『ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン』主観レビュー。
ラウル・デュフィも私が大好きな画家の1人です。 フランスのパリやニースを主題にした絵画を別の機会に見ることがあり、ずっと好きな作家です。《ニースの窓辺》1928年、油彩/キャンバス、島根県立美術館蔵というわけで、パナソニック汐留美術館で開催されている『ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン』には、開催前から並々ならぬ期待を抱いていました。展示風景なぜデュフィの絵画が大好きなのかと言うと、音楽が聴こえてくるような絵だから。 滲み出るような色彩はその場の空気の揺れを伝えてくれます。 特にコンサートホールを題材にした作品は音色まで聴こえてくるの。 私は音楽も大好きなので、デュフィが描く音のような色に共感するし、巧みなテクニックに感嘆します。《黄色いコンソール》1949年頃、油彩/キャンバス、大谷コレクション皆さんは『共感覚』をご存知でしょうか? 色を見たときに音楽が聴こえたり、何か食べたときに色を感じたりする感覚のことです。 五感のうち、ある感覚への刺激が別の感覚をも呼ぶのが『共感覚』です。展示風景おそらく多くのアーティストが、色や文字を見て他の感覚が呼び起こされる体験をしていると思います。 デュフィもそうだったのではないかな、なんて考えました。 ちなみに私は絵を見たり音楽を聴いたりすると、味覚が生まれる食いしん坊タイプ。 本展ではトマトやたまねぎのようなフレッシュな味を感じられました。イヴニング・コート《ペルシア》、ドレス・デザイン原案 ポール・ポワレ(1911年)制作 モンジ・ギバン 2007年、絹、デュフィ・ビアンキーニ蔵さて、本展のメインの1つとなるのが、布地のデザイン原画や衣装作品。 デュフィはテキスタイル・デザイナーとしても活躍していました。 「体に悪影響のあるコルセットを使わない女性の衣装」を作ったとして有名なファッション・デザイナー、ポール・ポワレに誘われて、デュフィはテキスタイルのデザインを始めました。《ヴァイオリン》1989年(デザイン1914-20年頃)、毛織物、デュフィ・ビアンキーニ蔵後にデュフィはポワレの元を離れ、ビアンキーニ=フェリエ社と専属契約を結びます。 それからもポワレはデュフィがデザインしたビアンキーニ=フェリエ社のテキスタイルを愛用していたらしく、懐の深さがうかがえますね。展示風景デュフィ特有の、輪郭線と塗りつぶし範囲がズレている絵の描き方も、布地のプリントから着想を得たそうです。 上品な色のはみ出し方は、さらなる動きとリズムを生んでいます。展示風景展示作品だけでなく、壁の色も特筆するべきです。 デュフィの強烈な色彩と同様のトーンで原色に近い色の壁ですが、作品と壁が引き立て合っているんです。展示風景本展の明るさや華やかさは、壁の色を抜きにして語ることなどできません。 黄色と青という反対色を組み合わせた展示室は特に、フランスのニースを思わせる明るさです。展示風景青一色の壁は、デュフィが愛した海を彷彿とさせます。 ドレスの大きくて鮮やかな模様が引き立つと共に、デュフィが見ていた海が背景に見えるようです。展示風景「デュフィ好き」と言いつつ、私は絵画以外の仕事についてほとんど知りませんでした。 彼の絵画とテキスタイルの仕事が、相互作用で高め合っていたとは。展示風景植物や動物だけでなく、楽器や都市生活までもテキスタイルに取り入れたラウル・デュフィ。 会場の床に投影される花柄のデザインも、よく見てくださいね! Share!▶︎Tweet ※取材許可を得て撮影しました。展覧会基本情報
展覧会名:ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン 場所:パナソニック汐留美術館(新橋) 会期:2019年10月5日(土)-12月15日(日) 休館日:水曜日 開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)※11月1日(金)、12月6日(金)は夜間開館 20:00まで(入館は19:30まで) 所要時間:2時間 観覧料:一般は1000円 公式HP:https://panasonic.co.jp/ls/museum/exhibition/19/191005/index.html関連情報
本展の図録はこちら。 「表紙真っ白!?」ってビックリするかもしれないけど、エンボス加工でデザインされてるだけです。 読者登録していただくと、LINEに「アートの定理」の更新情報が届きます! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは、ブログに載せていない写真も掲載しています! 明菜(アートの定理)をフォローする インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします!
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ニースの光が汐留に!『ラウル・デュフィ展 絵画とテキスタイル・デザイン』