霧の抵抗 中谷芙二子 主観レビュー。

霧が!もくもくと!
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広場 霧の彫刻
地上の雲みたいで不思議。 風に流されてゆらゆらした動きがかわいい。
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広場 霧の彫刻
あ、こっちに来る! 霧が迫ってきます!
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広場 霧の彫刻
ぎゃー! まっしろ! 真っ白で何も見えません。 自分がどこを向いているのかも分からないし、足元にも何があるのかも分からない。 怖い。 他の人も霧に巻き込まれて見えなくなってしまった… 一緒に来た人とはぐれてしまいました。
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広場 霧の彫刻
霧が発生するのを高い所から見ると、こんな感じ。 外側から見るのは綺麗なんだけど、自分が巻き込まれた瞬間に呑気な気分が霧散します。 (霧だけにね)
うわぁー!すごーい!きれーい! ってハイなテンションから、一瞬で恐怖に変わるの。 この作品は、霧のアーティスト・中谷芙二子さんの彫刻です。 彫刻は「形がガッシリあるもの」とのイメージですが、中谷さんが作るのは霧の彫刻。
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資料の展示風景 ※プレスとして特別に撮影許可をいただきました
水戸芸術館の企画展「霧の抵抗 中谷芙二子」で展示されています。 1933年生まれの中谷さん。 現役で霧の彫刻作品を作っていますし、近年はより活発に制作されています。 2000年代、2010年代と時を重ねるにつれて作品発表の回数が爆増していくのです。 屋外だけでなく、今回は屋内でも霧の彫刻を見ることができます。
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屋内霧インスタレーション
カラスが羽ばたく映像が霧の中に投影されています。 白い霧の中で真っ黒なカラスが見え隠れしているってのは、なかなか不気味です。 カラスって、あまり良いイメージも無いからなぁ。 余計に不気味なのかも。
デジタルアートとしてこういうのをやる人は最近増えている感じがします。 ですが、中谷さんの作品はちょっと違う。 霧の密度の高い湿り気が、爽快なときと不快なときとあるんですよね。 爽快なときは、そこそこの湿度のとき。 不快なのは、髪の毛がじっとりして息苦しいほどの湿度のとき。 自然の美しさと怖さを、身をもって体感すること。 コンクリートに囲まれた都市で、情報の洪水を浴びる私たちに、身体はどれだけ鋭敏に自然を感じ取れるか教えてくれる作品なのです。
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ビデオギャラリーSCAN 展示風景 ※プレスとして特別に撮影許可をいただきました
霧だけでやってきたアーティストではなく、中谷さんはメディアアートの先駆けでもありました。 つまり、最新技術に眉をひそめるタイプではないのです。 むしろ積極的に技術を使って行こうぜ派なんですね。 草間彌生さんのパフォーマンスの映像も残ってました。 ちぎった紙を、うつぶせになった草間さんにかけて埋没させるの。 よって、中谷さんは最新技術を嫌って「自然を感じよう!」と言っているのではありません。 ここ、すごく重要ですからね! (そもそも水だけの霧を人工的に発生させるのに物凄い技術力が必要)
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広場 霧の彫刻
現代社会では、あまりにも人間の生身の感覚がないがしろにされています。 遊びもどんどんバーチャルな方向へ。 宇宙飛行士ユーリ・ガガーリンは「地球は青かった」と言いました。 地球を感じるには、地球の外まで行かなければならないのでしょうか? 人間の器官で何を感じられるのか思い出しなさい。 中谷さんの霧の彫刻からそんなメッセージを感じました。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

展覧会基本情報

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※プレスとして特別に撮影許可をいただきました
展覧会名:霧の抵抗 芙二子 場所:水戸芸術館(最寄駅:水戸) 会期:2018年10月27日〜2019年1月20日 休館日:月曜日、年末年始(2018年12月27日(木) ~2019年1月3日(木)) ※ただし12月24日、1月14日(月・祝)は開館、12月25日、1月15日(火)休館 開館時間:9:30~18:00 ※入館は閉館の30分前まで 所要時間:2時間 観覧料:一般は900円 公式HP:https://www.arttowermito.or.jp/index.html

関連情報

中谷芙二子さんのお父様は雪の結晶の研究者の中谷宇吉郎さんです。 「雪は天から送られてきた手紙である」と言った人ですね。 LIXILギャラリーの中谷宇吉郎展の図録には、研究実績として雪の結晶の写真が収録されてます。 中谷芙二子さんは草間彌生さんと同世代。 実は日本でも女性アーティストが出始めた時代なんだなぁ。 新宿の草間彌生美術館、良かったですよ。 なぜ霧なのか?他のデジタルアートと何が違うのか? など、しっかり背景を分からないと面白さが半減してしまうのも、現代アートの特徴です。 裏を返せば、分かれば2倍は面白くなるってことですね! 水戸ではなく、六本木の森美術館の現代アートを一緒に観る企画も立てました。 都内の現代アート美術館といえば、森美術館。 年パスもあるし、展示会場も広いし、毎回知らなかったアーティストの作品に出会えます。 大好きな美術館の1つ。 企画展「カタストロフと美術のちから」は2019年1月20日まで! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ただいま、ツイッターの情報発信を強化中。 ブログ更新情報はもちろん、最新のアートニュースもお届けします。 インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ Instagram 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
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