞬の出来事をきっかけに、生き方が変わってしまう。 そんな経験があなたにもありますか? 災害や戦争でなくとも、身近な人が亡くなるとか。 個人的なカタストロフも、今回の展示のテーマになっています。
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クリストフ・ドレーガー《2001年9月12日、ニューヨーク、ワールド・フィナンシャル・プラザの日の出》(2018年) 作家蔵
これ、すごく好き。 色んな意味があって、ミルフィーユみたいに多層的なジグソーパズルです。 2001年9月11日、世界貿易センタービルなどアメリカのシンボルとなる建物に、飛行機が突入する大事件が起こりました。
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クリストフ・ドレーガー《2001年9月12日、ニューヨーク、ワールド・フィナンシャル・プラザの日の出》(部分)(2018年) 作家蔵
本作を作ったドレーガーさんは、事件当日ちょうどニューヨークにいたそうです。 当日・翌日の現場の生々しい写真が、今回展示されています。
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クリストフ・ドレーガー《2001年9月11日のテロリスト攻撃の後、ワールド・トレード・センターから煙が出る》(2018年) 作家蔵
パズルなので、バラバラ→完成→バラバラと、永遠に繰り返すことができます。 911直後から、ニュース番組で繰り返し見たあの映像と、パズルの崩壊する音が重なる… また、頑張ってパズルを完成させても、絵柄がガレキなのもつらい。 人間の無力さの象徴みたいじゃないですか。
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クリストフ・ドレーガー《2001年9月11日のテロリスト攻撃の後、ワールド・トレード・センターから煙が出る》(部分)(2018年) 作家蔵
もちろん国内のカタストロフも。 2011年3月11日の東日本大震災の頃の陸前高田市を撮ったシリーズとか。 畠山直哉さんの写真には、思い出を噛みしめるようなリアルがありませんか?
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畠山直哉「陸前高田2011」シリーズより《2011年3月19日 気仙町中井》(2011年) 作家蔵
惨状を伝える報道とは違って見えるなぁ。 変わり果てた景色を前向きでもなく後ろ向きでもなく、じっと見つめるような。 見る人に解釈を委ねる写真です。
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畠山直哉「陸前高田2011」シリーズより《2011年5月1日 米崎町堂の前》(2011年) 作家蔵
それでは、アートの役割は事件の悲惨さを伝えることだけなのか? 工学と違って復興の役に立たないのでは? との問いに答えるように、第2部が用意されています。 第2部のテーマは「破壊からの創造」です。
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ジョルジュ・ルース《星は空に輝いて》(2018年)
これ、大好き。 ある場所から部屋を眺めると☆が浮かんでいるように見えるの。 写真にペイントしたんじゃないんだよ! 視点を変えると、全然違うものになってしまいます。
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ジョルジュ・ルース《星は空に輝いて》(2018年)
こんな感じにね。 トリックアートとも呼べる形です。 元々、このプロジェクトは東日本大震災で被災し、取り壊されるカフェを使って始まりました。 地域のボランティアとアーティストが一緒にペイントし、星を作り上げたのです。
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ジョルジュ・ルース《アートプロジェクトin宮城》(2013年)
復興には様々な力が必要です。 被災した物件の片付け、新築、次なる災害対策、インフラ整備、ライフラインの復旧… そういった「やらなきゃいけないこと」だらけの中に、「やらなくても良いけど楽しいこと」がある。 「何かを創ること」が人を癒し、生きる力になるのなら。 アートは非常時にも役に立つのではないでしょうか。
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ジョルジュ・ルース《アートプロジェクトin宮城》(2013年)
残念ながらこのあたりで1200文字。 他にも記憶にこびりつく作品が多数あったので、別の記事で紹介しますね。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

イベント企画中です!

「カタストロフと美術のちから」展に一緒に行くイベントを企画しています。 5名限定! 日時:10月18日(日) 14:00〜 料金:1000円(チケット代は別) チケットは年パス、前売りを持ってる方はそれをお使いください。 当日券の場合、最大で1800円ですね。 募集は10月14日(日) 18時に始めたいと思います! お申込み・詳細はこちら、TABICAのサイトから。

展覧会基本情報

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展覧会名:六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 カタストロフと美術のちから展 場所:森美術館 最寄駅:六本木 会期:2018/10/6〜2019/1/20 (会期中無休) 営業時間:10:00〜22:00 (最終入館21:30) ※火曜日のみ17:00まで(最終入館 16:30) ※ただし2019年1月1日(火・祝)は22:00まで(最終入館 21:30) 所要時間:2〜6時間(映像作品が長く多いので、全部見るには半日くらい必要) 観覧料:一般は1800円 公式HP:https://www.mori.art.museum/jp/index.html

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