21st DOMANI・明日展 主観レビュー②。

今年もDOMANI・明日展の季節がやってきました。 昨日に引き続き、平和で奥ゆかしい空間を見ていきます。 昨日の記事はこちら。 やっぱり印象に残ったのは、加藤翼さん。 森美術館「カタストロフと美術のちから」展でも映像作品を展示していました。 今回はいくつかの作品を展示していましたが、一番目立つのは、やっぱりコレだよね。
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加藤翼《Pass Between Magnetic Tea Party》(2015) Courtesy of Toyota Municipal Museum of Art and MUJIN-TO Production
布の上を車のタイヤが走って黒く汚した状態なんですけど… 映像でその制作過程を見ることができました。 わきこまれた 車を運転する人が1人。タイヤにペンキを塗り続ける人が、手前に1人と、死角に1人。少し高い台を上がり下る車を、微調整する大勢の人々。 みんなが協力して少しずつ車を前に進めることで、クッキリしたひと繋がりの「タイヤの跡」ができました。 この人たち、一体何者なんだろう…?
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加藤翼《Pass Between Magnetic Tea Party》(2015) 映像の展示風景
きっとその地元の人々なんですよね。 車が乗る台もそこにあるものを使ったらしく、全部が終わった後、台に使われたテーブルを一生懸命拭いている人が印象的でした。 普通に暮らしている場所で、よく分からんプロジェクトが突然始まり、なんとなく参加してしまう人々。 きっと彼らの絆も深まったとは思うけど、注目したいのが、道路で行われていること。 布や台をサーっと片付けた後、普通に自動車が通り始めましたからね。 あの時間は何だったんだろう? 疑問を持ってしまうほど、この道はあっけなく日常を取り戻しました。
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加藤翼《Pass Between Magnetic Tea Party》(2015) 映像の展示風景
1つの作業に大人数が協力することで、一体感が生まれるのは事実。 しかし享楽的な…アドレナリンに騙されて、プロジェクトが終わると共に一体感も薄れているのでは…と思ってしまいます。 運動会の直後はクラスの雰囲気が良くなるものの、だんだん元の状態に戻っていくこと然り。 タイトルの「Magnetic Tea Party」も謎多いなぁ。 赤道が関係してる? 人と人との距離、場所への想像力を作品の養分とする加藤翼さんの作品。 「なんでこれがアートなの?」と言われやすいタイプのプロジェクトとは思いますが、私はこういうの好きですよ! 読み解きがいがあって楽しい作品です。
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加藤翼《Pass Between Magnetic Tea Party》(2015)のフォトスポット
DOMANI展の全体的な感想を言うと、若干控えめな展示だったかなーとも思われます。 グループ展だとこんな感じなのかな? 展覧会に行きすぎて逆に分からなくなってきました。 奥ゆかしい作品…と言うのかな。 見る人が寄って行って、初めて心を開いてくれるような、引っ込み思案な印象もありました。 DOMANI展は文化庁の芸術分野の海外留学を後押しするプロジェクトに絡んだ展示です。 どの作家も日本を飛び出すほどのバイタリティーの持ち主ということなので、もうちょっと自己主張が強くても良いのでは、と率直に思いました。 具体的な言葉にしにくいのだけど、作品の方から高速で触手を伸ばし、見る人を雁字搦めにして離しません! みたいな、強烈さを感じられたら良いな。 毎年開催される展覧会なので、定点観測的に現代アートをウォッチしていきます。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※写真の色調すら調整する気力がありません…生データでごめんなさい。

展覧会基本情報

展覧会名:未来を担う美術家たち 21st DOMANI・明日展 文化庁新進芸術家海外研修制度の成果 場所:国立新美術館(乃木坂) 会期:2019/1/23-3/3 休館日:毎週火曜日 開館時間:10:00-18:00 ※毎週金・土曜日は20:00まで ※入場は閉館の30分前まで 所要時間:2時間 観覧料:一般は1000円 公式HP:http://www.nact.jp

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