芸術祭の数とGDPの相関が発覚しました!

以前の記事で、2020年に日本で開催される芸術祭についてまとめました。 何も開催されていない月の方がレアという結果に。 芸術祭は2年か3年に1回開催されることが多いのですが、毎年こんな感じですよね。 ならば、芸術祭の数自体が多いということになります。 日本だけ多いのか、世界でも同じくらい開催されているのか知りたくて、ちょっと調べてみたんです。

世界のビエンナーレ・トリエンナーレを集計!

ビエンナーレ・ファウンデーションというサイトで世界の芸術祭が一覧になっていたので、ひとまずこちらのデータを集計してみました。 掲載されている芸術祭を国別に分け、数をカウントしていきます。 (USAとUnited Statesを同一視、UKとEnglandとGBを同一視、などの操作もしました) データは2020年1月4日現在です。
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1位アメリカ、2位中国、3位は日本とドイツが同立、5位はイギリス、となりました。 開催数は、アメリカ24個、中国13個、日本とドイツが12個、イギリスが8個です。 その後、カナダ8個、フランス・ノルウェー・イタリア・韓国が7個、、、と続いていきます。 ビエンナーレ・ファウンデーションのページに載っていない芸術祭もあるだろうけど、今回はそれらは含めないと割り切りました。 開催数の傾向が見られれば良いので。 日本は世界で3番目くらいに芸術祭が多く開催されている、ということが分かりました。 さて…これは多いのでしょうか?

この順位…どこかで見たことがあるぞ?

ところで、アメリカ、中国、日本、ドイツ、イギリスの順になる数値といえば、見覚えがありませんか?
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そうです、国別GDPです。 名目GDPと実質GDPで数値が近いところは入れ替わることがありますが、上位陣で大きな入れ替えが起こることは少ないので、ひとまず名目GDPのグラフを掲載しました。 データは2019年に公表された2018年の各国名目GDPです。 GDPと芸術祭の個数が相関しているの、面白くないですか? GDPはその国で生み出された付加価値の合計のことなので、従来、豊かさの指標として使われてきたものですね。 (現代の日本で豊かさをGDPだけで測るのは得策ではないと思いますが…) 国別GDPだと、理論上は人口の多い方が上位に入りやすいので、1人あたりの名目GDPを見てみたところ… 芸術祭の数とは相関が見られませんでした。 日本のみならず、米国も中国もトップから陥落してしまったので。

GDPと芸術祭の間に何があるのか?

仮に、GDPと芸術祭の数に相関がある法則が「当然」と見なすなら、日本の芸術祭の数は妥当、と言えます。 「日本って芸術祭が多すぎるのでは?」と私は思っていたのですが、この法則を認めるなら妥当な数ってことです。 (なお世界3位のGDPについて、自覚がある方は少ないと思います。 激務薄給で頑張る現場もあるのに、何が世界3位だ、って感覚の方も多いはず。 でもGDPが3位なのは事実なので、感覚と事実が乖離しているわけです。) 芸術の発信頻度は、経済的な生産力と相関するのでしょうか? それとも、GDPが高くゆとりがあるから、娯楽として芸術が求められるのでしょうか? あるいは、観光資源としてGDPに貢献しているのか? 新たな研究課題が見つかってしまいました。

まとめ

芸術祭の数とGDPは、上位陣については相関していることが分かりました。 私がこのデータを整理しはじめた理由は、「なぜ日本はこんなに芸術祭がたくさん開催されているのか?」を理解する目的がありました。 国別にデータを比べたところ、「GDPとの相関を認めれば、妥当な開催数だ」という結論が導かれ、私の疑問は振り出しに戻ったのです。 「日本は芸術祭が多い」という思い込みを否定されたので。 このデータ、とっても面白いと思います。 今後は「日本は芸術祭が多すぎるよ」と言っている人に、「どんな根拠があって芸術祭が多いって言ってるんですか?」って聞けるようになりますからね。 もちろん、今回使用したビエンナーレ・ファウンデーションのデータに載っていない芸術祭がノーカウントになっているのは課題です。 ですが、そういうマイナーな芸術祭はどの国にも同じくらいの割合で存在している…と仮定すれば、無視して良いかな、とも思います。 GDPと芸術祭の開催数の関係。 なぜGDPの高い国は芸術祭を開催し、アートを発信するのか。 豊かさとは何か。 経済とアートの関係とは。 GDPと芸術祭の相関については、誰かが既に研究済みの可能性はありますけれども。 (一般人で論文にアクセスできないので、先行研究を調べられないんです、あしからず) 面白いデータではあると思います。 Share!▶︎ このエントリーをはてなブックマークに追加

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