VOCA展 2019 主観レビュー。

「平面」を共通項に作品が集まったVOCA展。 規定サイズの中で、何枚組で行くのか、1枚の大きさはどうするのか… など、パズルを完成させるように平面作品ができていく様子を妄想できて楽しかったです。 サイズが決まっている押入れに私物をしまうときのような。
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石場文子《2と3、もしくはそれ以外(祖母の家)》
一番ゾクッと来たのは、石場さんの写真。 左の写真は布にお祖母様の輪郭を施したものですが、問題はその右の3つ。 なんか違和感あるなーと思って近づくと、三次元の立体に黒い輪郭が!
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石場文子《2と3、もしくはそれ以外(祖母の家)》(部分)
それを写真に撮るのだから、カメラと被写体の位置関係を計算して輪郭を描かないといけないし、見た目より難しいはず。 アニメ的な2次元とリアルな3次元が1枚に同居してる。 しかも撮影場所がお婆ちゃんの家、というインスタ映えしなさ。 妙な懐かしさ。 主人が2次元の亡霊に姿を変え、触ったものが2次元に落ちていく… そんなストーリーを妄想しました。
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石場文子《2と3、もしくはそれ以外(祖母の家)》(部分)
一番大きな作品だったのは大平さん。 脈々と続く日本美術史のモチーフを取り込むことで、地球の新陳代謝をも表現するような作品。 例えば、富士山が連なるところ。 葛飾北斎や横山大観など、あらゆる富士山が並んで、脱皮したようにも見えます。
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大平由香理《廻生》
大きい絵なので全体も見つつ、しっかり近寄って見たい。 隠れたモチーフや地球の息吹に気づけます。
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大平由香理《廻生》(部分)
尾角さんの作品はトリッキーで、QRコードが3つ仕込んでありました! YouTubeの動画にリンクしています。 VOCA展は映像もOKだけど、本作は時間や空間を飛び越え、動画サイトに飛ばす作品。 時間も空間も超える、4次元の平面ですな。
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尾角典子《From where you are》
キャッチーな仕組みを別にしても、画面全体を見るとミケランジェロの《最後の審判》を思い出す…というか。 明確に上と下に世界が分かれていて、画面のあちこちで様々な事象が起きています。 黄色い服の人を追いかけてみれば、そこはディストピア。 穴を掘っては埋める公共事業のようで、何をしているのか分からないループ。
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関川航平《歌につれ》
さて、サイズの規定で最も面白いのが「厚さ20cm」です。 20cm以内なら飛び出せる…というわけで、今までもこれからも、厚さにチャレンジする作品は多いでしょう。 平面作品の中に「普通の見方をすれば立体」な作品が混ざってるのが面白い。 厚さが20cmに収まっていれば、VOCA展では平面なのです。
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関川航平《歌につれ》(部分)
なぜ、台のキワの所に… 息がかかっただけでも倒れそう。 地震で崩れてしまいそうだし、外見のポップな色使いとは裏腹に、繊細な作品です。 積み木に書かれているのは詩で、意味は難解というかナンセンスというか… って感じで、崩れたら元に戻せるのか? いや、新たな並び順で詩が生まれるのか?
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関川航平《歌につれ》(部分)
VOCA展には、様々な思いを抱えている人が集まっています。 個展や所属が同じ人のグループ展とは違って、色んな人がいるの。 賞レースだから保守的な人もあれば、アグレッシブな人もいるでしょう。 隣どうしの作品がぶつかり合うガチンコな雰囲気が、最大の見所かもしれません! Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※写真はプレス内覧会で撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:VOCA展2019 現代美術の展望─新しい平面の作家たち 場所:上野の森美術館(上野) 会期:2019/3/14-3/30 開館時間:10:00-18:00(入館は閉館の30分前まで) *3月21日(木祝)は13:00開館 所要時間:2時間 観覧料:一般は600円 公式HP:http://www.ueno-mori.org/exhibitions/main/voca/2019/

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