メムリンク美術館 主観レビュー。
『ベルギー7大秘宝』をご存知でしょうか? フランダースの犬にも登場したルーベンス《キリスト降架》や、ブリューゲル《イカロスの墜落》も含まれていますが、今回取り上げるのがこちら。ハンス・メムリンク《聖ウルスラの聖遺物箱》(1489年)ハンス・メムリンク《聖ウルスラの聖遺物箱》です。 ベルギー・ブルージュの『メムリンク美術館』で見ることができます。ハンス・メムリンク《聖ウルスラの聖遺物箱》(1489年)メムリンクの絵は中世っぽさがあって、頭が大きく体が細め。 絵の中の人物の顔がほとんど同じなのも特徴的です。ハンス・メムリンク《聖ウルスラの聖遺物箱》(1489年)ルネサンス以降のリアルかつダイナミックな絵を見慣れていると、「メムリンク超すごい!大好き!」にはなりにくいと思います、正直。 ですが、私が気になったのは人物ではなく静物。 モノの描き方です。ハンス・メムリンク《聖ウルスラの聖遺物箱》(部分)(1489年)めっっっっっちゃ上手くない? 船の帆がふっくらしています。 聖母子像も、顔はメムリンク流なんですけれども。ハンス・メムリンク《diptych with Our Lady and Maarten van Nieuwenhove》(1487年)マリアの服の装飾は圧倒的に上手い。 ここだけ立体に見える。 本物の宝石をキャンバスに貼り付けたかのように、ここだけリアルなんですよ。ハンス・メムリンク《diptych with Our Lady and Maarten van Nieuwenhove》(部分)(1487年)実は、細部までしっかり描き込む手抜かり無い絵画は、北方ルネサンスの絵画の特徴でもあります。 正にここブルージュは、15世紀にイタリアとの交易で重要となる港でした。 ちょうどメムリンクが活躍した時代です。ハンス・メムリンク《triptych of Adriaan Reins》(1480年)当館にはメムリンクの作品が6つあり、そのうち4点は彼が聖ヨハネ施療院の患者だった頃に描いたそうです。 別の画家の絵ですが、メムリンクが《聖ウルスラの聖遺物箱》を制作している風景をイメージした作品もありました。Henri Dobbelaere《Memling in Saint John's Hospital》(1857年)こんな感じで、興味津々に見られていたんだろうなぁ、本当に。ハンス・メムリンク《聖カタリナの秘密の結婚》(1480年)《聖カタリナの秘密の結婚》は、展示空間や裏側まで見てくださいね。 色彩も鮮やかで、15世紀のものとは思えないですよね。 (修復されているのかもしれませんが)ハンス・メムリンク《聖カタリナの秘密の結婚》(部分)(1480年)斜めからの写真で恐縮ですが、やっぱりモノが上手い気がする。 ガラスの丸さや光の反射がとてもリアルだし、人間の大人しさが不思議に感じられます。ハンス・メムリンク《聖カタリナの秘密の結婚》(部分)(1480年)ところでメムリンク美術館は、聖ヨハネ施療院の建物を改装して作られたもの。 病院として使われていたため、医療器具の展示もありました。 …怖いけど。 医学の進歩に多くの人が労力を割き、時に犠牲となってきたことを痛感します。 昔の医療、心許なさすぎますもん。 現代の医学も300年後くらいには「21世紀の手術は恐ろしい。器具を見るだけで身の毛がよだつ」とか言われているかもしれませんね。 12世紀から存在する古い建物なので、どっしりとして人の汗を吸いまくってる感じがします。 12〜20世紀まで病院や修道院として使われてきた場所なのだそう。 美術館になっていなかったら、心霊スポットになっていたかもしれません。ハンス・メムリンク《triptych of Jan Floreins》(1479年)そんなわけで、当館は『Hospitaalmuseum』という名がついていました。 『メムリンク美術館』を探していたので施療院の目の前で「美術館が見つからない!」と嘆いていましたが、全く同じ場所だったんですねー。ハンス・メムリンク《portrait of a young woman or Sibylla Sambetha》(1480年)「この記事で初めてメムリンクを知った!」って方も多いと思います。 ベルギー7大秘宝の1つなので、ぜひ見に行きましょう! Share!▶︎Tweet美術館基本情報
館名:メムリンク美術館(聖ヨハネ施療院)(Hospitaalmuseum Memling in Sint Jan) 行き方:ブルージュ駅から徒歩15分くらい 所要時間:1時間 観覧料:€8 公式HP:https://visit-bruges.be/see/museums/memling-museum関連情報
『北方ルネサンス』は西洋美術で超重要な時代。 油絵を発明したのは、メムリンクも影響を受けたファン・エイク兄弟なのだ。 ブルージュも良いけどアントワープも良いよ! ルーベンスが活躍した場所で、彼のお墓もあります。 今回のオランダ・ベルギーで行きたいところリスト。 前回はシンガポールへアート旅に行きました。 読者登録していただくと、LINEに「アートの定理」の更新情報が届きます! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは、ブログに載せていない写真も掲載しています! 明菜(アートの定理)をフォローする インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします!
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