『エミリー・メイ・スミス「Avalon」』主観レビュー。

エミリー・メイ・スミスさんの日本初個展『Avalon』に行ってきました。 アニメーションのような色やグラデーションで、丁寧に仕上げられた絵画がパッと目を引きます。
FullSizeRender
エミリー・メイ・スミス《Gleaner Odalisque》(2019年)
アングル《グランド・オダリスク》をベースにした作品。 ディズニー映画『ファンタジア』に登場するほうきに似てるなぁ。 と思ったら、本当にファンタジアからの引用だったみたい。 エミリーさんは洋画史のアートの多くが男性によって男性の楽しみのために作られたことを考察し、作品を制作しています。 ほうきは、何千年にもわたって女性に委ねられてきた家事労働を象徴しているそう。 映画『ファンタジア』では魔法使いの弟子に反逆する道具としても登場します。
FullSizeRender
エミリー・メイ・スミス《Gleaner Odalisque》(部分)(2019年)
ほうきはのっぺらぼうのように見えますが、よく見ると嘴のようなものがついていることが分かります。 どこを向いているのか分からないですね… 本家のアングルの絵は首にぎゅるぎゅるとシワがあって、無理に首を捻っている様子があるのですが。 ほうきだと皮膚のよじれがよく分かりません。
FullSizeRender
エミリー・メイ・スミス《Eldorado》(2019年)
エミリーさんの絵画は、フェティシズムというか、性を正面ではなく斜めから捉えたテーマだな、と思いました。 ほうきの妙な艶かしさもそうですが、唇や舌もエロティックに描かれています。 とはいえ、「どんな美女の唇や舌なのか」が分かるように描かれているのではありません。 男性が男性のために描く絵であれば、こういう風にはならないでしょう。
FullSizeRender
エミリー・メイ・スミス《Avalon》(2019年)
風景画に女性の乳房を登場させた《Avalon》という作品は、夜の砂漠のような作品です。 アヴァロンとはアーサー王物語の舞台で、戦で傷を負ったアーサー王が最期を迎えた島。 アーサー王の死が描かれた絵画は、多くの場合、アヴァロン島の美女が看取る形となっています。 エミリーさんの作品では、人気のない砂漠のような場所が描かれているのみ。 アヴァロンはアーサー王が傷を癒すためにやってきた場所でもあるので、女性たちの包容力の方を表現したかったのではないでしょうか。
FullSizeRender
エミリー・メイ・スミス《Temptation Island》(2019年)
私には何のパロディなのか分からなかった作品もあるので、分かる人はもっと面白いんだろうなぁ。 分からなくても、絵の表面の滑らかさがとても面白かったです。 すごく丁寧に仕上げられているので、筆の跡が無くて。 グラデーションの部分とかどうやって描いてるんだろう。
FullSizeRender
エミリー・メイ・スミス《The Gleaner and Me》(2019年)
最近わりと筆の跡を残す作品の画家が多いように感じているので、ギャップがあるんですよね。 インクジェットプリンターですよね?って聞きたくなってしまうほど… キャンバスではなく「リネンに油彩」なのが関係しているのかしら。
FullSizeRender
エミリー・メイ・スミス《The Green Blade Spins Their Flesh to Ore》(2019年)
20年にわたって絵を描き続けてきたエミリーさんですが、自身のアートがはっきり見えてきたのは2013年頃なのだそうです。 ほうきと出会ったのもその頃。
FullSizeRender
展示風景
異なる配色やモチーフを描いていて、特にシリーズ化はされていないのに、なんとなく一貫性を感じる作品たちでした。 画像で見るよりずっと吸引力のある絵画です! Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

展覧会基本情報

展覧会名:エミリー・メイ・スミス「Avalon」 場所:ペロタン東京(六本木) 会期:2019年8月28日-11月9日 所要時間:1時間 観覧料:無料 公式HP:https://www.perrotin.com

関連情報

六本木ではバスキア展が開催中! 同じく六本木ではカルティエの展覧会も! 2020年に開催される『第1回ひろしまトリエンナーレ』の企画発表会を取材しました。 読者登録していただくと、LINEに「アートの定理」の更新情報が届きます! 弊ブログのメインコンテンツは展覧会の感想です。 最新の展覧会情報はこちら。 今月の展覧会 今までに行った展覧会一覧 ツイッターでは、ブログに載せていない写真も掲載しています! インスタグラムも。 1人でアート大喜利やってます。 明菜氏のインスタ Instagram 最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございました! 良かったら応援クリックお願いします! にほんブログ村 美術ブログ いろいろな美術・アートへ
にほんブログ村