ムンク展 主観レビュー。

《叫び》をゆっくり見る方法の前に、ムンク展の内容の話。 この人は一体どれだけモテてきたんだろう。 ムンクの描く女性って女神すぎません? 特にエヴァ・ムドッチは5メートルくらい離れても美女なのがはっきり分かりました。
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エドヴァルド・ムンク《ブローチ、エヴァ・ムドッチ》(1903年) オスロ市立ムンク美術館
小さい頃に母と姉を亡くしたムンク。 第二子(長男)のプレッシャーたるや、想像に難くないです。 弟1人と妹2人がいたし、お父さんは狂ったようにキリスト教にのめり込むし… 母親代わりのカーレン・ビョルスタさん(母の妹)は、絵を見た感じだと優しそうだし、それは救いかな。
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エドヴァルド・ムンク《カーレン・ビョルスタ》(1888年) オスロ市立ムンク美術館
ムンクは《叫び》のイメージが強すぎて、実はイケメンだということが知られてないよね。 《叫び》の中央で耳を塞いでいるのも自画像だけど、本物は超イケメン。 ムンク展はたくさんの自画像で始まります。
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エドヴァルド・ムンク《自画像》(1882年) オスロ市立ムンク美術館
カッコいいよね。 挑戦意欲を瞳に讃えた美男です。 モテないはずがない。 というわけで、先に紹介した美人ヴァイオリニストのエヴァ・ムドッチと恋仲になったり。 でも展覧会の解説では、女性関係は派手ではなかった様子。 生涯独身を貫きました。 しかしモテにモテたとは思うんですよね。 そして女性の面倒くさいところに翻弄されまくったんじゃないかと…
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エドヴァルド・ムンク《すすり泣く裸婦》(1913-1914年) オスロ市立ムンク美術館
この絵はヤバい…! 長い髪で顔が完全に隠れ、表情は見えないのに泣いていると分かります。 苦しげで不安定な泣き声が聞こえる…。 脚の投げ出し方なんか、なりふり構わず泣く女性らしいです。 でもパンパンに腫れた目を見られたくないから、顔はしっかり隠す。 私だったら、泣いてるところを絵に描いている男なんて願い下げですが…。
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エドヴァルド・ムンク《夏の夜、人魚》(1893年) オスロ市立ムンク美術館
安易な見方なのは承知の上で言います。 ムンクは恋人に母性を求めていたと思うんですよね。 少なくとも、そう感じさせるテーマの選び方と表現でした。 マドンナの版画を縁取る胎児と精子の絵から、生命が発生する過程に関心があったことが分かるし。 女性が母親になる瞬間に興味があったんじゃないかと思うの。
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エドヴァルド・ムンク《ラウラ・ムンク》(1883年) オスロ市立ムンク美術館
ムンクは幼い頃に母親を亡くしているので、本物の母親には会えません。 一方で、次々に現れる女性に母を重ねることはできるわけで。 その重ね合わせも失敗するけど、冷たく突き放すようなことはしないんだよなぁ。 淡々と絵を描くけど、泣く女を下には見ないジェントルマンです。 2人の妹の影響かなぁ。 女性の子供っぽいところを見て勝手に失望するものの、妹を慰めるように優しくしてしまう… ムンクの矛盾した感情が見えました。
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エドヴァルド・ムンク《夏の夜、渚のインゲル》(1889年) コーデ(KODE)、ラスムス・メイエル・コレクション、ベルゲン
ごめんなさい、これ全部想像なんです。 ムンクの絵100点を見て、展覧会を2周して、こう感じました。 愛をテーマにしながら、自分も愛に包まれたいような包まれたくないような。 ムンクと愛の間には不自然な距離がありました。 女性の面倒くさい部分以前にムンクも面倒くさい人だったんだろうな… と思うけど、イケメンなら帳消しなんですかね。 ムンク展、とても重い内容でした。 2時間みっちり戦争映画を見たときのようなげっそり感です。 だから痩せたかも! こんな風に!
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エドヴァルド・ムンク《叫び》(1910年) オスロ市立ムンク美術館
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《叫び》をゆっくり見る方法

ムンクといえば《叫び》! 人気のムンク展では、《叫び》の前の混雑がエグいことになってます。 最前列は立ち止まらないように促されるドライブスルー方式の鑑賞。 2列目以降は止まったまま見られるのですが、あまりに混んでいると長時間ずっと良いポジションで見るのも恐縮ですよね…。 おすすめの時間帯は、金曜の夜間の閉館間際! この時間帯になると、2列目でゆっくり見ることができます。 また、最前のドライブスルー方式も人が少ないので、何回でも行けます! 更にしっかり見るには単眼鏡がおすすめ。 《叫び》だけでなく、全ての作品に対して 「接近しすぎての鑑賞はおやめください」 とスタッフさんに注意されてしまうので… 肉眼で顔を近づけるのではなく、適度な距離で単眼鏡を使いましょう。 私の愛用はビクセンの4倍なんだけど… ケンコートキナーというカメラや望遠鏡が専門のメーカーも単眼鏡を新たに発売しました。 こちらの方が視界が明るくて見やすい! と言う人もいるので、気になってます。 というわけで、ムンク展は金曜の夜、単眼鏡を持って行きましょう! Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

展覧会基本情報

展覧会名:ムンク展―共鳴する魂の叫び 場所:東京都芸術館(最寄駅:上野) 会期:2018年10月27日〜2019年1月20日 休館日:月曜日、12月25日(火)、1月1日(火・祝)、15日(火) ※ただし、11月26日(月)、12月10日(月)、24日(月・休)、1月14日(月・祝)は開室 開館時間:9:30~17:30(金曜日、11月1日(木)、3日(土・祝)は9:30~20:00) ※入館は閉館の30分前まで 所要時間:2時間 観覧料:一般は1600円 公式HP:https://munch2018.jp

関連情報

展覧会の予習なら、美術手帖の別冊がおすすめ。 ノルウェー現地取材の写真が超綺麗なの。 叫びの背景と同じように赤い空と青いフィヨルドの写真は絶対に見てほしいです。 この本のおすすめポイントは別記事で詳しく書きました。 フェルメール展も相変わらず大人気。 今、上野でムンク、フェルメール、ルーベンス と超有名画家の展覧会が同時に行われているのです。 超奇跡。 フェルメール展は時間指定の入場でクセがあるので、混雑を避ける方法も含めてこの記事に書きました。 フランダースの犬じゃないけど、本当に涙が出たルーベンス展。 フェルメールと同時代の画家だけど、大きなキャンバスにドラマチックな絵で、フェルメールとは正反対です。 ムンク、フェルメールよりは混んでない…と思う。 上野の国立西洋美術館で2019年1月20日まで! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ただいま、ツイッターの情報発信を強化中。 ブログ更新情報はもちろん、最新のアートニュースもお届けします。 インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ Instagram 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
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