東京ミッドタウンアワード 主観レビュー。

夏目漱石は抜いた鼻毛を原稿に並べ、原稿の行き詰まりをやり過ごしました。 では、たんぽぽの綿毛を並べたらどうなるのかな?
FullSizeRender
青沼優介《息を建てる / 都市を植える》
この繊細さ…! もわもわした白い部分が綿毛です。 綿毛が総力で透明な板を支え、ビルになっているのです。 作者は息をテーマに制作する青沼優介さん。 東京ミッドタウンアワードでグランプリを受賞されました。
FullSizeRender
青沼優介《息を建てる / 都市を植える》
横から見るとさらにやばい! 作品が建物なら、床の部分はアクリル板。 ですが、縦の柱は綿毛だけですよね!? 強めに息を吹きかけたら、全部吹っ飛んでしまうかも。 タイトルの「息を建てる」のとおり、すこしの風で綿毛の先端のふよふよ部分がピラピラするのです。 ふよふよ部分がピラピラと!
FullSizeRender
青沼優介《息を建てる / 都市を植える》
空中に舞うはずの綿毛が建物になって、周りの綿毛と協力してアクリル板を支え合っています。 さらに組体操のように何層も重なり、下の綿毛が上の綿毛を支えているのです。 これは愛だ。 綿毛と綿毛の間にかすかなコミュニケーションを感じました。
FullSizeRender
青沼優介《息を建てる / 都市を植える》
全体を見ると、高層ビル群の模型にも見えますね。 都市の熱気すら感じます。 柵があるので、私の鼻息は届きませんでした。 しかし、展示期間中にこんな悲しい事故が起こりました。 青沼さんご本人のツイートを引用します。
展示がガシャガシャになり、綿毛が飛散しています。 何があったのかは分からないのですが… 青沼さんも連絡を受けたときは「泣きそうなくらい悲しく、悔しい気持ち」になったそう。 当たり前です。 どれだけ魂削って仕事をしていることか。
FullSizeRender
青沼優介《息を建てる / 都市を植える》
それでも青沼さんは迅速に綿毛の都市を再建しました。 この記事の写真は再建後です。 感情を表に出さず制作する青沼さんの大人な姿勢に感服。 作者にはブチ切れる権利あるよ、とも思うけど… 皆さん、人が作ったものは大切に見ましょう。 さて、展示されているのは綿毛作品だけではありません。 この作品も大好き!
FullSizeRender
髙瑞雪《"Stand Up!"》
一見、犬の彫刻にもわもわを付けただけっぽいよね。 角度を変えると…
FullSizeRender
髙瑞雪《"Stand Up!"》
脚が変なところに付いてる! もともと座った体勢の犬のオブジェを、4本の脚で立つ姿勢に変えてしまった作品なのです。
FullSizeRender
髙瑞雪《"Stand Up!"》
犬=従順という既成概念を、「おすわり」の既製品で言い換えるスマートさに惚れました。 偏見の既成概念をぶち壊すために立ち上がるアツい作品です。 犬モチーフだけど、偏見からの解放だから全ての物事に当てはまるところも最高。 あとは直感で「好き!」と思った作品を駆け足で紹介しますね。
FullSizeRender
YU SORA《普通の日》
洗濯物に洗濯物の刺繍がされているメタ構造。 絵画のような線に驚きました。
FullSizeRender
仲野耕介《肌羹》
アートだけでなく、そのまま売れそうなデザイン作品も。 肌の羊羹は、世界の「ボーダレス」を上手く美味しく表現したカッコいい作品です。 クール。
FullSizeRender
プラマイロク[三原麻里子 / 野仲胡美]《cocoro ame》
ペロペロキャンディーが円グラフになっていて、どんな感情がどんな割合なのか書けるデザイン。 これは楽しい!
FullSizeRender
プラマイロク[三原麻里子 / 野仲胡美]《cocoro ame》
アートとデザインの素敵な作品が展示されている東京ミッドタウンアワード。 地下鉄の駅からサントリー美術館へ行く通路にあるので、気軽に行ってみて! Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

展覧会基本情報

FullSizeRender
展覧会名:Tokyo Midtown Award 2018 場所:東京ミッドタウン プラザB1 メトロアベニュー(最寄駅:六本木) 会期:2018年10月19日〜11月11日 所要時間:30分 観覧料:無料 公式HP:http://www.tokyo-midtown.com/jp/award/result/2018/

関連情報

六本木はたくさんの美術館に囲まれてるの、知ってる? 東京ミッドタウンにはサントリー美術館があるけど、徒歩圏内に国立新美術館もあるのです。 パリの画家ピエール・ボナールの展覧会は、かわいい猫の絵が人気。 国立新美術館で12月17日まで! 青沼さんは夏の藝大×三越でも展示されていました。 このとき初めて《息を建てる》を至近距離で見て、本当に吐息でさらさら動く綿毛に怖くなりました。 このときの記事では他の作家さんを取り上げましたけれども… たんぽぽの綿毛の作家と聞いて(euglena)さんを思い浮かべた方も多いかな。 素材は同じでも、表現したいことは明確に違うよね。 どちらの作品も好き。 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ただいま、ツイッターの情報発信を強化中。 ブログ更新情報はもちろん、最新のアートニュースもお届けします。 インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ Instagram 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
にほんブログ村