Meet the Collection ―アートと人と、美術館 主観レビュー 後編。
約400点もの作品が展示されている『Meet the Collection ―アートと人と、美術館』。 開館30周年を記念して、横浜美術館で開催されています。 ゲスト・アーティスト4人のうち、昨日は2人を紹介しました。 今日はあとの2人を。 今津景さんの展示室は、シュールレアリスムのコレクションをたくさん展示していました。 が、展示方法が神。今津景さん中心でキュレーションされた横浜美術館コレクションの展示風景平たい大きな白い台に、大小さまざまな彫刻を並べる、という。 物凄い存在感のある大きな作品から、全く目立たない小さな作品まで、緩急つけて展示されています。 彫刻の剥製のように見えるなぁ。 美術史の剥製、とも言えるかも。今津景《Repatriation》(2015年) 作家蔵今津さん自身の作品は、奥の壁の大きな絵画。 美術品は売買だけでなく略奪や支配など、さまざまなパワーバランスによって移動します。 その間に出自が分からなくなったり、破損したりすることもあるでしょう。 人間に翻弄されるブツたちのイメージをコラージュしたような作品でした。 よく見ると、古代遺跡や石膏像っぽいモチーフが入ってるのです。菅木志雄さん作品展示風景菅木志雄さんも、さすが。 私が一番好きだと思ったのは、板で作った正方形が連続している作品。 展示室の出入り口が正方形になっていて、そこにぴったり収まるサイズの正方形なんです。 板で作られたのも、出入り口。 もともとの出入り口は、当然、出入り口。 だから、出入り口が出入り口を出たり入ったりする、訳分からん感じになってます。菅木志雄さん作品展示風景ただの板なので完全に静止しているんですけど、なぜか動き出しそうなエネルギーを感じるんですよね… 理由は全く分からないんですけど… 4人のゲスト・アーティストによる展示は以上ですが、展示室は他にもあります。 なんせ約400点も展示されてますからね…! 個人的には、宮川香山がやっぱり良かった。 猫の歯のギザギザまで陶器でできてます。宮川香山(初代)《高浮彫牡丹ニ眠猫覚醒大香炉》(19世紀後期(明治前期)) 横浜美術館(寄託:田邊哲人コレクション)「常設展」「収蔵品展」「所蔵品展」「コレクション展」とさまざまに呼ばれる、うちが持ってる作品も見て行ってよ展。 日本の美術館と鑑賞者の課題の一つに「企画展は激混みなのに常設展はガラガラ」と濃淡がはっきりしがちなことが挙げられます。『Meet the Collection ―アートと人と、美術館』展示風景横浜美術館のインフラ的な特徴で最も際立っているのが、「企画展の会場」と「コレクション展の会場」が同じフロアで、連結していること。 他の美術館だとフロアが分かれていて、接続しにくいこともあるのですが、横浜美術館は連結してるんです。 この利点もあってか、今までの展示でも「企画展→コレクション展」とお客さんの動線を引きやすいのだそう。 例えば、ヌード展の後とか。 そのままの流れでコレクション展を通り抜けませんでしたか?『Meet the Collection ―アートと人と、美術館』展示風景シュールレアリスムを中心とした横浜美術館のコレクションは、国内の美術館としては十二分に充実しています。 企画展からコレクション展への動線も整っています。 ここまで外堀が埋まっていてもなお、新たな「魅せ方」にチャレンジする横浜美術館。 31年、32年…と歴史を刻んでいって欲しいな。 Share!▶︎Tweet展覧会基本情報
展覧会名:横浜美術館開館30周年記念 Meet the Collection ―アートと人と、美術館 場所:横浜美術館(みなとみらい) 会期:2019/4/13-6/23 休館日:木曜日、5月7日(火)ただし5月2日(木・休)は開館 開館時間:10:00-18:00(毎週金曜・土曜は20:00まで、入館は閉館の30分前まで) 所要時間:2時間 観覧料:一般は1100円 公式HP:https://yokohama.art.museum関連情報
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ネオ美術館。『Meet the Collection ―アートと人と、美術館』【後編】