『カルティエ、時の結晶』主観レビュー。

アートの定理YouTubeでは美術館の動画を配信しています。 身につけるものって、どうしてこんなに魅力があるのでしょうか? 今回は、自動車より時計、不動産よりダイヤモンドが好きな私が、死ぬほど行って良かったと思う展覧会のお話です。
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《「タイガー」ネックレス》 カルティエ、1986年 カルティエ コレクション
『カルティエ、時の結晶』が国立新美術館で開幕しました。 20世期初頭から現在までに作られたカルティエの作品が、約300点も展示される展覧会です。 本展覧会のテーマは時間で、ミステリークロックの展示から始まります。
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《大型の「ポルティコ」ミステリークロック》 カルティエ パリ、1923年 カルティエ コレクション
針が宙に浮いているみたい…! 不思議な時計を発明したのは、ルイ・カルティエと時計職人のモーリス・クーエ。 針を動かす機構がどこかに隠されているわけですが、そうとは信じられないほど針が浮いて見えます。 美しさはアートだけでなく、サイエンスをも巻き込んで実現するのですね。
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《「バード」ブローチ》 カルティエ パリ、特注品、1948年 カルティエ コレクション
気になったのが、動物をモチーフにした作品が多いこと。 ルイ・カルティエの時代は動物園ができて異国の生き物が身近になってきた頃でもあり、「未知への好奇心」がメゾンを高次元に後押ししたのでは、など想像が膨らみます。 とにかく、私もワニを首に巻いてみたいです。
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《ネックレス》 カルティエ、2014年 個人蔵
レース編みのように繊細な作品もありました。 基本パーツが石と金属だなんて信じられない曲線。 こういった技術が受け継がれ、失われずに現在に至っていることは明らかで、関わったすべての職人さんを尊敬します。
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《「レースリボン」ブローチ》 カルティエ パリ、1906年 カルティエ コレクション
会場内は照明を落とした状態で、ジュエリーの輝きにより没入できるスタイルになっていました。 ダイヤモンドって、さまざまな色の光を放つんですね。
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《ティアラ》 カルティエ パリ、1955年 モナコ大公宮殿コレクション
モナコのグレース・ケリー公妃が着用したティアラも… 彼女が着けている写真が本展のカタログに載っていて、そのティアラが目の前に…ってなったら、誰でもテンション上がります。
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『カルティエ、時の結晶』序章「時の間」
新素材研究所 / 杉本博司+榊田倫之が手がける会場構成も、期待値を軽々と上回ってきています。 12本の光柱の中に時計を展示する序章『時の間』も話題ですが、その他の展示室も世界観がしっかりと作り込まれています。 宝石は鉱物なので、億年単位の時間を地中で過ごしてきたものなんです。 木材や石を展示のアクセントに使っており、宝石を自然の歴史の一部に入れ込むような見せ方が最高でした。
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『カルティエ、時の結晶』展示風景、手前:《2本の「フェーン(シダ)の葉」ブローチ》 カルティエ パリ、1903年 カルティエ コレクション
仏画とジュエリーの取り合わせも良いです。 和洋が融合した床の間のよう。 ここまで冷静に書いてきましたが、見どころしか無いんですよ! 「非の打ち所がない」っていうのは、こういうことなんだと思いました。 どんなに細かいところまでも完璧で、メゾンたる理由が分かります。
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『カルティエ、時の結晶』展示風景
しかも、ガラス面への映り込みがほとんど無くて見やすい! これは特筆すべきことです。 美術館で展示ケースを覗いているとき、ケースの表面に自分の顔が反射してギョッとしたことはありませんか? 美しいものを見ようとして、気の抜けた自分の顔のドアップを見てしまうなんて、不幸すぎますよね。 本展覧会のケースでそんな思いをすることは無く。 ガラス越しとは思えないほど、ジュエリーをしっかり見ることができました。
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《「ロシアン」ティアラ》 カルティエ パリ、1908年 カルティエ コレクション
約2000平米の広大な会場で、夜空の星のように光る宝石たち。 カルティエのことを今も「カルチェ」と呼ぶ、バブリーな母を連れて行きたい展覧会でした。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加 ※取材許可を得て撮影しました。

展覧会基本情報

展覧会名:カルティエ、時の結晶 場所:国立新美術館 企画展示室2E(東京・六本木) 会期:2019年10月2日(水)-12月16日(月) 休館日:毎週火曜日(10月22日(火・祝)は開館、10月23日(水)は休館) 開館時間:10:00-18:00(毎週金・土曜日は20:00まで、入場は閉館の30分前まで) 所要時間:2時間 観覧料:一般1600円、ほか 展覧会HP:https://Cartier2019.exhn.jp

関連情報

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